人間拾いました
三章お待たせ致しました。
「それじゃあ兄貴、お願いするっス」
「……あぁ」
ベルファリナ王国からレヴィータ王国を目指して、一行は南へ向かっていた。その途中に、大道を逸れた片側で草原が広がっている場所を見つけた。長すぎない雑草が辺り一面に広がり、青々としている。点々と顔をのぞかせている小さな花々が可愛らしい。少し汗ばむくらいの陽気である今ならピクニックに最適な場所である。
大道を挟んだ反対側には森が広がっているため、そこから魔獣が飛び出してこないとも限らないが、見晴らしがいいので奇襲を受ける心配もない。まぁそもそもユリクスが奇襲を許すわけがないが。
そんな長閑な草原でユリクスとライトは互いに魔力を纏わせ、少し離れた位置で向かい合っていた。ユリクスは無手。ライトは神器の銃を二丁顕現させている。場違いにもぴりついた空気が辺りを漂う。
しばらく向かい合っていた二人だが、先に動いたのはユリクスだった。黒ずくめの右腕を鷹揚に軽く上げると、上品且つ嫋やかに下ろす。その瞬間、指先から一条の小さな紫電が放出され、ライトに迫った。
「ッ!」
ライトは自身に向かって放出された紫電を銃身で間一髪弾き返す。しかしそれに安堵する暇はなかった。
ユリクスは不規則且つ優雅に腕を振るい続け、その動きに合わせて紫電が次々と放出されていく。
ライトは頭、腕、腹とあらゆる位置に飛んでくる紫電を二丁の銃で息つく暇もなく捌き続ける。だが、それも長くは続かなかった。
「ッ……うわっ、イテッ! イテテッ! 痛いっスー!」
八発程防いだところで捌ききれなくなり、十発程の紫電がライトに当たる。かなり威力を抑えているため怪我を負うことはないが、バチバチと強い静電気が体中を襲っているのと同様の現象が起こる。地味に痛い。
体中がビリビリする痛みにライトはその場でしゃがみこんで体を摩る。そのまま悠々と歩み寄ってくるユリクスをガバッと振り仰いだ。
「ううっ、痛いっスよ兄貴ぃ」
「……捌ききれないお前が悪い」
「返す言葉もないっス……」
肩を落とすライトだが、すぐに気を取り直すと立ち上がって「もう一回お願いするっス!」と銃を構えた。
「特訓の続きは後にしてお昼にしましょうよ。あたしお腹減ってきたわ」
「私も」
「ガウー」
少し離れたところで二人を見守っていたリアナ、ティア、メラが待ったを掛けた。その表情は呆れかえっている。
リアナが言うように、二人が行っていたのはライトの特訓である。以前、敵の雷魔法を弾き返したのがほとんど反射のような勘頼りのものであったため、それを確実なものにするためにライトがユリクスに特訓のお願いをしたのだ。
シーガラスを出てから何度か行ってきたため、少しずつ弾き返せる数は増えつつある。しかしライトが満足する結果には程遠いらしい。
「あともう一回だけ!」
「それもう何回目よ。いい加減お昼よお昼」
「ライト、休憩も大事」
「うう……わかったっスよぉ」
リアナたちが折れないことを察したライトは渋々銃の顕現を解く。そしてジト目になった。
「というより、特訓で体が痛いボクが料理するんスね……」
「他に誰が料理できるのよ」
「リアナの姐さん、できるんじゃないんスか?」
「あんたの料理が美味しいとわかってて自分で作る意味がわからないわ」
「えぇ……」
文句を言いつつユリクスに調理器具を出してもらって支度を始めるライト。だが未だやる気は出ない様子。その様子を見て、リアナは魔法の言葉を胸を張って放った。
「いいのライト? ユリィの健康はあんたにかかっているのよ?」
「腕を振るって作っちゃうっスよー!」
ちょろい。リアナとティア、メラは思った。
「私、メラと近くを散歩して来るね」
「あまり遠くへ行ってはだめよ。あたしはライトを手伝うわ」
「うん、よろしくね」
「ガウー」
「……」
ティアはメラに乗って森に入っていった。少し遅れて、ユリクスもティアたちとは少し離れた場所から森へ入る。ほんの暇つぶしだ。
二人と一匹を見送ったリアナはライトに歩み寄った。
「さて、今日は何を作るつもり?」
「ピクニック日和だし、サンドウィッチでも作ろうかなって思ってるっス」
「あら、簡単なのもたまにはいいわね」
「加工肉をカツにしたサンドウィッチと、ハンバーグを作ってそれに野菜とチーズを挟んだサンドウィッチと、あー、あとオリーブオイルとマヨとニンニクでドレッシングも作って、あとパンは……」
「全然簡単じゃなかったわ」
ライトの凝り性に呆れつつ言われた通りに手伝っていくリアナ。ライトはそれはもうどこのプロだと言いたくなるほど物凄いスピードで次から次へと作っていくので、多種多様のサンドウィッチが量産されていく。
ライトの敏腕っぷりに途中からサンドウィッチ作りを放棄したリアナは、予めユリクスの魔道袋から出しておいた折り畳み式のテーブルを広げて準備をする。
セッティングが完了したところで森から気配がした。出てきたのはメラに乗ったティアだ。何やら手にたくさんのきのこを抱えている。
「ライト、きのこ見つけたよ。これ食べられるやつ?」
「ん? あー、それは毒きのこっスね。残念だけど元あった場所に戻してくるっスよ」
「はーい」
再び森から気配。ユリクスだ。何やら人を背負っている。
「……ライト、人だ」
「ん? あー、人は食べられないっスからね。残念だけど元あった場所に戻してくるっスよ」
「……あぁ」
「ちょっと待ちなさい」
なんてことないようにライトは再び調理へ、ユリクスは森へ引き返そうとするのでリアナは呆れ顔で頭を抱える。きょとんとするユリクス、ティア、ライトの三人。メラはリアナと同じく呆れ顔だ。
「どうしたんスかリアナの姐さん?」
「どうしたんスかじゃないわよ。あんたまでボケてんじゃないわ。人よ、人」
「ん? ハッ! 兄貴その人は!?」
「遅いっての。というよりユリィはほんとに戻しに行かないで戻ってくる」
ユリクスはしれっと森へ向かおうとしたところを引き戻されたので少し不機嫌に。とりあえず足元に意識のない人間の男をどさっと落として置いた。ライトの「雑っ!」という声にも知らん顔だ。
この人間をどうしたのだと問い掛けてくる一同からの視線に、ユリクスはむすっとしたまま答えた。
「……森で拾った」
「兄さんも拾い物したんだね」
「ティアの姉御、そういう問題じゃないっス。何があったんスか?」
「……それは……」
ユリクスが森に入った時のことだ。昼食ができるまでの暇つぶしにとてくてく散歩をしていた。近くに魔獣の気配はなく穏やか。木々の間から差し込む光は少し強いが、その熱を冷ますようにどこからか優しく吹いてくる風が心地いい。森林浴に最適だった。
ぼけっと歩いていると、道を塞ぐ障害物に出くわした。緑がかった黒髪をした四十代程の大柄の男が俯せで倒れているのだ。意識はなさそうだが、息はどうだろうか。後で気になってもやもやするのが嫌なのでてくてく近づいてみると、息はしていることが確認できた。
よし、ならば助けよう……とはならないのがユリクスである。何故ならば面倒そうだから。
男を放置したまま踵を返してライトたちの元へ戻ろうとする。が、ガシッと片足首を掴まれた。
振り返れば、袖のない服から見える筋骨隆々な男の腕が自分の足に伸びていた。顔は上げておらず、意識も未だない。本能か?
ぶんぶんといくら足を振っても離れない。手で離させようとしても離れない。なんという握力。
腕を斬り落とす? いやしかしそれで意識を戻されても面倒……。それに自分を害してきたわけでもないのに問答無用で斬り落とすのも……。
ユリクスは悩んだ末、仕方がないので連れて戻ることにした。担ぎ上げようとすると離れる手。
……やはりこのまま放置するか。
その思考を読んだように再び掴まれる足首。
こいつは本当に意識がないのか? と疑わしいが、確かに意識はない。
……面倒な。
だが離れてくれそうもないのでやはり連れて戻ることにした。
男は身長二メートル近くあるほど大柄だ。いくらユリクスでも身体強化なしで運ぶのは厳しいので、身体強化を施してから担ぎ上げた。
そうして戻ってきて、今に至る。
「なるほどねぇ。怪我をしている様子もないし、どうしたのかしら?」
「さぁ……でもこのまま放置もできないっスよね。とりあえず毛布……は暑いから薄い布でも掛けて寝かせておくっス」
「それがいいね」
男は放置してとりあえず昼食と席についた一同。みんなで手を合わせて「いただきまーす」と挨拶をしたその時だった。
「飯かっ!!」
「うわっ、びっくりした!」
男がカッと目を見開いてガバッと勢いよく起き上がった。そのまま男はテーブルの上にあるサンドウィッチを血走った目で凝視してくる。
その視線を唯一無視できなかったライトが恐る恐るサンドウィッチを差し出す。
「あー、食べるっスか?」
「いいのかっ!? 恩に着るぜ!」
そう言うと男はテーブルの席について次々とサンドウィッチを平らげていった。男に取られないように各自自分の分を素早く自分の皿に乗せておく。
ものの数分で大量に作られていたサンドウィッチは全てなくなった。飲むように食べていたのは男とライトの二人だけで、他の者は二つ程しか食べられなかった。
周りが唖然とする量を平らげて、膨れた腹を叩いた男は実に満足そうだ。
「生き返ったぜぇ! お前ぇさんたちには本当に感謝だな! 危うく死ぬところだった!」
「もしかして空腹で倒れてたの?」
「あぁ! レヴィータ王国に戻る途中で食料が尽きてな! 獲物も見つけられなくて気づいたらぶっ倒れてたんだ! がっはっはっ!」
「元気な人ねぇ」
「……うるさいの間違いだろう」
男が呵々と笑う。しかし唐突に何かに気づいたようにハッとすると、勢いよく自らの膝を両手で叩いた。何かと勢いのある男だ。
「すまねぇ! 自己紹介をしてなかった! 俺ぁリューズってんだ! よろしくな!」
「ティアだよ。この子はメラ」
「ガウッ」
「ライトっス!」
「リアナよ。……ほらユリィも」
「……ユリクスだ」
「ティアにメラにライトにリアナにユリィだな! 覚えたぜ!」
「……ユリクスだ」
ユリクスの否定も再び呵々と笑って聞き流している。随分快闊な性格のようだ。
「ご馳走にもなったし、何かしらの礼がしたいんだが……なんせ何も持ってなくてだなぁ」
「いいっスよお礼なんて。それより、レヴィータにはボクらも向かってるんス。一緒に馬車に乗っていくっスか?」
「おっ、いいのか?」
「……おいライト」
「それくらいいいじゃないユリィ。レヴィータに着くまでの間なんだし」
「賑やかになっていいね」
「……」
ユリクスの拒否は誰にも聞き届けられなかった。まぁ、いつものことである。
「重ね重ねわりぃな。この恩はいつか必ず返す!」
こうして、一時的に旅の仲間が増えたのだった。
広げたテーブルや調理器具を片付けてメラに馬車を繋ぐ。
「おぉ!? メラが大きくなりやがった! どうなってんだい!」
魔法を使ったメラを見てもリューズは気味悪がることなく、寧ろ瞳を少年のように輝かせている。ティアはその様子にクスクス笑いながら答えた。
「メラは魔法を使うけど魔獣じゃないよ。動物でもないけど」
「ほう! ならメラはメラだな!」
「うん!」
メラを受け入れてくれたことにティアは嬉しそうだ。
ライトは御者台へ、他の者は荷台に乗って馬車は出発した。リューズは煙草を取り出し、一服している。
「リューズさんは何をしている人なの?」
「リューズでいいぜ! 俺ぁ一応冒険者ではあるんだが……」
「一応ってどういうことかしら?」
「町で人の手伝いを色々してるんだが、いらねぇって言ってんのにみんなが小遣いや食い物をくれるもんだからよ、それで生活がほとんど成り立っちまってんだわ」
「たくさんの人を助けてるんだね。すごい」
「……森で倒れていたのは何故だ?」
「久々に冒険者の仕事に出たもんだからよ、勘が鈍っちまって持ってく食料が少なすぎたんだわ!」
がっはっはっ! と豪快に笑うリューズ。危うく死にかけたのだから全く笑い事ではない。ユリクスは呆れて早々に話に付き合うのをやめた。
ティアやリアナがリューズとの世間話を続けているが、耳を欹てていても呆れるような内容ばかりが聞こえてくるので、ユリクスは馬車の外に感覚を向けた。
やや強い日差しに燦々と照りつけられて、生い茂る木々が輝いている光景が幌のない場所から覗いている。軽く汗ばむ陽気にそよそよと体を撫でていく風が気持ちいい。馬車が走っているのは整備されている大道のため、揺れも小さくて揺り籠のようだ。耳を澄ませば小鳥の可愛らしい鳴き声も聞こえてくる。リューズの吸っている煙草は煙が控えめな物のようで苦い香りはほんのりと。主張の激しい本人とは正反対だ。
昼寝するには最適だ、と判断したユリクスは一眠りしてしまおうと体を横にしかけたが。
「……」
眠りを邪魔する輩がこちらへ向かってきている気配を感じ取ってしまった。げんなりしていると、ライトが振り返ってこちらを見る。
「みんなー、魔獣が一体出たっスー!」
ライトの言う通り魔獣の気配は一体だ。なら自分一人寝ても問題はなかろう。ユリクスは体を横にした。
「ちょっとユリィ、あんた何寝てるのよ」
「……一体の魔獣ならライト一人で十分だろう」
「まぁ確かにそうだけど……」
「おっ、なら恩返しには程遠いが、俺が相手をするぜ!」
意気揚々と馬車からリューズが飛び出していった。リューズの戦いぶりに興味津々といった様子でティアとリアナが馬車から身を乗り出す。
相手は蠍種の魔獣だ。煙草の火を踏み消して対面したリューズはというと、両腕がシトリンに輝いたと思えばただでさえ筋肉で太かった腕が更に一回りも太くなった。続いて、掌中にこちらもシトリンに輝く光を発生させた。その光は徐々に伸びていき、体とほとんど大きさの変わらない大鎚となる。
「へぇ、妖狐種の神核を使ってるなんて珍しいわね」
「珍しいの?」
「妖狐種の神核は魔道具によく使われてるイメージがあるっスね」
「それもそうだし、妖狐種の神核は相性があって難しいらしいわ」
「相性?」
「えぇ。例えば彼のように自分の身体を強化する魔法が使いたくとも、その神核が身体を透明化させる魔法を使えるようになる神核だったら強化の魔法は使えないわ」
「つまり神器が大鎚のリューズの旦那は相性の良い神核と巡り合ったってわけっスね」
「そうね」
リアナたちが話している間に魔獣がリューズに迫る。リューズは悠々と近づいていくと、大鎚を大きく振りかぶった。
「どっせいりゃ!」
グシャリッ! と大鎚を真上から叩きつけられた魔獣は潰れて絶命した。固い外殻のある蠍種の魔獣をぺしゃんこにしてしまうとは、相当の威力だ。
「終わったぜい!」
リューズが神器の大鎚をブンブンと振り回して戻ってくる。見た目からしてかなり重いはずだが、それを軽々使いこなすあたり相当な馬鹿力である。
神器の顕現と腕にかけていた魔法を解いて、リューズが馬車に乗り込んだ。それを確認すると、再び馬車を発進させる。すると、「あれ?」と零したライトが後ろを振り返って不思議そうに言った。
「そういえば、レヴィータまでの道中で魔獣を見たのって、シーガラスを出てすぐ以来じゃないっスか?」
「そういえばそうだね」
「俺もレヴィータを出てから魔獣を見たのはこれが初めてだぜ?」
「変ねぇ。国境でこんなに魔獣を見ないなんてことあるのかしら」
「……面倒じゃなくていい」
「うん。平和でいいと思う」
多少不可解ではあるが、たまには平和でいいだろうということでこれ以上熟考することはなかった。
「まぁ今回シーガラスで受けといた依頼は、レヴィータ王国に向かう途中にある蠍種の巣穴での討伐っスからね。道中いなくても問題はないっス」
「おっ、ならその依頼、俺も付き合うぜ。もちろん報酬はいらねぇ」
「いいの?」
「おうよ! 命を助けてもらった礼ならいくら返しても返し足りねぇくらいだからな!」
「律義な人ねぇ」
「……ライト、依頼の場所まではあとどれくらいだ?」
「もうすぐ着くっスよ! 降りる準備をしておいてほしいっス!」
ライトの言葉にユリクスは体を起こす。近くに寄ってきたティアが慣れた手つきでユリクスの乱れた服を整えてくれる。普段から着崩しているので乱れていても問題はないのだが、ティアが楽しそうなのでいつも好きにさせていた。
「ユリィってば本当にもうティアとライトがいないと生きていけないんじゃない?」
「……別にそんなことはない」
「がっはっはっ! ユリィは世話焼きな嫁さんをもらわねぇといけねぇな!」
「だめ。兄さんに嫁はまだ早い」
「兄貴の健康を守るのはボクの役目っス」
「あんたたちはユリィの何なのよ……」
そんな雑談を交わしているうちに目的の場所に到着した。ここからは馬車を降りて森を歩く。
馬車を魔道袋にしまって全員で森へ入っていった。巣穴への道中も鉢合わせるのは動物ばかりで魔獣に会うことは一度もなかった。
そして巣穴はというと……。
「魔獣、いなくないっスか?」
「いないわね」
「珍しいこともあるもんだな!」
「みんなで獲物を取りに行っているとか?」
「……もしそうなら、ここへ来る途中で一度も遭遇しないのはおかしな話だろう」
「あ、そっか。じゃあ他の冒険者がもう討伐したとか」
「それならまぁ……ありえなくはないっスねぇ」
しばらく手分けをして巨大な巣穴の中と周辺を調べて回ったが、魔獣は一体も現れなかった。死骸もない。一行は首を捻りながらも森を出て、大道で馬車に乗り込んだ。
「今回は魔獣とは縁がなかったってことで。レヴィータに向かうっスよ」
「そうね、魔獣がいないんじゃ依頼のこなしようがないから仕方ないわ」
ライトたちはやれやれとした様子だが、ユリクスは面倒事が減ったと眠りに入る体勢になる。
「兄貴~、寝るのはどの町に行くのか決めてからにしてほしいっス~」
「……任せる」
「確かこの先に分かれ道があって、選んだ道によって行く町が決まるのよね?」
「そうっス」
「ならアクアトラスの町に行くのがお勧めだぜ!」
「アクアトラスって?」
ティアはユリクスが寝やすいようにと枕代わりのタオルを用意してやりながらリューズに問う。
「アクアトラスは観光客に人気の町だ。栄えているし、とにかく綺麗な町でな。水の都とも言われているんだぜ」
「綺麗な町なら行ってみたいなぁ。兄さん、いいかな?」
「……好きにしろ」
「ありがとう」
「なら、アクアトラスに決まりね。メラ、アクアトラスまでよろしく頼むわ」
「ガーウ!」
「そういえば、リューズの旦那はそこに向かっていいんスか?」
「おう! 俺ぁそこに住んでるからな」
「……自分の目的地を言っただけか」
「お勧めなのは嘘じゃないぜ? 俺が保証してやる」
かくして、一行はレヴィータ王国の観光名所、アクアトラスへ向かうことになった。
ユリクスたちのこの選択がアクアトラスの命運を大きく左右することになるとは、この時は誰も知る由もなかった。
お読みいただきありがとうございます。
煙草の吸殻は完全に消火してから正しい場所に捨てましょう。リューズさんのは悪い例です。
次回の更新は28日です。




