世の中顔
お待たせ致しました。
南国のレヴィータ王国を出発して北東へと進んでいけば、暑かった気候が遠のき、過ごしやすい陽気となった。
ユリクスは愛用している黒コートに再び身を包み、涼しい風を満喫しながら馬車に揺られている。
心地良いのは風だけではない。そよ風に吹かれて優しくさわさわと揺れる木の葉の音。音楽を奏でる小鳥の鳴き声。揺り籠のような馬車の小さな揺れ。仄かに香る控えめな煙草の匂い。時折現れる魔獣は鬱陶しいが、それでもこの自然を感じられる時間をユリクスは割と気に入っていた。だが……。
「おい貴様! それは俺がとっておいた菓子だぞ!」
「いいじゃないまたライトに作ってもらえば」
「がっはっはっ! 俺のやるから機嫌直せやイヴ!」
「そういう問題ではない!」
「リューズのだけじゃ足りない? 私のもいる?」
「だから違うと言っている!」
「なによ面倒臭いわねぇ」
「菓子を取った張本人が何を言うか!」
喧しい。実に喧しい。旅を始めた頃、自然を感じながら昼寝を満喫できていたあの頃が恋しい……。
ユリクスは仲間が増えて騒がしくなった馬車の中でげんなりしていた。
「ほらみんな、あんまり騒ぐと兄貴が昼寝できないから、そろそろ静かにするっスよ」
ユリクスの様子を敏感に察知したライトが騒いでいる面々を窘めるが、そんなものを聞くような連中ではない。
「昼寝なんぞ勝手にしていろ」
「そもそもユリィは寝過ぎよ。あんまりだらけてるとダメ人間になるから甘やかすべきじゃないわ」
「リアナはユリィを気遣うのが面倒なだけだな!」
「そうだけど?」
「否定しないんスね……」
こいつら全員馬車から蹴り落としてやろうか……。なんてユリクスが考えていると、ティアがライト作のポルボロンという名のお菓子を持って近づいてきた。お菓子を口元に持ってくる。
「はい、あーん」
「……」
何故今……? と思いつつ口を開けてしまう。優しく口に入れられた一口サイズのお菓子は噛まずとも口内で溶け、口いっぱいに爽やかな甘さが広がる。うん、美味い。
「ユリィの機嫌が一瞬で直ったな」
「相変わらずユリィのご機嫌取りが上手いわね……」
「というより、奴は菓子も自分で食わんのか?」
「兄貴はティアの姉御に甘いってことっスよ」
周りからの呆れた視線が刺さる。別にティアが持ってきたから食べたというわけではないぞ、と思っても目の前で嬉しそうににこにこしているティアを見ると何とも言えない気持ちになる。
別に……ティアが持ってきたからというわけでは……ない……はず……。
段々自信がなくなってきたユリクスである。
そんなユリクスを余所に、ティアは次のお菓子を用意しながら微笑む。
「賑やかになって楽しいね」
「……そうか」
「うん!」
二つ目のお菓子が口に入れられる。お菓子を口に入れてくるティアは楽しそうだし、お菓子も美味い。まぁ、もうなんでもいいか、とユリクスはお菓子を咀嚼する。
「ほらやっぱりティアに甘いわ」
「まるで餌付けされてる雛鳥だな!」
「菓子くらい自分で食え」
「ティアの姉御に食べさせられるからこそ意味があるんスよ」
外野がうるさい。だがお菓子を食べるのに忙しくて反論する気も起きない。ユリクスは黙々と差し出され続けるお菓子を咀嚼する。
「あー、ティアの姉御、そろそろ昼食の時間になるんで兄貴への餌付けは止めてほしいっス」
「……えづけじゃない」
「もごもごしてる状態で言ったって説得力ないわよ」
むすっとした状態のまま、口の端についたお菓子の粉をティアに拭われる。それにもまた呆れた視線が飛んできたが、ユリクスは無視した。別に自分が世話を焼かれているのではなく、ティアの好きにさせているだけだ、と言い聞かせて。
お菓子タイムが終わり、各々寛ぎ始める。
片膝を立てて頬杖をついていたユリクスの魔道袋にお菓子をしまったティアはそのまま体を横にした。枕は伸ばされている側のユリクスの脚だ。甘えるように頬を擦り付けて瞼を閉じる。
ユリクスにとって、自分の脚が枕にされることはこれが初めてではない。だが未だに慣れずまごまごしてしまう。ただ眠りの邪魔だけはしないよう、じっとしているだけだ。
ふと、ティアから視線を外して顔を上げると、微笑ましげに見てくるリアナとリューズの二人と目が合った。
「……なんだ」
「別になんでもないわよ」
「そういう時、頭を優しく撫でてやるといいと思うぜ?」
ひそひそと声を潜めてそんな会話をする。二人の視線にいたたまれなくなりながら、ユリクスは逡巡した。そして、慣れない手つきでティアの頭を撫でてやる。ティアの表情がより穏やかになったような気がした。
「お兄ちゃんねぇ」
「兄ちゃんだなぁ」
「……うるさい」
二人からの生暖かい視線にユリクスは渋面になる。そして、胸中で感じる〝兄〟であることの不快感。ティアと会ったばかりの時に感じていた感覚が久しぶりに顔を出す。
(……〝兄〟……か……)
ユリクスは瞼を閉じ、ざわつきだした感覚に意識して蓋をした。
ユリクスは時折ティアの頭を撫でて、他の者は揺れる馬車に身を任せながらうつらうつらして、時間を過ごした。
ティアたちが十分な仮眠をとれた頃、道に少しずつ変化が訪れた。元から広かった大道が更に開け始め、やがて大型馬車が横に五台並んでもゆとりがある程広がったのである。道が開けることは珍しいことではないが、昼食の時間になった今は丁度良い。
「メラ、道の端で馬車を止めてほしいっス。昼食にしよ」
「ガウッ!」
いくら広いといっても道の真ん中で馬車を止めるのはモラルに欠ける。メラは馬車を引き、できるだけ道の端っこに移動して馬車を止めた。これで通りかかった人から文句を言われることはないだろう。
ライトは馬車からメラを解放してやり、荷台の方に声を掛ける。
「みんなー、昼食にするっスよー。起きてほしいっス-」
ライトの声でリアナ、リューズ、イヴァンは各々起き上がったり伸びをしたりしてから馬車を降りていく。
「……ティア、時間だ。起きろ」
「むぅ……」
ティアは相変わらず寝起きが悪い。いくら体を揺すっても「もうちょっとだけ……」と言って再び夢の世界に旅立とうとする。
小さくなったメラがやってきて、ティアの頭をちょいちょいと前足でつつく。それにも動じないティアにメラは「ハフッ」と溜め息をついて、やれやれというような顔をユリクスに向けてきた。ユリクスもそれに頷くことで応える。
ライトが馬車の荷台にやってくる。恐らく魔道袋を借りに来たのだろう。ユリクスは黙って魔道袋を渡す。
「食事はボクらで用意するんで、ティアの姉御をお願いするっス」
「……あぁ」
返事はしたものの、さてどうやって起こすべきか。黙考しながら馬車の外を見遣る。魔道袋から調理器具と食材を取り出したライトが調理を始め、リアナとリューズがテーブルをセッティングしている。何もしないで胸を張って偉そうに立っているイヴァンはリアナに手伝うよう怒られている。
あの和気藹々とした輪の中に自分も入っているのだと思うと、ユリクスは不思議な感じがした。ティアと出逢う前には、自分が誰かと騒がしく過ごすことになるなど考えもしなかった。
「仲間っていいよね」
いつの間にか目を覚ましていたらしいティアに声を掛けられる。まだ瞼は重そうだが、その表情はほころんでいて柔らかい。
「……どうして、そんな顔をしている」
「んー、幸せだからかな」
「……」
〝幸せ〟の感覚。ユリクスにはまだ思い出せそうになかった。だが思い出す日もそう遠くはないような気がした。
徐にティアがメラを抱きしめる。
「メラはふかふかで気持ちいいね。もう一回良い夢見れそう」
「……寝るな」
「ガウ……」
「ふふ、冗談だよ」
ユリクスとメラに呆れた顔をされて、ティアは嬉しそうに笑った。そんなティアにメラも三本の尻尾を優しく揺らした。
「兄貴ー、ティアの姉御ー、メラー、ご飯できたっスよー!」
ライトが調理を終え、リアナたちが配膳に動いている光景が映る。
「だって。待たせちゃ悪いし行こう、兄さん」
「……待たせていたのはお前だ」
「ふふっ」
ティアはユリクスの一言一句によく笑う。それはもう幸せそうに。自分の何がそんなに嬉しくさせるのかはわからなかったが、それでも、その表情がいつまでも続くことをユリクスは願った。
みんなで席に着く。目の前には湯気が立ったシチュー。たくさんの野菜が入っていて綺麗な彩り。アクアトラスで買った海産物も入れられていて実に美味しそうだ。
いつものことながら、生唾を飲み込んで料理を前にする一同。ライトの料理を食べることは大きな楽しみの一つだ。みんなで手を合わせて胸を躍らせながら「いただきまーす」と挨拶をしたその時だった。
キシャァァァアア!
人魚種の魔獣が一体、こちらに向かってきていた。
「……誰がやるんスか?」
「あたしは嫌よ」
「ふんっ、あの程度の魔獣、俺もお断りだ」
「相手にしてたら料理が冷めちまうよ」
「……」
「……兄貴、無視して食べ始めようとしないでほしいっス」
魔獣より料理。誰もがその考えのため誰も動かない。その間にも「無視をするなっ!」とでも言うように咆哮を上げて迫りくる魔獣。
「「「……」」」
仕方ない、近づいてきたらスパっと済ませよう。なんて、四万の魔獣を相手にしてから肝が据わり過ぎている一行は軽く考えながらギリギリまで料理に向かおうとした。だが。
「《炎の一太刀》!!」
キシャァァァァァァ!!
「「「……」」」
どこからともなく男が現れ、恥ずかしげもなく技名を大声で発しながら、炎を纏わせた大振りの両刃剣で魔獣を一刀両断した。
「ふっ、怪我はないか諸君?」
男は前髪をかき上げながらユリクスたちに向き合うと、ドヤ顔で声を掛けてきた。非常に癇に障る。煌めく長い金髪に騎士然とした恰好も見ていてうざい。だが、必要なかったとはいえ助けられてしまったのは事実なので無視もできなかった――ユリクスとイヴァンは除く――。
「怪我はしてないよ」
「えっと、ありがとうっス」
「ふっ、庶民を助けるのが私の務めだ。気にするな」
そう言って再び長い前髪をかき上げる男。どうやら癖らしい。ティア、ライト、リアナ、リューズ、メラが苦笑いを交わしていると、少し離れた場所に止めてあるとんでもなく豪奢な馬車から三人の男たちが出てきてこちらに向かってきた。
「お前たち! モテナ様に助けられておきながら席も立たんとはどういうことだ!」
「失礼にも程があるだろう!」
「平伏し感謝するのが常識だろう!」
どうやら取り巻きだったらしい。というより平伏までする常識ってなんだ。
平伏する気は一切ないが、一応礼儀として席は立っておく。ユリクスとイヴァンは無理矢理立たせた。
「そうカリカリするなお前たち。私はそのようなことで気分を害したりはせんよ」
「おぉ、なんと懐の深い」
「流石モテナ様です」
「お前たち、モテナ様のご厚情に感謝するんだな」
このモテナという男は取り巻きたちに持て囃され、ドヤ顔のまままた前髪をかき上げる。邪魔なら切れば? と思ってしまうのも仕方ないだろう。
「あぁ、自己紹介がまだだったな。私はモテナ・イデスバーン。この至高の名を聞けたこと、喜ぶがいい」
その名を聞いたティアたちの反応はというと。
「モテないんだね」
「可哀そうっス」
「まぁそんな感じはするわよね」
「モテないことをバーンと主張までしなくていいのにな」
非情に憐れんでいた。
「……私が……モテない……だと……」
「き、貴様らぁ! モテナ様になんてことを!」
「モテナ様のどこがモテないというのだ! 見よこの美しい御尊顔を!」
顔。まぁ確かにある程度整っている方ではある。だが雰囲気が残念であるし、何より……。
ティアたちは一斉に後ろを振り向いた。そこにいたのは、神秘的な瑠璃色の瞳と中性的な美しさを持つミステリアス系美青年。そして、鋭く輝く銀髪と切れ長の目が特徴的な見た目だけクール系イケメン。
性格に難はあるが顔面偏差値だけは限界突破している二人を前にしてしまえば、大抵の男はそれはもう霞む霞む。
その考えが彼らにも伝わったらしい。取り巻きたちはユリクスとイヴァンを睨んだ後、再びモテナを持ち上げるための激声を飛ばしてきた。
「モテナ様は顔だけではない! なんとあのイデスバーン家のご子息なのだ!」
名前がモテないですバーンなのはわかっている。だからなんだ。
「リアナの姐さん、イデスバーン家ってすごい家なんスか?」
「あたしも国を出て長いから知らないわね」
「なっ!? イデスバーン家を知らないだと!?」
取り巻きたちが驚愕の顔を向けてくる。そんな顔をされても知らんものは知らん、というのがこちらの共通の思いである。
「イデスバーン家はスパイダリアきっての資産家だ!」
スパイダリアはアウデス王国にある町の一つである。ちなみにユリクスたちの次の目的地でもある。
それにしても資産家……つまり金持ち……。
再び視線はユリクスへ。
ティアたちの視線がユリクスに向き、取り巻きたちもユリクスの腰につけられている魔道袋の存在に気づいたようだ。魔道袋所有イコール金持ちである。
「も、モテナ様は顔と財産だけではない! お力も強いのだ! 何せ〝ギルド総長の懐刀〟なのだからっ!!」
「〝ギルド総長の懐刀〟っスか」
「へぇ、こりゃたまげたな」
「そうねぇ」
「だね」
「ふっ、その通り。この私はあの〝ギルド総長の懐刀〟だ。滅多に会えるものではないぞ?」
〝ギルド総長の懐刀〟という単語に初めてティアたち四人が反応を示したことに、モテナは元の上から目線に戻った。ティアたちの内心が「こんな残念な奴でもなれるんだ」というものだとは気づかずに。
モテナは胸を張って続けた。
「お前たちは幸運だ。庶民でありながらこの私と話ができているのだから。近頃最強と言われ持て囃されている龍王なる者がいるようだが、どうせ総長に媚を売ったのだろう。だが、私はそんな輩とは違うぞ? 私は正真正銘の〝ギルド総長の懐刀〟だ」
「そ、そうっスか……」
ライトたちがちらちらとユリクスの様子を窺っているが、その龍王本人であるユリクスはどこ吹く風で腕を組んだままじっとシチューを見ている。仲間たちにはわかっていた。お腹、空いてるんだろうな……。
ユリクスの健康に気を遣っているライトはできるだけ早く話を終わらせることにした。
「い、いや~、助けてもらったことは本当に感謝っス~。それで、〝ギルド総長の懐刀〟さんの足をずっと止めておくのも忍びないっスから、もうボクらのことは放っておいてもらっていいので……」
「ふっ、ここで会ったのも何かの縁だ。そんな安っぽい馬車では可哀そうだからな。特別に私の馬車に乗せていってやろう。感謝するといい」
遠回しに早く去れと言っているのが何故わからない! とユリクス以外の面々は苛立つ。ちなみにユリクスはシチューしか見ていないので恐らく話を聞いていない。
「あのねぇ、あたしたち今食事中だったの。だからもう放っておいてちょうだい」
段々相手にするのが面倒になってきたリアナが勇者の如く斬りかかる。だが、そのせいでモテナの関心はリアナに向いてしまったらしい。
「ほう、なかなかの美人だな」
「それはどうも」
「だが今私が一途に思っている彼女に比べたら少々劣るな。私のことは諦めてくれ」
「はぁ?」
話が通じないプラス自分をディスられてリアナの額に青筋が立つ。その様子を見ていたライトがあわあわと仲介に入る。
「いや、ほんっとうに大丈夫っスから! お願いだからもう行ってほしいっス!」
「貴様! モテナ様のご厚意を無下にするつもりか!」
「だからいらないって言ってんのよ。早く行きなさいよ」
「なっ!? この女っ!」
「まぁ待て、威勢のいい女性は嫌いではない。丁度そろそろ町へ向かわなければならなかったところだ。ここで失礼するとしよう」
「「「はっ」」」
「では諸君、縁があったらまた会おう」
前髪をかき上げながらそう言い残して、無駄に豪奢な馬車へモテナたちは戻っていった。そのまま広い道のど真ん中を走り去っていく。
不快にさせるだけさせておいてあっさりと去っていったモテナたちに対して怒りはもちろん募る。
「ほんっとなんなのよあの男は!!」
「話通じねぇし上から目線だしなかなか疲れたな」
「イヴの兄ちゃんの悪い意味で上位互換っスね」
「おい、何故そこで俺が出てくる」
「上から目線なあたりが同族じゃない」
「む、あんなのと一緒にするな」
「シチュー、冷めちゃったね」
「……………………冷めたな」
「元気出して兄さん」
「もう一回温めなおすっスよ」
ライトがみんなのシチューを一旦鍋に戻して温める。その間も一行の非難はモテナに向く。
「あんなのが〝ギルド総長の懐刀〟でいいわけ?」
「ゲオルグさん、性格に難がある人は〝ギルド総長の懐刀〟にしないって言ってたのにね」
「名前で決めたんじゃないか?」
「がっはっはっ! ありえそうだな!」
「そもそも性格に難があるっていったらユリィが受け入れられてる時点でそんなにハードル高くないんじゃないかしら?」
「「「確かに」」」
「……おい」
「シチュー温め終わったっスよー」
テーブルにシチューが並べられていく。一度冷めてしまったとはいえ、湯気の立つ様子はやはり美味しそうだ。
「いただきまーす」と挨拶をしてやっとのこと口にシチューが運ばれた。一同の気分が浮上する。
「いやーでも、顔で勝てたのは気持ちよかったわね!」
「ユリィとイヴ様様だな!」
「「……顔?」」
「当の本人たちはわかってないみたいっスけどね」
「モテるには第一に顔だよ、顔」
「ティアの姉御、それは残酷過ぎるっス……」
「恋人をつくるなら別だけど、キャーキャー言われるだけならやっぱり顔だよ」
「否定できないっスけどぉ……!」
実際、今回は顔で勝ってしまったのでやはり顔は大事だということが証明されてしまった。残酷な世の中である。
「そういえば、スパイダリアの資産家って言ってたっスけど……スパイダリア、行く?」
「俺ぁ構わねぇぜ」
「そもそもスパイダリアを通らないと他の町には行かれないわよ」
「ふんっ、そんなに関わることもあるまい」
「もしもまた会っちゃったらイヴが相手してね」
「断る。同じ〝ギルド総長の懐刀〟であるユリクスが相手にすればいいだろう」
「……あいつは〝ギルド総長の懐刀〟だったのか?」
「やっぱり全然話聞いてなかったんスね」
ライトが呆れたように笑うが、ああいった相手は関わらないに限る、というのが一同共通の認識だ。ユリクスのようにまともに取り合わないのが正解だろう。
アウデス王国で訪れる町スパイダリア。そこでも面倒事が起こらないように祈りながら、一行は美味しい料理に舌鼓を打った。
お読みいただきありがとうございます。
次回更新は2日です。




