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幕間 不死鳥の魔法

アイサ視点です。

 シーガラスのギルド支部長ソフィアが民衆へ向けて演説を行ってから数日が経った。


 時間をかけて、徐々に崩壊した家々や店の修繕は進んでいる。今や多くの民衆が復興作業に参加し、奴隷にされていた人々とも共に作業をしている光景が端々で見られるようになった。もちろん仲良く手を取り合って、とまではいかない。だがぎこちなくても、まだ心が追い付いていなくても、いずれは全ての人々が平等に暮らせる社会になることを目指して少しずつ進んでいくしかない。


 数日前に旅立っていった仲間であるリアナが再び訪れた際に、恥じない国になっているように。


「アイサさん、ここの瓦礫の撤去が完了しました!」

「あぁ、ご苦労」

「アイサさん、こっちの家の修繕はどう進めていきましょう?」

「隣の家とかなり隣接しているからな、同時進行で進めていきたい。そこの家の作業は一旦中止して隣の家の瓦礫の撤去にあたってくれ」

「アイサさんこっちは……」

「あぁ、そこは……」


 至る所から指示を求める声が飛んでくる。私は奴隷解放軍を代表する者として全体をまとめなければ。大変な仕事だが、やりがいもある。何より、町の人々と奴隷にされていた人々、そして奴隷解放軍が共に活動する場を広く見ることができるのは嬉しいものだ。


 指示を飛ばしながら私自身も修繕作業を進めている時だった。


 ガシャァァァン!


 少し離れた場所から何かが崩れる音が聞こえてきた。私はすぐにその方向へ向かう。向かった先にあったのは、崩れかけていた建物が完全に崩壊した光景。


「怪我人はいるか!」

「アイサさん! 一人が逃げる際に転倒して、落ちていた瓦礫で腕を負傷しました!」


 怪我を負ったのは奴隷解放軍のメンバーだ。重症ではないが、瓦礫で腕を切ったようで縦一線に出血している。手当てが必要だ。


「サギリ、救急箱を持ってきてくれ。止血をする」

「はい!」

「あの……」


 近くにいたサギリに指示を出す。しかし、その指示に待ったを掛けられた。相手は一人の女性だ。失礼だが、身なりからして奴隷にされていた人だろう。


「止血なら私ができます」

「止血を?」

「はい、私は不死鳥の一族なので」


 なるほど。不死鳥の一族であるなら涙の効果ですぐに治療ができる。


 そう納得したが、女性は顔を腕に近づけるのではなく傷に両手をかざした。すると両手が淡く輝きだし、その光に触れた傷がみるみるうちに癒えていった。


「どういうことだ……? 涙を使うと思っていたが……」

「確かに、涙を使った方が回復効果は高いです。しかし、この程度の傷でしたら回復魔法で十分かと」

「回復魔法があるのか……?」

「えっと……不死鳥の一族ならば、魔法技術によって効果の差はあっても誰でも使えると思いますが……」

「そう……なのか……」


 回復魔法があるとは初めて知った。


 拠点が襲撃された際、ティア君は回復魔法など使っていなかった。涙の方が回復効果が高かったからか? だが軽傷の者にも涙を使っていたはず……。回復魔法があることを知らない……なんてことは……。


(まさか、な)


 治療をしてくれた女性に感謝を伝えて、私と周りにいた者たちは修繕作業に戻っていった。






お読みいただきありがとうございます。


これにて二章終了です。

次回更新予定日は26日です。

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