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暴食の少年~最弱ステータスで追放された少年は、暴食スキルで成り上がる~  作者: カンチェラーラ


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察知

 地上では、もう日が傾き始めている。

 しかもここは下水道だ。

 本来なら真っ暗な場所だが、地下水道を管理するために街が明かりを取り付けている。

 明かりのおかげで足元は見える。

 それでも薄暗いことに変わりはない。

 そんな地下水道を俺は歩いていた。


 両脇に一段高くなった通路があり、その間を汚水が流れている。

 ここで俺がすべきは、モンスターを倒すことだ。

 見習い時代にも通っていたように、今の最弱の俺でも倒せるモンスターがいる。

 スライムと魔ネズミだ。


 スライムは半液体状のモンスターで内部にある核を手に入れれば魔石として売ることができる。

 高くは売れないけれど、屋台の肉串を買ったり、超格安宿に泊まるためにもぜひ集めたい。


 そして、魔ネズミは肉目的だ。

 小さいが、一応食用になる。

 まあ、ギルドに所属していたら駆除対象として倒した数だけ報酬が出たんだけど。


 魔ネズミが地下水道で増えすぎると困るため、冒険者ギルドでは常設の討伐対象になっている。

 魔ネズミを倒して、そのしっぽを持ち帰ればしっぽの数に応じて報酬が得られるのだ。

 だが、ギルドを追放されてしまった俺はもうしっぽを持ち帰ったところで意味はない。

 やっぱり、ギルドから追い出されたのは悔しい。


 ま、過ぎたことをこれ以上考えてもしょうがない。

 スライムは汚れた場所なら自然に増えるし、どれだけ倒しても全滅させることは難しいらしい。

 ただ、きれいなところだと増えるのがストップするそうで、しかもスライムの主食は汚れた泥や水だ。

 汚れた泥や水を吸収し、きれいにして排出する性質を持っている。

 つまり、この地下水道で水を浄化してくれる存在だ。

 汚水を集めた水道で勝手に増えたスライムを倒して得た魔石が、暗闇の地下水道を照らす明かりの材料として使われているというんだから、世の中、うまくできてるな。


 チチ。


 そんなことを考えながら歩いていると小さな鳴き声が聞こえた。

 どうやら、スライムよりも先に魔ネズミが発見できそうだ。

 耳に意識を集中して気配を探る。


 魔ネズミは見習い冒険者でも勝てる弱い相手だ。

 だけど、油断してもいいってわけじゃない。

 小さくてもその口についている出っ歯で噛まれるとすごく痛い。

 しかも、その噛み跡が汚水に触れでもすれば化膿して、あとあとに響いてくる。


 だから、こいつを相手にする場合は相手よりも先に攻撃することだ。

 どこにいる?

 水音が反響して、耳では場所を特定できない。

 汚水の臭いにかき消され、鼻も役に立たない。

 なので、残りの感覚に神経を集中させて小さな体の居所を探す。


 こういうときに、相手を見つけるスキルがあればいいのにな。


【SKL:察知(SPを10消費して獲得可能。気配に鋭くなる)】


 またか。

 どうもこいつは急に現れるな。

 前までは驚いたりしていたけど、ちょっとずつ慣れてきた。

 そして、その傾向も少しずつ見えてきたような気がする。


 自分がスキルを欲しいと思った状況になると、欲しい能力に近いスキルを提示してくれる感じだろうか。

 そして、スキルもそれぞれで消費するSPが違う。

 暴食の300というのは多分かなり特別なものだったんじゃないだろうか。

 それと比べて耐性系や今回の察知は10と低いが、クリーンはさらに少ない消費SP5だった。

 まだ断定はできないが、常時発動型のスキルは10前後が基準なのかもしれない。


 ま、そんなことはどうでもいいか。

 これは当たりだ。

 薄暗い地下水道で今までなにが一番つらかったと言えば、倒すべき相手を探す手間だった。

 危険にも直結する探知能力をこの察知スキルは高めてくれるに違いない。


 欲しい。

 そう思ったら、俺のステータスには新たにスキルが追加されていた。

 その察知スキルが警告を発する。

 右前方から何かの存在を感じ、そちらへと目を向けると、少し崩れた石の影に、魔ネズミが潜んでいるのが見えた。

お読みいただきありがとうございます。

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