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引きこもり賢者、一念発起のスローライフ 聖竜の力でらくらく魔境開拓!  作者: みなかみしょう
第十五章『シスコンと皇帝来訪の冬』

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210.「なんだか久しぶりだな、こういうのは」

 スティーナと家の増築について話した翌日の夜。臨時の領地会議が開かれた。


「なんだか久しぶりだな、こういうのは」


「そうですね。最近は開拓の規模が大きくなったので、その都度担当者との打ち合わせになっていましたから」


 夕食後の領主の屋敷の食堂で、俺は向かいに座ったロイ先生とそんな世間話をしていた。 俺の隣にはアイノ、ロイ先生の隣にはアリアと、それぞれお馴染みの人物が座っている。


「こんなに沢山人が集まるなんて、大事な話があるのね」


「前は定期的に次の予定なんかをこうして集まって話していたんだ。夕食後にな」


 ちなみに今回も時刻は夕食後で、今は会議が始まるのを待つばかりの状況である。

 参加者は俺達兄妹、ロイ先生にアリア、スティーナ、マイアとルゼ、リリア、ユーグ、それにハリアといった感じだ。今の聖竜領内にいる重要人物のみといった感じだな。クアリアにいるマノンとトゥルーズは残念ながら欠席だ。


「みんなお疲れ様。それでは、さっそく会議を始めましょう」


 サンドラとリーラが前に立ち、そんな風に場の開始を宣言した。


「知っての通り、近いうちに皇帝陛下が来るわ。お父様も一緒」


 緩やかな雰囲気と共に、サンドラが緩やかでないことを語った。事前に話がいっていたとはいえ、室内が一瞬どよめく。


「やっぱり来るんですねぇ。皇帝陛下」


 ハリアを抱きながら、リリアがのんびりとそんなことを言った。彼女の仕事の進捗確認も皇帝の大きな目的の一つだというのはわかっているだろうに、さすがの胆力だ。慣れているのだろう。


「ぼく 皇帝を乗せて飛ぶのかな?」


 ハリアの質問に、サンドラが頷いた。


「お父様からの連絡によると確実にハリアによる人間の輸送を要望するとのことなの。私達で前例を作ったのは良かったのか悪かったのか……この際良かったと言うことにしておきましょう。アルマス、ハリア、お願いできるかしら?」


 ハリアが人間を乗せて飛ぶなら安全上、俺が同乗するのは必須だ。あえて頼む形にしてきたのは、領主としての六大竜への敬意の表れと言うことだろう。


「承知した。皇帝を確実に送り届けよう」


「大丈夫。あんしんだよ」


 俺とハリアが言うと、サンドラはにこやかに「ありがとう」と返した。実際、何事もなければ安全そのものだしな。万が一があっても俺が魔法でなんとかできるし。


「皇帝陛下は空の旅と南部の視察、あとはなにをするでしょうか?」


 その質問をしたのはユーグだった。彼はエルフ村で薬草研究をしているのもあって、こういう場に出てくるのはちょっと珍しい。森の中にいれば良く会うんだが、なんだか久しぶりだ。


「あとは狩りね。これは氷結山脈にいくことになるんだけれど。マイアと、やっぱりアルマスにお願いしたいのだけれど」


「わかっていたことだ。請け負うよ。ついでに氷結山脈の様子も確認するとしよう」


 二度目の要望も請け負っておく。聖竜様が教えてくれるとはいえ、氷結山脈の魔物は俺も気になる。もともとその辺りの監視はずっとしていたし、ついでのようなものだ。


「皇帝陛下の主要な来訪目的は今の三つになるわ。あとはその時の気分次第、とお父様が教えてくれたの」


「ヘレウス様が一緒というのは頼もしいですね。皇帝陛下のお相手はこの国で最も慣れている方の一人でしょうから」


「……ええ、そう思うわ。本当に」


 ロイ先生の言葉にサンドラは歯切れ悪く答えた。サンドラの父ヘレウスは家族が関わると途端に能力が落ちる。それを心配しているのだろう。「父が余計なことをしなければいいけど」というのは思春期の娘らしい心配だな。


「アルマス、なんだか楽しそうだけれど。もう一つ問題があるのよ」


「問題? とくに思い至らないのだが」


「皇帝陛下、アイノさんに興味があるみたいなの」


「なんだと」


「…………」


 俺が返事をしたのと同時、隣のアイノが絶句した。驚くのも無理はない。元はただの町娘だ。国家の最高権力者に会うことなど人生の予定に無い暮らしをしていた。


「皇帝陛下なんて人と会って、失礼がないか心配なんですが」


「元々は旅人だということだから、お堅い人間じゃない。大丈夫だと思うぞ」


 なんで自分がとは言わずに、まず心配を始めた。アイノ自身も自分が特殊な状況にあることをよくわかっているようだ。


 アイノについてはサンドラの父をはじめ、色々な経路で皇帝まで情報が行っているはずだ。六大竜の眷属の妹、それも特殊な能力持ちとなれば、興味を持たないはずがない。


「サンドラ、具体的にどうなるか少しでもわかるか?」


「残念ながら。わたしでも予想もつかないわ。ただ、できる限りの手助けはするわ。もちろん、お父様もね」


 サンドラがそう語ると、後ろに控えるリーラや、周囲の面々もそれぞれの反応で肯定してくれた。


「あ、あの。これからも迷惑かけると思いますが、どうか宜しくお願いします」


 室内の雰囲気に慌ててアイノが立ち上がって、頭を下げ始めた。俺も続いて立ち上がる。


「少し手間をかけるが、俺からも宜しく頼む」


 頭を下げると、サンドラが慌てた様子で口を開く。


「気にしないでいいの。わたし達もお世話になってるんだから。なにより、みんなで力を合わせていくのは、ここのやり方でしょ」


「そうだな。良い方針だ」


 数年前を思い出したのか、どこか懐かしむ口調だったサンドラに俺は同意した。

 まあ、なんとかなるだろう。皇帝も結構話しやすい相手だったし。


『油断してるとなにか起きるんじゃよなぁ』


『不吉なこと言わないでください聖竜様』


 六大竜の言葉だと、まるで予言だ。対処するのは俺なのだから、不安を煽るのはやめて欲しい。


 少しの不安を残しつつも、こうして皇帝来訪への準備は進んでいくのだった。

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