新しい同居人
※42話のアンネの家政婦の名前をアンからクレアに変更しました。
前回の知人女性に無料で色々作らせたマリコさん
パジャマ作る。カエルに変身する。
「ぐはぁぁ!!」
私の突っ込みに盛大に吹っ飛ぶカイさん。飛距離五メートル。白目むいてる!? やりすぎた。
急いで向かいの家の壁にもたれかかるカイさんに、回復魔法を掛ける。
意識を取り戻したカイさんを連れ、玄関に戻る。カエルに変身した状態で、家の外に出るとメンタルがゴリゴリ削られるので。
「何か御用ですか?」
「すみません。エラさんからの伝言です。防衛戦の報酬の受け取りがまだなので、取りに来てくださいと、言ってました」
「っあ、はい。そのうち取りに伺いますね。ありがとうございました」
私はそう言って扉を閉める。そういえば報酬貰って無かったなー。ただ働きはいかん、取りにいかなきゃ。
でも、今から夕食だしそのうち取りに行こう。
私は、カエルパジャマから普通のパジャマに着替る。カエル状態の解除は、脱げろーっと念じるだけで脱げた。でも下着姿になるので、外でやったら大惨事だよ。注意しなくては……。
着替えた後は、皆で夕食を美味しく頂く。鹿肉のステーキ、謎野菜のサラダ、カボチャのスープ。どれも旨し。
夕食を食べ終わり、新しく作った大理石のお風呂を設置する。その時ふと気づく。
「ねー、シャルロットってそもそも水必要なの? 最近はカノンちゃんの側にいつも居るし」
「んーどうなんだろー。寝る時は水の中で寝てるけど」
「お水ー。気持ちぃー」
「シャルは水あった方がいいー?」
「あった方がうれしいぃー」
一応あった方がいいらしい。っていうか、最初からシャルロットに直接聞けばよかった。日々、言語能力がレベルアップしてるし。
「それじゃ、当分はシャルロットにもお風呂使ってもらおうか」
「そうだねー。使ってない時は水いれとこー」
「了解! んじゃ、ちゃっちゃとお風呂沸かそう」
魔法でちゃっちゃっとお湯を張り、カノンちゃんが一番風呂。
私はリビングに戻って、カタリナちゃんとおしゃべり。
劇場運営の方もいい感じに進んでて、銀猫姫意外の演目も大道具がそろえば出来るらしい。
劇をやってない時間帯も、劇場の貸し出し予約が埋ってきてるらしい、演奏会とかもやるみたいだし。
しばらくすると、カノンちゃんがホコホコした状態でお風呂から出てくる。
私が「新しいお風呂どうだった?」っと聞くと無言でサムズアップ。これは期待が持てそうだ。
服を脱いで浴室に入ると、浴槽にシャルロットが入っていた。コヤツお湯も大丈夫なのか……。
湯船に浸かる前にヘチマと石鹸で体を綺麗に洗う。
体を洗い終わり湯船に浸かる。あー、足の伸ばせるお風呂ー。最高ー。
足をパタパタしてると、うっかりシャルロットを蹴飛ばしてしまう。
私が「っあ、ごめーん」っ言うと、シャルロットが私の方を向く。
「マリコー、足、短いー」
「なっ! 失敬な!」
生粋の日本人に足の短さを指摘するとは、この魚め! お仕置きしてやる。
シャルロットに飛び掛って、両手で掴んで持ち上げる。
「マグロ! 採ったどーー!」
「っお、降ろしてー」
ピチピチと跳ねるシャルロットを上下に動かすと、途中から「キャッキャ」っと喜びだす。この魚、笑うだと!? 無表情だからちょっとシュールだ!
シャルロットを浴槽に戻し、私も肩まで浸かり、ちょっと質問してみる。
「シャルロットは何処から来たの? 何歳?」
「うーみー。うーみー」
「ねー、シャルロットは今の生活楽しい?」
「キューリ、楽しー。かのーんが、くれる」
そういえばカノンちゃんキュウリ食べさせてたな。あれ好きなのか。
「留守番してる時は何してるの?」
「留守番ー、さみーしぃー」
「今度一緒に外に出てみる? 水無くても平気?」
「へーき、へーき、外にでるー」
おぉ、留守番の時寂しかったのか。ういヤツめ。
どっかお出かけする時に連れてこうかな?
その後もシャルロットと雑談し、満足するまでお風呂に浸かる。
お風呂から出て、カタリナちゃんに「お風呂お先でしたー」っと言ってから、ベットでゴロゴロする。
私がゴロゴロしていると、カノンちゃんがやって来て本を渡される。
「マリコちゃん、文字覚えてたいって言ってたよねー? これの最後のページに一覧が描いてあるよー」
「あー。ありがとう。ついでに読み方教えてもらっていい?」
カノンちゃんに読み方を教えてもらう。ローマ字感覚なのでそんなに苦労しないかな?
最後のページの一覧を見ながら、本のタイトルを見る。
これ……女神教の聖書か。一般人はこれ読んで文字覚えるのかな。布教活動頑張ってるなぁ。
そんな訳で、夜の寝る前の時間は語学の勉強をして、眠くなったので就寝する。
翌朝、食事をしているとアンネさんがやって来た。引越しのお迎えだ。
朝食を食べ終わり、早速アンネさんの家に向かう、ギルドの近くの普通の家。
「思ったよりも普通の所に住んでるんですね。なんかもっとゴロツキの巣くう危険な場所を想像してたんですけど」
「おい! 偏見だな! これでもちゃんとギルドでクエスト受けて稼いでるんだぞ。綺麗な所に住むのが普通だろ」
私とアンネさんが玄関で騒いでいると、奥から一人の女性が出てくる。私よりちょっと身長とおっぱいが大きいけど同世代かな? 茶髪のセミロングの可愛い子。
「お待ちしておりました。クレアです。これからお世話になります。よろしくお願いします」
「はじめまして、マリコです。クレアさん、もう長い間アンネさんのお世話されてるんですよね? これからは、私達もお世話になりますね。よろしくお願いします」
私がペコリと頭を下げると、クレアさんがとんでもない事を言う。
「私のことは気軽にクレアとお呼びください。七歳の時にアンネさんに攫われてからずっとお世話をさせていただいております」
私、カノンちゃん、カタリナちゃんの視線がアンネさんに突き刺さる。
「ガチ百合アウトー!」
「これは衛兵さんに通報しないといけないよー」
「そうですね。明らかに犯罪です」
カノンちゃんですら通報案件だと言う。これはあかんやつや。
オロオロしながらアンネさんが弁明する。
「いやいやいやいや! 攫ったのは盗賊団だから! って私も襲撃してたか!? 商団馬車を襲った時の生き残りの子供を私が貰ったんだ! でも、無理やり従わせてる訳じゃないからな! クレアにも逃げたくなったら逃げていいって言ってあるし」
「マリコさん、犯人が言い訳をしています。どうしますか?」
カタリナちゃんが冷酷に私に判断を仰ぐ。
私が「うぅーん」っと唸っていると、被害者のクレアさんから追加の証言。
「父を殺され、母を売られ、深く憎んでおりましたが、今は憎んでいません。アンネさんには命を助けてもらって、何の不自由もない生活をさせて頂いてますから」
っちょ! お父さん殺されてるとか、洒落にならない内容じゃないか。
「本当に大丈夫? 嫌だったら言ってね。アンネさんぶっ飛ばしてでも逃がしてあげるからね」
「ご心配なく、十歳の時に男達に襲われそうになった私を見て、憤慨したアンネさんが盗賊団の幹部を全て殺してくれましたから、私の復讐はそこで終わっています。それに盗賊団での暮らしも楽しいことはありましたし」
「そういう訳だマリコ! 私は無実だ!」
「いや、本人がいいよって言ってるだけで有罪ですよー。これからはクレアさんに一杯尽くしてあげてくださいね」
なんか我が家のお手伝いさん、人生波乱万丈すぎるよ! お手伝いお願いしにくいよ!
そんなこんなで自己紹介を済ませ、引越しを始める。
カノンちゃんが置いてある荷物を格納するだけなので直に終わる。
不動産屋に鍵を返しに行き、時間が余ったのでお店をブラブラ見てまわる。
家族も増えたので、リビングのテーブルと椅子を新調し、ソファーや家具もゲット。
その後も雑貨屋さんをうろうろしする。
お腹が減ったところでギルドに向かう。酒場でご飯食べるついでに、貰い忘れてた報酬を頂こう。
ギルドに入ると、受付に居たエラさんと目が合う。先に昼食のつもりだったけど、目が合うとスルーしずらい。先に報酬を頂きますか。
「お久しぶりです。昨日連絡もらった報酬お願いします」
「ちゃんと取りにきてくださいよー。私も忘れることありますからー」
「すみません。このところ新劇団の立ち上げで忙しかったので。昨日はカタリナちゃん別行動だったし」
「あー、そういえばマリコさんってパーティー登録してなかったですね。パーティー登録すれば、誰か一人が来れば報酬受け取れますよー。まぁ持ち逃げも有り得なくは無いので、特にお勧めもしませんが、とりあえず登録用紙だけ差し上げますねー」
「っあ、ありがとうございます」
「では、マリコさん達は現金受け取りですよね? 報酬持ってきますので、ちょっと待っててくださいねー」
ちょっと待つとエラさんが戻り、三つの袋を私達の前に置く。
私が百万。カノンちゃんが百五十万。カタリナちゃんが五十万。最近、金銭感覚が狂ってきた。インフレぎみ。
嫌がるけどカノンちゃんにお金を預ける。ギルドに預けるのめんどいし。
ギルドの酒場で昼食を食べる。私はケバブっぽいものをチョイス。程度にスパイシーで旨し。
昼食を食べ終わってからは、我が家に戻り引越しの続きをする。
空き部屋にアンネさんとクレアの荷物を置く。私もベットとかの家具の配置を手伝う。
しばらくすると、扉の隙間からこちらの様子を伺っていたシャルロットが、部屋に入ってきた。初見のクレアがビクッとなる。
「この子、我が家のペットです。まぁ……慣れてください」
「っは、っはあ? 変わった生き物ですね」
「ほら、シャル、ご挨拶ー」
「ッシャ、シャル、ロットー」
「喋った!?」
「喋ります。意外と言葉通じるから暇な時遊んであげてね」
クレアが「可愛いの、かな?」っと疑問系だったけど仕方ない。これは馴れるしかない。私も最初はドン引きだったし。食材だったし。
引越しの荷物も片付き、夕飯の支度をする。今日は引越し祝いだ! 気合をいれて作るぞ。
引越しといったら引っ越しそば! そば粉から手打ちだ! っと言いたいところだけど、そばの打ち方なんて分からないし、そば粉も無い。
仕方ないのでスライムの麺料理、ドルンガーを作る。雑貨屋さんでスライムの核を麺にする道具も購入済み。
塩にこだわるカノンちゃんがスープを作る。
クレアはトッピング用に野菜をきざむ。中々手際が良い、料理上手ぽい。
私、器具にスライムの核入れてドルンって出す係り。超楽。
仕上げに、カノンちゃん秘蔵の鹿肉のチャシューと謎の味付け卵をトッピングしてカノンちゃんがキメポーズで叫ぶ。
「至高の塩ドルンガー! 一丁あがり!」
皆で「イエーイ」っと言いながら拍手する。家族が一気に増えた性か、カノンちゃんのテンションが何時もより高い。
作り置きしていたおかずも並べて夕食を食べる。至高の塩、旨し。味付け卵も美味しい。カノンちゃん変なところでこだわる性格だから、この味付け卵も相当作り込んでるとみた。今度コツを聞いてみよう。
夕食の後は、お気に入りのお風呂。
人数が増えたので私、カノンちゃん、カタリナちゃんの三人で入り、その次にアンネさん、最後にクレアが入ることになる。アンネさんと一緒にお風呂は怖い、クレアは最後に入ったついでに掃除をしてくれるらしい。
わいわい三人でお風呂に入り、アンネさんと交代する。
リビングに戻るとクレアとシャルロットが遊んでいた。
「マリコさん、この子、結構可愛いですね」
「あー呼び捨てでマリコでいいですよ。わたしもクレアって呼びますから」
「わたしもカノンでいいよー」
「私も呼び捨ててで構いません」
「シャルはー。シャルって呼んでー」
「おぉー、シャルロットってシャルって呼ばれたかったんだ?」
私は「シャルー」っと呼びながら高い高いをしてあげる。シャルが「キャッキャ」笑う。見た目、魚に手足が生えてる異形だけど、なんかちっちゃい子供みたいで可愛い。素直でいい子だし。
シャルを床に降ろして、クレアに聞いてみる。
「シャルには馴れたみたいだけど、ここでの生活は馴れそう?」
「そうですね。ここ五年間はアンネさんと二人っきりだったので……」
アンネさんと二人っきり。……ゴクリ。
いやらしい事されて、実は殺意もってますとかないよね? ちょっと不安になってきた。何か確認する方法無いかな……。っあそうだ。
「そういえば、ギルドカード持ってます? 良かったら見せて欲しいなぁ。っあ、ついでに更新も」
「いいですよ。一応冒険者登録してますし、部屋に置いてあるので持ってきますね」
ふっふっふ。職業欄を見れば、危ない職業かどうか位は分かりそう。
クレアがカードを持って来て見せながら言う。
「カード更新しました。子供の頃から変わらない、謎の職業がでるんですよ。知ってます? この職業」
クレア (腐女子):10
「…………」
「うーん、聞いたことない職業だねー」
腐女子……。確か殿方同士のラブロマンスを好む女性ですよね? 職業なのか!? この世界では!
盗賊団での生活で、楽しかったこともあったって言ってたけど、男ばかりの盗賊団で……。いや考えちゃダメだ!
まぁ、本人は意味を知らないようだし、そっとしておこう。
どうやら我が家の新しい同居人は、間逆の性癖の様だ。
この二人なら間違いが起きることは無いと思うけど……濃いなぁ。
何とか二日更新を維持しておりますが、不定期になるかもです。
四章までは書くつもりでも、気長にお待ちください。
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