第六話 私の静かな生活、どこ行きました?
第六話!
楽しんで!
真っ二つに割られた火炎弾が、私たちの左右で轟音を立てて爆発する。
もうもうと立ち込める煙の中、目の前には、自分の魔法を「物理的に割られた」ことに激しく動揺している古竜が、なおも低い唸り声を上げて構えていた。
そこに、第四資料室の風穴から、学園の重鎮たちが雪崩れ込んできた。
「この魔力、やはり古竜か!」
「騎士団、展開しろ! 生徒を――ん? エルナ!?」
先頭にいたボルツ先生が、絶望的な戦場の中央に、煤だらけで立っている私を見つけて叫んだ。
「エルナ! 逃げろ! そこは古竜の射程圏内だ! あらゆる魔法を反射するあやつに、魔力のないお前が太刀打ちできるはずが――」
先生たちの叫びを他所に、古竜が再び鎌首をもたげた。 自分の誇りを傷つけられた怒りか、その鱗は先ほどよりもさらに鋭く、禍々しく逆立っている。
「……あ、先生。今それどころじゃなくて……。ロゴス、次が来るよ!」
『分かっておるわ! だが小娘、今の反射で毛がチリチリなのだ! 次こそは我の魔力で丸焼きにしてくれよう!』
「ダメだってば! 反射されるって言ったでしょ! 次も私が割るから、あんたは『1』だけ抜くことに集中して!」
先生たちが呆然と立ち尽くす前で、私は魔力ゼロの指を再び古竜に突き出した。 頭上には、ぷかぷかと浮きながら「あちち」と前足を振るもこもこの羊。
「「……なんだ、あの光景は?」」
学園長や騎士たちが杖を構えたまま、あまりにシュールで、けれど極限の緊張感が漂う私たちのやり取りに、動けなくなる。
「ボルツ先生、あの生徒は何をしているんだ? まさか、素手で古竜を……?」
「わ、分かりません……。しかし、あやつが纏っている空気は……」
古竜が再び、巨大な顎を開く。
先生たちが「総員、防御魔法!」と叫ぶ中、私はおじいちゃんの本に書かれていた『反射皮膚を物理的に無力化するページ』を必死に思い出していた。
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