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   八、最終形態


 フィドルの音に憧れていた。

 最後はその音が欲しかった。

 けれどなかなか見つからない。別の音も試したが、初めからつもりのないサポートだった。

 まぁ、音楽にサポートは付き物だがな。サポートのない演奏は、それこそが俺達ではあるが、サポートがあると華やかさに変化が生じていく。音楽ってのは変化があってこそ美しい。

 まさかあんなにいい音を出すとは信じられなかった。音大生だって噂は聞いていたよ。ヴァイオリンを専攻していることも耳にした。けれどイメージが湧いてこない。

 彼女からは清潔感しか見えなかった。

 教育実習生なんだからそれが正解だとは思う。

 だがやっぱり、クラシック畑なんだとの思い込みが強かった。

 それはまぁ、俺の偏見ではあるんだが、そう思わせる歴史があるのは確かだよな。

 メガネが可愛くて、ショートカットだけどボーイッシュではなく、背が小さいけれど雰囲気は大きくて、小柄だが迫力はあった。

 まぁ、小学生の頃の産休の先生の代わりに来たお婆ちゃん先生の若い頃にそっくりって訳だ。俺の好みではあるが、音楽的魅力は感じない。

 だから驚いた。まさかトシさんから勧められるなんて、本物だって証拠に他ならない。

 取り敢えず音だけは聞かないと判断がつかない。俺はこっそり大学の練習を覗きに行った。

 やっぱりクラシックは・・・・ それが正直な感想だな。その日の彼女は言いなりだった。

 トシさんには正直な感想しか言わない。

 すると今度は日付と場所を指定されてもう一度聞いてみろと言われたんだ。まぁ、暇だから従った。なかなか足が重たいっていう経験は好きじゃない。けれどまぁ、そういう時っていうのは、案外当たりを引けたりする。

 会場が船の中っていうのがまず驚いたが、その参加人数にも驚きだった。何処から集めてきたんだって数のヴァイオリン弾きが、一斉に準備を始めていた。

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