ガラスの砂漠
前回の馬にうんこされて諦めた豆腐メンタルのマリコちゃん
素材ゲットに出かける。馬の御者の練習を諦める。
「カノンちゃん……。松風めっちゃポロポロ出してるんだけど」
「くふふふ。きっとマリコちゃんのペシペシが、気持ちよかったんだよー」
気持ちよかったらポロポロするとか、松風ドMだよ!
とりあえずもう御者する気がしない、カタリナちゃんに押し付けよう。
「ふぅ、私、御者向いてないっぽいね。そうだカタリナちゃん御者やってみる? 従者の訓練になるかもよ?」
「はい! 是非とも!」
カタリナちゃんが元気な返事で、馬車の中から出てくる。従者うんぬんを言うと直ぐに食いつく。ムフフ、ちょろいですな。
カタリナちゃんが指導される姿を、後ろから眺める。姿勢がビシっとしててカッコイイ。私もこう在りたかった。
松風は颯爽と山道を進む。
私は、カノンちゃんの指導の邪魔をしない様にと馬車の中に入る。
中では、メリッサさんとシャルが遊んでいた。タオルの引っ張りっこしてる。
「シャルちゃん意外と力強いのー」
「むいぃぃぃぃー」
歯茎をむき出しにしてタオルを引っ張るシャル。やだちょっとキモ可愛い。
メリッサさんに交代してもらって、今度は私が引っ張る役をやる。シャル! 勝負だ!
「おぉぉー。シャル強いじゃん」
「むぅいぃぃぃー。ふぉぉぉおおーー」
チートな私でもちょっと引っ張られたので、人間の大人並かな? なんか踏ん張るシャルの声が面白い。少し意地悪してみよう。
私は、タオルを掴んだまま立ち上がり、シャルごと上に引き上げる。シャルの一本釣り!
「釣ったどぉーーー!」
「キャッキャ! ハハハ!」
一本釣りするとシャルがご機嫌に笑う。少しクルクル回してから降ろしてあげる。
タオルを放すと、シャルがタオルを握ったままブンブン振り回す。
「マリーコに勝ったー」
「っあ! タオル最後まで持ってた方が勝ちだったの!? 私、シャルに負けちゃったよー」
負けを認め、シャルの頭をナデナデする。コヤツも成長したものよ。
そんな感じで遊んでいると、お昼前に御者していた二人が私達を呼ぶ。
「マリコさん、山越えました! 景色綺麗ですよー」
「おー! 絶景! これ全部ガラス!? オアシスってこうなってたんだ!」
駆け寄って外を見ると、遠めに見える砂漠、地平線まで全部砂、これ全部ガラス質なのかー。
そして砂丘の間に、所々湖みたいにエメラルドグリーンの水が溜まってる。大自然の絶景!
ブラジルのどっかの国立公園に似てるなぁ。テレビの旅番組で見たヤツに似てる。
「思ったより近くだったんだ。今日中に着きそうだね」
「うんうん。早い早い。松風はかなり良い馬だねー。山道スイスイ登ってくれたしー。っあ、でも、下り道は速度だすと事故るから注意しないとだよー。松風も疲れるだろうしー」
「そうだね、もう直ぐお昼だし、松風も休憩させてあげようね」
少し進むと、いい感じに開けた場所を発見。お昼休憩だ。
松風を木に繋いで休憩させる。適当に生えている草を食べだしたので、お水を木のバケツに入れて置く。お疲れ様です。
さて、私達も昼食だ。カノンちゃんが敷物を敷いて、食器、作り置きしていたおかず、サンドイッチを出す。
外で食べる食事はなんか美味しく感じるなぁ。あっという間に食べ終わる。
直ぐに出発と行きたい所だけど、松風の休憩が短すぎて可愛いそうなので、少しまったりすることにする。
辺りを見るとクローバーが一杯生えていた。アレ作ろっかな。
「マリコちゃんなに作ってるのー?」
「んー、花の冠だよ」
クローバーを摘んでサクサク冠を作る。クローバーの冠に他の花も差し込んで、少しゴージャスな花冠が完成! 我ながら良いできだ。
とりあえずシャルの頭に乗っけてみる。
でも、魚頭には乗らない。直ぐに落ちちゃう。残念。
そんな私の姿を見たメリッサさんが言う。
「素敵な冠なのー。腐らせちゃうと勿体ないから錬金術で加工しませんか?」
「っえ? そんな事できるんですか?」
「えぇ、長期保存できるの。カノンさん錬金台をお願いします」
「はいなー」
メリッサさんが錬金台に花冠を置いて魔法を唱える。ペカーっと光る。成功したらしい。
花冠を受け取って触ってみる。見た目花だけど硬い、落としても平気な位に強度があるのかな? 長期保存とか言ってたから、プリザーブドフラワーみたいな、生花を長期保存する技術かと思ったら、全然別物だね。地球よりも凄い技術だ。
出来上がった花冠は、カノンちゃんに収納してもらう。我が家に帰ったら飾ろう。さて、休憩終了。再出発だ。
松風に馬車を引いてもらい再出発。ゆるい下り坂を進む。
途中、御者を交代しながら目的地に進む。
そして、夕方にキャンプ予定地の砂漠と道の境目に着く。
そして、皆でダッシュして砂山を登る。そこから見えたのは、夕日に染まる砂漠と湖。この世界に来てから一番の絶景。
「凄く……。綺麗……」
「そうですね……」
私と同じで、この光景を初めて見たカタリナちゃんも、感動しているらしい。あまりの美しさに言葉が少なくなる。
感動に浸る私達に、カノンちゃんが何時もの調子で言う。
「日が暮れる前にテント張っちゃおー。戻るよー」
むー。もうちょっと見たかったなぁ。カタリナちゃんが笑顔で「っだ、そうですよ」っと私の手を引っ張り、キャンプ地点まで戻った。
早速テントを張るお手伝いをする。メリッサさん指導の元、三角形のピラミッドの形をした、分厚い布でできたテントを立ち上げる。
テントの次は夕食の準備、外で皆と食べるといったらやっぱりBBQでしょ。野菜と肉をカットして、太めの竹串に刺していく。
各自食べたい物を刺して準備完了! 大きめのコンロに炭をくべてファイヤーする。
いい感じの火力になったので、網を敷いて食材を焼く。ジュー、ジューっと食材を焼く音と肉の香りが食欲を誘う。あぁーお腹減ったー。
焼きあがり! ハフハフしながら食べる。旨し。
途中、カノンちゃんの特性タレ、メリッサさんの謎香辛料で味を変えてBBQを堪能する。ダンジョンボスの黒岩塩も旨みがあっていい。
食べ終わった私は、椅子に座る。食べ過ぎた。もう動けん。
カノンちゃんとメリッサさんが焚き火の準備をしてる。ぼーっとしながら見てるとカノンちゃんが魔法を唱える。
「カノンさん、ストーンスローここにお願いします」
「ストーンスロー!」
ドンっと両手で持てる程度の大きさの石を、次々に出し円状に設置する。
あれ? カノンちゃんって攻撃魔法は使えないんじゃないっけ?
種火に使う枝を選んでいたカタリナちゃんも、疑問に思ったらしく質問する。
「カノンさん攻撃魔法使えたんですか?」
「っふっふっふ。実は使えるんだよー」
「カタリナさん嘘ですよ。川原で拾った石を収納魔法で出してるだけなの」
「っあ! メリッサちゃん! ばらさないでよー」
なるほど。多分私の知らないカノンちゃんの必殺技だな。収納から取り出した石を敵に投げる技だなきっと。
「そうなんだ。でも、石って投げられると地味に嫌だね」
「うんうん。弓矢切らしてる時はこれで頑張ってたんだよー」
「そうそう、カノンさんとダンジョンの2階層に行った時――」
メリッサさんがカノンちゃんとの昔話をしてくれた。
ほぼ無一文状態で町に着いたメリッサさんと、食事の代金を払った時に、うっかり財布を置き忘れて紛失したカノンちゃんが、コンビを組んでダンジョンに食べ物を求めて挑んでいたらしい。知ってる人の、クエストの失敗談とか中々面白かった。
焚き火を囲んで仲間とお話。ちょっとしたキャンプ気分で楽しい。
「マリコさん! 上見てください!」
カタリナちゃんがちょっと興奮気味に言う。上を見てその理由が直ぐに分かった。
「綺麗な星空だねー。私の居た世界じゃ、こうも綺麗には見えないよ」
「そうなんですか? でも町で見る星空と違いますね。何時もより綺麗に感じます」
「山とか光の無い所で見ると綺麗に見えるらしいよ」
うーん、綺麗な星空。地球に居た時には見たことないくらい綺麗だなぁ。
星座とかどうなんだろうって思ったけど、全然分からないや。元々詳しくないし。
「こっちの世界にも星座ってあるのかな?」
「あるよー。あそこに見える赤い星が一番有名なウンバボ座だよー」
「ウンバボ……星座にもなってるんだ」
「その隣の三角なのがマリコちゃんが大好きなキノコ座だよー」
「別に大好きって訳じゃないよー」
カノンちゃんが枝で図を描いて、どれがどの星座か教えてくれる。
意味不明な納得できない正座が幾つもあった。右膝を負傷した衛兵座と、左足を負傷した衛兵座とか思わず「別に負傷した位置を、左右分ける必要なくない!? っていうか右膝が星四つなのに左膝は星二つなの!? 統一しないの!」っと突っ込んだ。
そんな私にカノンちゃんが言う。
「まぁー、昔の人が適当に考えた事だから仕方ないよー」
「そうだね、私の居た世界の星座も意味不明なの多いよ。絶対そんな風に見えないってやつ」
「何処の世界でも、昔の人は想像力豊かだったんでしょうね」
皆で昔の人達の想像力に思いを馳せる。
星空を堪能し、適度に眠くなったので就寝。一応野外なので交代で見張りをする。交代の時間は、ちょっと大きめの砂時計を使う。一時間位。
私も一回見張りしたけど何も起きなかった。そもそも食べるものが少ない砂漠の近くに、モンスも住んで居ないらしい。やることも無いので、新しい必殺技の名前とか考えて過ごした。
翌朝、カノンちゃんに起こしてもらう。一番最後の見張りだったメリッサさんが、朝食も用意してくれていた。
皆そろって朝食を食べる。スープ旨し。コンソメっぽい味がする。
食べながらメリッサさんに、コンソメの作り方を教えてもらう。
食べ終わった後は、ハーブティを飲みながら今日の予定を決める。
「さて朝ご飯も食べたし、ガラスの素材取りに行く?」
「異議なーし!」
「はい! 畏まりました!」
「ありがとう、箱沢山あるけどお願いなの」
「シャルも、行くー」
全員の了解が出たので、早速、素材の採取に向かう。松風はキャンプに置いてく。モンスも出ないし、お水と干草があれば大丈夫だろう。
皆で砂山を幾つか登って綺麗な砂山に着く。
カノンちゃんにお願いして、木箱とスコップを出してもらう。木箱は一辺が百二十センチ位のやや大きい木箱。
「んじゃ、ちゃっちゃとガラスの砂、採取しますか!」
「「「おぉーーーー」」」
箱を横にして砂を流し込む様に入れたり、スコップで地道に頑張って木箱一杯にガラスの砂を入れる。
無事に全ての木箱に砂を入れ終わる。我が家にあった魚臭くなった木箱にも入れた。何かに使うかもしれないし。
まだお昼前だけど一旦キャンプに戻る。
午後は皆でオアシスで遊ぶことにしたけど、昼食もまだ早い感じ。お腹減ってない。
そうだ、ソリを作つくろう。砂山を滑って遊ぼう。
メリッサさんにお願いしてソリを作ってもらう。絵を描いて跨るタイプの二人乗りのソリにしてもらう。
スキーバイクみたいな形の、小さめのソリが完成する。
その後はちょっと早い昼食を食べ、泳ぐ支度をする。
カノンちゃんとメリッサさんは、白ビキニなので準備無し。カタリナちゃんはカノンちゃんに白ビキニを借りて着替える。
そして私だけこの前作ったカエルパジャマに着替える。カエルマリコに変身! 水場といったらカエル。コイツの性能を確認しよう。
再び砂山を幾つか越えて、沢山ある湖で泳ぐのに良さげな所に行く。
「ここ深さも良さげだね。ここで遊ぼうか?」
「うん! ここにしよー」
「私、泳いだこと無いのですが大丈夫でしょうか?」
「足が付く所なら平気だよ。泳ぎ方も教えてあげるね」
「みずー、みずー!」
シャルが叫びながらダッシュして飛び込む。一番乗り。
私達もシャルを追っかけて湖に飛び込む。透明度の高い水。気持ちがいい。
泳いだ事の無いカタリナちゃんも、ちょっと平泳ぎを教えたら出来る様になった。カナヅチキャラとかじゃなくてホッとする。
カタリナちゃんの指導を終え、カエルマリコ状態で少し泳ぐ。なかなか素早く動けますな。水中呼吸は無理だけど、何時もの数十倍息が持つ。
そんな私を華麗に抜き去る魚影が、水のプロ、シャルだ。気をつけの直立不動の体勢で、水中を自由自在に泳ぎまわる。流石、手足が生えてても魚、水の中はお手の物だ。
そして、カノンちゃんが、シャルに跨りマリンジェットみたいに乗って遊ぶ。私も後でやってもらおう。
とりあえず私はカタリナちゃんを連れて、ソリで遊ぶ事にする。
砂山の天辺まで上り二人でソリに跨り、湖目掛けて滑るのだ。
「いくよ! カタリナちゃん!」
「ハイ!」
体重を前に乗せ、砂山を滑り下る! 勾配でソリの速度がどんどん上がる。
「いえーい!」
「わぁぁーーー」
二人で楽しい悲鳴を上げる。あとちょっとで湖にドボンだ!
しかし、湖の手前でソリが前のめりになり、二人とも勢い良くソリから投げ飛ばされ、空中で回転しながら湖に落ちて行く。
「っいっぎゃあぁぁぁぁぁ!!」
「キャーーーー!」
ドッボーンっと大きな音を立てて、水飛沫が舞う。
カタリナちゃんが水中から顔をだして、ブルブルしてから言う。
「はー! 楽しいー! あれ? マリコさん顔、引きつってますけど大丈夫ですか?」
「股間をモロにぃ…………」
ソリが前につんのめった時に、モロにヒットしてしまった。普通に痛い。
股間に手を当て回復魔法を唱える。
涙目の私は、全身タイツみたいなカエル姿で、股間を光らせた。
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