01 D - Damned fool - David
真っ暗だ
──深い闇
何も見えない
上も下もわからない
でも音は聞こえる
とてもクリアだ
──人の声
車のバックファイヤー
時計の音?
今は昼なのか? それとも夜?
今日はいつ?
ずいぶん長い間
こうしている気がする
──足音?
『アレックス、ちゃんと今日だって言ったんだろう?』
『ゆうべここで言ったよ』
『おい、ディー。いるのか?』
『開いてるぜ』
カチャ
扉が開いた。
「ディー。なんだよ、真っ暗じゃねえか」
「しょうがねえなあ。またかよ」
男が二人。知ってる奴ら。
「リサが出てくのも仕方ねえな」
うるせえな。あいつなんかいなくたって、問題ねえよ。
「今日はギグだって言っただろう? 服も昨日のままかよ」
……ああ、今日?
「あー、しょうがねえな。どれやったんだよ。酒か? こっちか? 混ぜてんじゃねえの?」
ははっ。全部だよ、全部。
カクテルだ。
「ほら、腕回せ。世話のやけるヤロウだよ」
「いいな、あんまり客煽るなよ。何件のクラブから追い出されてるか、わかってんのか?」
クラブの事務所に転がされた。
「……わかってるよ」
パンツのポケットに違和感。
ゆうべの残りか。
丁度いい。テーブルの酒で流し込む。
「おい、お前、今何飲んだ?」
「うるせえよ」
アレックスに引き摺られてステージに立つ。
マイクスタンドに寄りかかって歌い出す。
客席にリサがいる。
はは、いい女だな。
浮遊感。
酩酊感。
絶望感。
────頭を殴られたような衝撃。
身体が傾ぐ……?
「ディー! いやああぁぁぁぁ……!」




