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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第1章 魔剣の使い手

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リアルナさんさぁ…

それとは別に考えなくてはならないことがある。ユリーシャとのデートだ。リアルナさんに「ユリーシャ様をデートに誘う前に、収穫祭のことを色々と勉強しておいた方がいいと思うから…時間があるときに来てね」と言われているので、まずはリアルナさんを訪ねてみることにしよう。


「あら、いらっしゃい。もしかして…もうマスターしちゃったの?」

「えーっと…そういう訳じゃあないんです…」

そんなに早くマスターできる訳がないだろう。


「そうなの…それは残念だわ。でも、我慢できなくなったら遠慮なく言ってね。私が何とかしてあげるから」

「分かりましたっ!」

ついうっかり、俺はやる気満々で返事をしてしまった。よせばいいのにあんなことやこんなことを想像し、顔がにやけてしまうのを止められない。


でも、リアルナさんは既婚者なんだよな。さらにユリーシャ専属の魔法戦士で、そのユリーシャは俺のことを色々と気に掛けてくれている。


もしも、リアルナさんとあんなことやこんなことをしているのがユリーシャにバレたら…ここまで順調だった俺の異世界生活が台無しになりかねないぞ。ここは慎重になるべきだ。


リビングに通された俺は、椅子に座って何をするでもなく待つことになった。部屋の配置と座った際の向きの関係で、俺の視線の先にある簡易なキッチンで、リアルナさんが何やら作業をしているのがよく見える。


今日のリアルナさんは、体のラインがはっきりと分かる服を着ていた。出るところは出て、引っ込むところは引っ込む…目のやり場に困るね。そんなリアルナさんは何というか…ノリノリである。


そうこうしているうちに、リアルナさんが紅茶を持ってきてくれた。これ…飲んでも大丈夫なヤツなのか?もしかして、何か薬が盛られている…なんてことはないよな?俺のまさかそんなことはないだろう…という疑問に、魔剣がとんでもない答えを返してきた。


『遅効性の薬物を検出しました。効能は不明です』

おいっ、リアルナ!何を入れやがった!!


「それで…今日はどうしたの?」

妖艶な笑みを浮かべるリアルナさんは、俺が気付いたことには気が付いていないようだ。このまま気付いていないふりをしよう。


「収穫祭のことなんですが…去年はどんな感じだったんですか?」

「賑やかだったわよ」

でしょうね。俺の質問の仕方が悪かったです。


「見所と言うか…お勧めスポットってどこです?」

「ちょっと待っててね…」

リアルナさんはそう言うと、何やらごそごそと探し始めた。ちなみにリアルナさんの部屋は俺の部屋より大分広い。リビングとは別に寝室があり、彼女はそこで探し物をしているようだ。


なかなか戻って来ないね…今のうちに紅茶は捨てておくか。俺はトイレに紅茶を流して、リビングに戻った。するとリアルナさんはまだ探し物中。


手持ち無沙汰だったので、机の上のオルゴールを手に取ってみた。魔剣によるとそれはオルゴールではなく、盗聴防止の結界を張る魔法具らしい。リアルナさんは声が大きいようだ…何の声が大きいのかはともかく。


まだ、戻って来ない…手伝った方がいいのかな?そう思い寝室に行ってみると、こちらにお尻を向け、蠱惑するようにくねくねさせながら探し物をしているリアルナさんがいた。何をしているんですか?リアルナさん…。


「手伝ってくれてもよかったのに…」

ようやく戻ってきたリアルナさんが、少し咎めるように言った。空になったカップをちらりと見たリアルナさんは、何やら嬉しそうだ。


「すいません…」

ここは取り敢えず謝っておくことにしよう。


「まあ、いいわ。これが去年のパンフレットよ」

リアルナさんは少しうきうきしたような表情で言い、持ってきてくれたちょっとボロいパンフレットを見せてくれた。物持ちがいいんだな…おかげで助かるけどね。


「一番活気があるのはこのアンベルク通りと中央公園ね。ところで…」

そこで言葉を区切ったリアルナさんは、机の上に置いてあるオルゴールの蓋を開けた。もちろん、何の演奏も始まらない。その代わりに俺達の周囲には、盗聴防止の結界が張られた。


「どうして今回、こんな話になったんだと思う?」

どうして…か。考えられる話としてはユリーシャがリアルナさんに頼んだ、というものだが…。


「ブーッ。時間切れよ」

「ちょっと早くないですか?」

もう少しで答にたどり着けそうだったのに…嘘だけど。


「どうせ何にも考えてなかったんでしょ?」

いやいや、少しは考えていましたよ。


「答えはね…私がユリーシャ様を説得したからよ」

「どうして…そんなことを?」

出過ぎた真似じゃないのかな?それは。


「少しデリケートなお話になるんだけど…いい?」

真剣な表情のリアルナさんに、少し気圧されながら俺は頷いた。

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