表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引きこもり賢者、一念発起のスローライフ 聖竜の力でらくらく魔境開拓!  作者: みなかみしょう
第十六章「南へ……」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

247/397

232.そんな風に聖竜様とのんびり会話をしながら、俺は土産を選ぶのだった。

 ロウニィ地方の大物、ヨセフの治療は無事に終わった。ついでにあった話し合いも無事に終わった。多分。


「全てはこれからだな。第一副帝やら魔法伯に頼んでメイド島に手配を頼まなくてはならない」


 温泉の町ベシーの宿の一室に集まった俺達一行は、今回の件と今後について相談していた。ヨセフの滞在先は埋まっていたので、宿は別になった。案内役も兼ねているエリーザも一緒だ。ちなみに、宿自体はとても良いもので快適である。


「今更ながらに思うですが、サンドラ様に黙って話をして大丈夫です?」


「このくらいは問題ないはずだ。あくまで俺個人の約束を、サンドラに相談するという形にもできる」


「はい。お爺様もその点は承知しているでしょう。なにより、体調が戻ったのがありがたいです」


 エリーザが頷く。メイド島については俺個人で確約できる範疇の内容では無かったので、こればかりはこれからの動き次第ということになる。


「幸い、聖竜領はメイド島と親交が深い。色んな伝手もあるから、実現可能な案のはずだ。第一副帝にとっても領地が安定するので良いことだと思う」


「では、それに加えて私もお手紙を出しておきましょうか。実はメイド島にあるメイド屋敷の建築に関わったことがあるので、結構話が通るんですよ」


 メイド島のメイド屋敷。深く掘り下げるほど不可思議な場所に思えてくるな。

 ともあれ、リリアの申し出はありがたい。なかなか、頼りになる。


「皆様、このロウニィ地方のために力をお貸しいただき、ありがとうございます。サーフォ様からも、後ほど然るべき場を設けて御礼の言葉があるかと思います」


 話がある程度まとまったところで、エリーザが改めて頭を下げた。


「気が早いな。メイドが派遣されて、無事に君の祖父が業務に復帰してから安心すべきだ」


「皆さんのお力なら、きっと大丈夫ですよ。それに、あんな元気そうな祖父は久しぶりでしたから、そのお礼ということでお願いします」


「わかった。上手くいけば聖竜領にとっても良いことがおきるだろう。人の行き来も増えるから、商売もできる」


「あてくしっ。こちらの地方に新しい支店を出したいです!」


 目をキラキラさせながらドーレスが言う。ダン商会の支店が増えるのか。ドーレスがクアリアからこちらの地方に移動することになるかもしれないな。


「話としてはこんなところか。あとはサーフォのところに戻って報告と、今後の相談だな。リリアとドーレスは帰る前にやっておきたいことはあるか?」


「私はこの辺りの建築関係の組合とか材料関係の商人さんへ軽く顔出しをしておきたいです」


「あてくしは行商させてもらいたいです。先々の商売について、エリーザさんにご相談させていただけると助かるです」


 エリーザの方を見ると笑顔で頷いた。きっと、的確な助言をくれるだろう。


「俺の方は許可を貰えるなら、魔物退治でもしておこう。微力だが、治安に貢献しておく」


「そんなにお力を借りていいんでしょうか? たしかに先日の聖竜領との境界での魔物退治も大分助かったのですが……」


「特技を生かすだけだから問題はないよ。それに、彼女達が出発するまでの間だから、期間は数日だろうしな」


 そう言いながら、俺は窓の外を見た。部屋は二階で、外には緑豊かな山々とその裾に広がる畑が見渡せる。山の上だけあって良い景色だ。


「とりあえず、話としてはこんなところか。せっかく温泉地に来たんだ、少し休んだり、土産でも買うとしよう」


 俺には大事な使命がある。そう、妹と聖竜様への土産を確保するという大切な役割が。


 そんなわけで、ドーレスに保存用の箱の確保をお願いしつつ、俺は宿の外に出た。


○○○


 ベシーの町は温泉目当てに来る客が多い。おかげで坂の連なる通り沿いに店が結構出されている。人手はそこそこ。地下と地上の違いはあるが、どこかドワーフ王国を思い起こさせる光景の中、俺は土産物を物色していた。


『民芸品や装飾品が無難だと思うのですが、できれば食べ物なんかも持って帰りたいと思っています。冷凍すれば何とかなると思いますか?』


『ワシとしては食べ物が沢山あると嬉しいが、保存に関してはわからんのう。とりあえず、冷凍して持ち帰ればトゥルーズが何とかしてくれるんじゃないかの?』


『それもそうですね。菓子の類なんかを中心に持ち帰ります』


『うむ。良い心がけじゃ。しかし、お主の行動範囲が広がるとちょっと羨ましくなるのう。ワシは石像に供えてもらわなきゃならん状態じゃし』


 聖竜様の石像に転送効果があるのは、あの土地が聖竜様の領域であることが非常に強く作用していると考えられている。現状、そこら中に聖竜様の石像を作れば転送し放題というわけにはいかないのだ。


『なにか別の手段があればいいんですが。少し考えてみましょうか。それはそれとして、聖竜領の方はどうですか?』


『なんだか、ワシの事情について軽く流された気がするんじゃが……。まあ良いか。皆、忙しそうに働いておるよ。アイノも色々仕事を手伝っておる。心配はいらんのじゃ』


『それは良かった。アイノが魔力供給できて良かったですよ。俺がこうして安心して出かけられる』


『うむ。よくゴーレムなんか作っておるぞい。充実した日々じゃ。サンドラは相変わらず心配事が多いようじゃがのう』


『今回の件も気にしているでしょうし、朗報を持ち帰りたいですね』


『うむ。ワシの方からもそれとなくアイノに状況を伝えておくのじゃ』


 そんな風に聖竜様とのんびり会話をしながら、俺は土産を選ぶのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。



新作はじめました。宜しくお願いします。

作品リンク→『一部イベント特効ゲーマーの行くVRMMO』



書籍化します。
2025年8月末発売予定です。

作品リンク→『生まれ変わった最強魔術師は普通の暮らしを求めます 』

おかげ様で第2巻が発売中です。
画像をクリックで出版社の紹介ページに飛んでいきます。
html> キャラ紹介
発売日を過ぎてOKが出たので2巻のキャラ紹介口絵です。
読むときの参考にして頂ければと思います。
書籍版、発売中です。宜しくお願い致します。
画像をクリックで出版社の紹介ページに飛んでいきます。
html>
キャラ紹介
書籍販売後はカラー口絵掲載OKとのことでしたので、登場人物紹介を一巻より。
読むときの参考にして頂ければと思います。


ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=758394018&s

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ