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転属

今回は、この1話のみです。


そのため、いつもの1.5倍の文字数に増やしております。少しだけ長いですが、その分内容も濃ゆいものとなっております。


十分、お楽しみに頂けるかと思いますので、ぜひ途中で辞めずに最後まで読んでみてください!


この話で、帝国sideの話が一旦終了します。

次回からクロイツのいる連邦へ話が戻りますのでお楽しみに!


それでは、ラストの帝国sideスタートです!!


         第16話 転属



 3日あった特別休暇も今日でラストとなった。


 シュトルフとシュナイダーの2人は、ラストの休暇であると言うことで、ベシュタター家御用車に乗り街へと向かっていた。


 シュトルフとベシュタターは向かい合わせで座っている。


「今日で特別休暇も最後だな…」


「シュトルフ様、名残惜しいですか?」


 そのシュナイダーの言葉に対してシュトルフは、口角を少し上げて否定した。


「フッまさか。ようやく任務に付けるとなると身体がウズウズしてくるよ」


 シュトルフの言葉を聞いたシュナイダーは、それを微笑ましく思った。そして話を変える。


「それはよろしいことで。それより、昇進の件お聞きしましたか?」


「いや、初耳だな。昇進とは誰のだ?父上か?」


 全く聞き覚えのない事を言われたシュトルフは、キョトンとした表情でシュナイダーに聞き返した。


「シュトルフ様と私の事でございます。シュトルフ様が《准将》に、私が《中佐》でございます。シュトルフ様、御昇進お喜び申し上げます」


 シュナイダーは、シュトルフの問いに答えると同時に、シュトルフに対して祝言を述べた。それを聞いたシュトルフは驚きを隠せなかった。


「っ!!…私が准将に昇進だと?今回は功績という功績は上げていないはずだが…」


「ご謙遜を。この報告はお父上のガレフ様より聞き及んでおります。」


 またも驚いた表情を見せるシュトルフは、すぐさま冷静な表情になり言葉を続けた。


「父上がか!なら正しい情報だろう。…しかし、正式な通知が来ていないからには、表立っては言わない方が良いな。」


 シュトルフの言葉を聞いたシュナイダーは、彼の言葉を肯定して昔を思い出したのか、苦笑いを浮かべていた。


「そうですね。周りから変に恨まれても困りますから…」


 車中でそんな会話をしていたら、あっという間に街へと着いた。車から降りたシュトルフとシュナイダーは、暫し街を散歩することにした。


「…しっかし地上は良いな。艦内と比べると空気が美味く感じるよ」


「同感でございます。人類が()()で暮らしていた時とと違い、今は大気を汚染しない車や生産システムになってますから、澄んだ空気を思いっきり吸い込む事ができますね」


 シュナイダーのウンチクが始まったことにシュトルフはうんざりしながら口を開く。


「何もそこまで解説することはないだろう…。普通に、『美味い!』と言えば良いものを」


「美味い!」


「それじゃ会話にならないだろ」


 よく分からない会話をしながら、2人は当てもなく街を歩いていった。街中を見ながら歩いていると、目の前に戦没者慰霊墓園が見えた。士官学校以来足を踏み入れた事がなかった2人は、これも何かの導きかもしれないと考え、少し寄ることにした。


「シュナイダー。今、目の前に広がっている墓石の数だけ、宇宙で命を散らせた人がいるということなんだよな…」


 シュトルフは、目の前にに広がる墓石を見て、心の中で思ったことをそのまま言葉にした。それをすかさずシュナイダーが肯定する。


「左様でございます。とても悲しいことです」


「あぁ…本当にだ。これだけの英霊が我々には味方しているのだと思うと、連邦との戦いなど容易いものだ。彼らの無念の為にも頑張れるということだ」


「おっしゃる通りです。しかし、戦争が続く限り墓石は増え続けるでしょう…」


「シュナイダー、()()この戦争を終わらせる…。今ここで誓おう!私、シュトルフ・フォン・ベシュタターはこれまで続いてきた連邦との戦いを必ずや終わらせてみせる」


 これまでにない決意を固めたシュトルフの目は、今まで以上に力強く輝いていた。それを見ていたシュナイダーは、これからもシュトルフを補佐することを心に誓うのであった。


 戦没者慰霊墓園より街へ戻った2人は、また少し街をブラブラしたあと屋敷へと戻った。


 屋敷へと帰ると、そこには帝国軍総司令部より電報が届いていた。内容は…


『シュトルフ・フォン・ベシュタター大佐、シュナイダー・ハウスト少佐の両名は、明日0900時、特殊作戦軍司令部へと出頭されたし』


と記されていた。


 その電報に目を通した2人は、明日のことを考え早めに休むことにした。




 そして新しい朝が来る。


 2人は司令部に向かう為、普段から着ている軍服へと着替え、車に乗り込んだ。


 車が帝国軍総司令部に到着すると、入り口には兵士が真ん中に道を開けて並んでいた。車の扉が開きシュトルフが降りると、一斉に栄誉礼をしてきた。


 その光景にシュトルフとシュナイダーは何事かと思い困惑した。しかし立ち止まることはできないので、2人は敬礼をしながら兵士たちの前を通り、総司令部へと入っていった。


 総司令部のエントランスへ入ると今度は、帝国軍元帥直々の出迎えがあった。


 車を降り、栄誉礼を受けながら階段を登った先のエントランス中央に『元帥』である。さすがの2人もこれにはパニックになる。何せ帝国軍のトップが自分達の目の前に居るのだから。


「我らが英雄、シュトルフ・フォン・ベシュタター大佐とシュナイダー・ハウスト少佐がご到着された。皆、敬礼で迎えよ…敬礼!!」


 元帥自らの号令で、エントランス並んでいた帝国軍士官全員が敬礼をした。


 シュトルフ達2人も、慌てて敬礼をする。それを見た元帥は、口元を緩めて優しく語りかけた。


「そう硬くなるな。これもそなたらの活躍が素晴らしいものだったからだ。これよりその功績を評して、新しい階級と特別勲章を授与する」


 昇級するとは聞いていたシュトルフ達は、『勲章』のキーワードに驚いた。しかし冷静に考えると、政治パフォーマンスという言葉が頭に思い浮かんで、少し幻滅した。だが、余りお目にかかれない元帥が自ら授与するとの事なので、シュトルフは胸がドキドキしていた。


 元帥は、場所をエントランスから第1会議場へと移した。


 普段は議長席と議席しか無い場所が、中央には舞台が設置されており、金銀きらびやかな装飾が施されていた。


 壇上に上がった元帥は、シュトルフとシュナイダー2人に対して祝言を行った後、舞台へ上がってくるようにいった。


 舞台に2人が上がると、元帥は言葉を続けた。


「……いうわけで、彼らの完璧な指揮により連邦辺境星系防衛艦隊旗艦と連邦政府軍部大臣を亡き者とすることができたわけだ。その功績を評して彼ら2人に、皇帝陛下の名において帝国特別戦功勲章を下賜する」


 元帥は言い終わると、勲章を手に取り2人の胸元に付け、それぞれと堅い握手を交わした。


 元帥は続いて昇級式を執り行った。


「シュトルフ・フォン・ベシュタター大佐、貴官を【 准将 】へ昇進させ、第2艦隊に転属とする。」


 元帥はシュトルフへ階級章と辞令書を手渡す。続けてシュナイダーに向いた。


「シュナイダー・ハウスト少佐、貴官を【 中佐 】へ昇進させ、第2艦隊に転属とする。」


 元帥はシュナイダーへ階級章と辞令書を手渡した。


「2人とも、詳しい転属先は辞令書に記載されている。後で目を通して置くように」


 元帥は、2人に対して一言添えると、議場に集まっている帝国軍士官に、2人への盛大な拍手を求めた。


 すると、割れんばかりの拍手が議場内を響かせた。その音は防音扉の外に漏れる勢いだった。





 元帥による昇級式と勲章授与式が終わると、2人は特殊作戦軍司令部の司令長官室へときた。


…コンコン


「失礼します。シュトルフ・フォン・ベシュタター准将です」


「同じくシュナイダー・ハウスト中佐です」


「…入れ」


 シュトルフとシュナイダーが中へ入ると、ヴェレス大将は執務用の机に腰掛けながら葉巻を吹かせていた。それを確認した上で、シュトルフほ言葉を続けた。


「ヴェレス大将、この度は我々の昇級を推薦されたとの事を聞き及んでおります。シュナイダー共々、深く感謝申し上げます」


「フッ…礼には及ばんよ。それだけお前達の働きが素晴らしいものであったという事だ」


「ヴェレス大将、さすがに反対意見も出たのではありませんか?」


「ん〜まぁ出たには出たが…」


「…やはり。閣下のお手を煩わせてしまった事をお詫び申し上げます」


 シュトルフは言い終わると、シュナイダー共々深々と頭を下げて、ヴェレスへ詫びた。それをうけたヴェレスは慌てて2人の頭を上げさせる。


「まてまて!何を2人揃って謝るか。活躍した部下の戦果を上へ報告し、それ相応の褒賞を頼み込むのが上官の務めだと、ワシは考えてるからな。当然のことをしたまでだ。だから気にすらでない」


 それを聞いたシュトルフとシュナイダーの両名は、言葉を発せずに再度頭を下げた。…先程よりも長く。


 ヴェレスはそれを見ても、今度は何も言わなかった。

2人が顔を上げると話を続けた。


「そんな事より2人とも昇級おめでとう。次の配属先は第2艦隊らしいが所属はどこになるのだ?」


 少し目が赤くなっているシュトルフは、ヴェレスのその問いに答えた。


「ありがとうございます。所属は第2艦隊所属第3分艦隊司令官とのことです。シュナイダーはどこに配属だ?」


 シュトルフに聞かれたシュナイダーは答えた。


「私は第2艦隊所属第3分艦隊副司令官とのことです」


 2人の回答を聞いたヴェレスは口を大きく開けて笑い始めた。


「ガッハッハッ!また2人同じか。それも分艦隊の司令と副司令となハッハッハッ!!」


 2人の配属が思った以上に面白かったらしく、笑い止むまで少し時間が掛かった。ヴェレス自身の笑いが収まると、ヴェレスは話を続けた。


「この配置も今のあってのことだろう。これからも2人で力を合わせて活躍する事を祈っている。たくさんの功績を上げることを期待してるぞ」


 ヴェレスは言い終わるとニカッと2人を見て笑った。


 シュトルフとシュナイダーは同時に口を開いた。


「「はっ!閣下の期待に応え切れるよう精進します」」



 それを聞いたヴェレスは目頭を押さえて、2人に背を向けて言った。


「今日は朝から2人とも疲れたであろう。今日はもう帰って明日に備えなさい…」



 急に背を向けたヴェレスの雰囲気で察した2人は席を立ち敬礼をし、司令長官室の扉へと向かった。部屋の外へ出る際に、シュトルフがヴェレスに語りかけた。


「閣下の時間が会う時でよろしいので、度々お邪魔してもよろしいでしょうか?」



 ヴェレスは2人に背を向けたまま応えた。


「構わんよ。いつでも来るがいい。楽しみに待っておるぞ」



「はっ!美味しい酒でも持って参上いたします」


 シュトルフはそう答えると口角を上げて、背を向けているヴェレスへと笑いかけ、司令長官室を後にした。



 部屋に1人になったヴェレスは、2人のこれまでの事を思い出し、涙が止まらなかった。


 椅子へ腰掛け、部屋の窓から見える軍港を観ながら、心の中で2人の成功と無事を祈るヴェレスだった。




 2人は帝国軍総司令部を後にして、新たな所属先である第2艦隊所属艦隊が駐留している基地の造船所へ来ていた。そこには巨大な白銀に輝く船が建造されている最中だった。


それを目の当たりにしているシュトルフは、目を丸くしながらシュナイダーに話しかける。


「シュナイダー、あれが俺たちの船だ」


「そのようですねシュトルフ様。前回の作戦で使ったオンボロ船の何倍も大きく美しいです」


「あんなのと比べるなよ。あれが俺たちの船…


帝国軍第2艦隊第3分艦隊旗艦、旗艦型戦艦アングリフ


 か…デカイな。」


 この新造中の戦艦アングリフに乗ったシュトルフが、連邦のクロイツと戦場で見える(まみえる)のは、これより2年の歳月を要することとなる。



 場所は変わり、物語はクロイツのいる連邦へと視点が戻る。

次はクロイツのいる連邦sideです。


更新予定日は18日(水)21時です!


お楽しみにどうぞ(^^)


感想等お待ちしてます。一言で構いませんので、よろしくお願いします!

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