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っちょ!これ! 私の想像してた異世界転生と違います!  作者: 神籠神社
私、スーパーなマリコになりました。
19/46

集結と会戦

前回の割と空気扱いだったマリコちゃん

ダンジョンで無双する。ウンバボ族と飯食べる。魔物が町に攻めてきた。

 私達が工房に行くと前回の白ビキニとは違うロングコート姿のメリッサさんが台車に荷物をまとめていた。逃げる気満々じゃないですか……。


「カノンさん来てくれたんですね! これ収納お願いします。こっちも薬品の予備なの! お願い」

「もちろん! 任せて!」


 ごめんなさい。どうやらメリッサさんも戦う気満々らしい。

 荷台の荷物は全部戦闘用の物資のようだ。

 メリッサさんの前のはだけた、ロングコートの下がチラッと見えた。


「メリッサさんそのコートの下って……」


 メリッサさんは笑顔でコートを開いてみせる。全身に無数の皮ベルト……木で作られた筒が沢山ついてた。コートの裏にも謎の薬品やポケットが沢山ついていた。


「これ全部毒です。魔物が近づいてきたら中身を振りまいて痺れさせたりできるの。魔物も噛み付けば危ういのが分かるのか結構避けるのです」

「説明はあとでだよー。ギルド行こう! きっと皆あつまってるよ」


 急ぎギルドに向かうと出遅れたらしく衛兵さんが冒険者を東口に誘導していたので私達も東口に向かった。

 東口に着くとすでに百人近い冒険者と戦闘意欲のある町の人らしい人達も五十人ほど集まっていた。私以外にも後から人が少しずつ集まっているようだ。

 衛兵のおじさん達も二十人程度しか居ないけど投石機らしきものを準備している。


 見渡すとウンバボ族の二人やジョーさんにギルドのマスターと知らない冒険者の数名が集まり何やら真剣な顔で話しをしていた。

 これは遊びじゃない。私達のような下っ端の冒険者が声掛けていい雰囲気ではなかったので遠巻きで見る。


「カノンちゃんあそこに集まってるのがこの町の凄腕の冒険者なの?」

「うん! そうだよ! あの緑のスカーフを首に巻いてるお姉さんが首狩蟷螂のアンネさんで三体の人形が側にいるのがボニーさんでドールマスター。この町で一番の魔法の使い手なんだ!」


 緑のスカーフの人はなんとなく分かってた。鋭い目つきで腰に二本の大きいナイフでいかにもって感じだったから。

 でもドールマスターの子はなんかゴスロリっぽいドレスに黒い羽帽子を被ってる。 羽帽子は、風で飛ばされないようにするためかやたら可愛い紐に留め具がついている。

 コイツ戦場に何しにきてんの? そんな装備で大丈夫か? って言われそうな格好だ。人形抱っこしてるし。

 そんな事を考えてたら気づいた。私も買い物途中でお洒落着だった……。場違いじゃないか。

 他の冒険者の特徴をカノンちゃんに聞いていたら話が終わったらしく私達に気づいたギルドのマスターが手招きするので話しの輪に近づく。


「来てくれたか荷物持ち! 無理すんなよ。お前は何時も通り倒した魔物拾い頼む。足元にあると邪魔だからな。お願いします!」

「わかってるよー。矢が減った人の補充とか回復魔法とかわたしにやれることしかやらないから安心してー」


 相変わらずギルドマスター最後だけ礼儀正しい。

 そしてジョーさんもやってくる。


「さぁダラの町に沢山のお客さんだぎゃ! おもてなしをしてやるぎゃ!!」


 やる気満々のジョーさんと話していると今度は、メル姉さんがやってきてカノンちゃんの頭をわしわしする。


「マリコとカタリナあとメリッサも私と一緒に来い! 私達は、兄さんと一緒に中央だ! 右はジョーとアンネが取りまとめで左はマスターとボニーだ」


 どうやら三部隊に分けて編成したらしい、私達は指定された配置に着くそして思う。


「なんか中央だけ人少なくないですか……」

「確かにそうだな。それだけ私と兄さんは強い。安心しろ」

「敵の数はどれくらいなんでしょうか……」


 カタリナちゃんも怯えてる。私も戦場なんて初めてだから少し体が強張る。


「先行した斥候の話だと魔物の数は千以上だ。こっちは戦えるものもが集まっても三百程度だ。でも一人四匹倒せばつりがくる。楽勝だ」


 その時、左の部隊のおっさんが叫ぶ「魔物がもうすぐ来るぞ!!」まだ私達には魔物は見えないが横に居るゴスロリさんが人形を空高くに飛ばして上を向いていた。 恐らく人形に見えるものが見えるのだと思う。少しすると土煙が見えた。

 私は、カノンちゃんに出してもらった木刀を持って構える。

 土煙を見たボルボンボさんが私達にいう。


「メルのヤツは今から俺の支援をする。支援している最中はコイツの戦力は大幅に落ちるから魔物が行ったら処理を頼むぜ……本気のウンバボ族を今からみせてやる……」


 そしてボルボンボさんが叫ぶ!


「おい! やろうども! この町が好きか! 俺はこの町を愛している! この町には守るものが沢山ある! 俺達が最後の砦だ! こっから先は一匹通すな! 皆殺しにするぞ!」


「「「おぉおぉぉおぉおおおお!!!!」」」


 一斉に皆が咆哮する。参加が自由なのに集まる精鋭達だ。士気が凄く高い。

 魔物が迫ってくる。ダンジョンで倒した狼の三倍ぐらいの大きさの魔獣だ。

 近づいてきた魔物を睨みボルボンボさんが戦火の火蓋を切る。


「いつの時代も戦場を支配するのはウンバボ族! 先駆けは誰にも譲る気は無い!! 行くぞぉぉお!!」


 ボルボンボさんが駆け出し、メル姉さんが「押!」っと返事をしてなにやら詠唱を始める。


「漢は背中に守るものが在る時! 決して怯む事は無い! 偉大なるアニキよ! 勇敢な漢に無慈悲なる無敵の力を! 【天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)!!】」


 なんか変な魔法キター。何時もならここは突っ込まなければいけないけどそんな余裕は無い。だって突っ込んできてますもん魔物。

 天上天下唯我独尊は、お釈迦様の言葉だよ……。無慈悲は不味いよ……。

 そんな私の心とは裏腹に魔法詠唱が終わったボルボンボさんの体からオーラのようなものが迸る。

 そして、地面擦れ擦れの低姿勢でものすごい速さで魔物に接近する。

 一喝! バットを一振りすると魔物が弾け飛ぶ! 一撃で二十体以上の魔物が消滅した。ウンバボ族……マジヤヴァイ。


「どうだアレが本気のウンバボ族だ。低姿勢での高速移動【車高短(しゃこたん)】からのあらゆるものを粉砕する【仏恥義理(ぶっちぎり)】兄さんの得意技だ」


 技の説明キャラと化したメル姉さんを見ると体からキラキラと光が溢れては消えている。恐らくこの光ってるのがボルボンボさんに送られてるのかな?

 そんな事を考えているとこちらにも魔物が迫ってくる。

 ボルボンボさんが真ん中で無双してはいるけど左右から溢れてくる分はこちらに来て当然。

 カノンちゃんとメリッサさんにメル姉さんの護衛を頼み、私が右側を受け持ち左側をカタリナちゃんにお願いする。

 そして、三匹の魔物が私に襲い掛かってくる。


「やぁぁぁーーー!」


 私は、叫びなから魔物に切りかかる。

 対峙した一匹目を右から左に切り頭を砕く。直に右に飛びのくように移動しもう一匹の首に木刀を叩き込むボキっと鈍い音がして魔物が横に倒れる。

 倒れる魔物の上に立ち木刀を突き刺し止めを刺す。最後の一匹が私に喰らいつこうと牙を剥き迫る。

 バックステップで後ろに下がり体制を整え頭に一撃入れて倒す。

 呼吸を整える。大丈夫だ十分戦える。9階層での狼との戦闘経験が生きたと感じる。

 その時右の部隊から声が聞こえる。


「ジョーがやられたぞー!!」


 右の部隊を見るとジョーさんが魔物に咥えられ持ち上げられていた。

 しかし次の瞬間には、首狩蟷螂のアンネさんが魔物の背後に乗り2本のナイフで首を両断した。凄い早業だ。

 ぐったりするジョーさん、でも無事なようだ。仲間のトカゲ族に運ばれて行く。

 まだ戦いは始まったばかりだというのに……。凄い早業だ。

 戦場では一瞬の油断が死を招くのだと少し油断していた気持ちを引き締める。


 左の部隊を見るとあちらも交戦している。

 驚いたのはあの戦えなさそうな受付のお姉さんが4メートル位の鎖に錘が付いたものを振り回して戦う姿だった。戦士の顔になっていた。

 受付のお姉さんが絡めとりマスターが大斧でしとめるコンビネーション。

 ゴスロリさんも人形から広範囲に炎を出し魔物を焼き払ってる。そういえば初めて生で見たよ攻撃魔法。


 私も襲い掛かってくる魔物をメル姉さん達に近づけさせないように奮闘する。

 カノンちゃんも援護射撃したり倒した魔物を拾ったりしていた。

 メリッサさんも魔物に毒を投げつけて麻痺させて、怪我した人にポーションをぶっ掛けて援護していた。あれ飲み薬じゃないんだ……。


 ボルボンボさんが敵のど真ん中でがんばっている。

 敵に圧し掛かられてれもなんともないぜと言わんばかりに腕だけて弾き飛ばしてるし完全に人外と言わざるを得ない強さだ。狂気の顔でニヤリとする姿が頼もしい。

 まぁ私も人外じみた力もらってるしみんなにカッコ悪いところはみせたくない。 調子に乗った私は、勢いそのまま少なくない魔物を叩き伏せた。


 だが全員が人外な強さをもってる訳じゃない。

 少し経つと戦況に少し変化があった中央に比べて右部隊が少し押され気味になる。

 衛兵さんの投石機の援護で耐えていたが飛ばす石が底を突く。このままでは押し切られるのも時間の問題だ。


 その時、町の東口から騎兵隊が駆け抜ける。

 騎兵を引き連れるのは、華やかなドレスアーマーを纏う眼帯の女性。前にカノンちゃんに聞いた領主の娘のベリンダさんだ。

 遠くには、こちらに駆けてくる衛兵さん達もいる援軍だ!

 ベリンダさんは、一直線にメル姉さんに駆け寄り馬上から声を張り上げる。


「メルメナメヌナ!! 戦況はどうなっている!? 誰が指揮を執っているんだ!?」

「ベリンダ嬢! 指揮系統は右がジョーで中央が私、左がマスターの三部隊だ!」


 ベリンダさんが頷きまた声を張り上げた。


「ここからは私が指揮を執る! 左翼は現状を維持! ボルボンボ! 下がれ! 出すぎだ戦線を合わせろ! 鶴翼陣形に移行する! 右翼が下がってる! 騎兵隊支援に回るぞ! 隊を右翼前に向けろ!」


 騎馬隊が整列しベリンダさんの突撃の号令と共に右部隊前の魔物に突撃し一掃する。

 魔物の群れから突き出したあと旋回し右部隊に加わり戦線を押し上げる。


「よっしゃー援軍だー! さっさと片付けて一杯やろーぜー!」

「数が増えたんだ孤立すんな! 固まれ! 囲んでボコれ!」

「っぎゃっぎゃっぎゃー! さっきのお礼をしてやるぎゃー!!」


 右部隊から威勢のいい声が聞こえる。いつのまにか戦線復帰してるジョーさん達も増援で士気を上げている。


 戦況も一変する。

 Λの形でボルボンボさんが突出してた陣形がベリンダさんの指揮でVの字型に変わり魔物を取り囲むように変わり完全にこちらの攻勢になった。


 戦闘は攻勢のまま続き昼過ぎにやっと魔物の数がまばらになる。

 あと少しになって緊張感がなくなってくる。冒険者からも余裕の声が聞こえてくる。


「これ倒したら昼飯行こーぜー腹へったわー」

「オレこの戦いが終わったら受付のあの子に告白します!」


 なんか死亡フラグっぽいものの声が聞こえた!

 その時、また左部隊からおっさんの叫び声「魔物の増援が来るぞ!!」その声に冒険者がどよめくがボルボンボさんが再び冒険者に活を入れる。


「まだまだ準備運動だ!! ただの少数民族のウンバボ族が世界を制したのは少数精鋭だからだ! 俺一人でもぶっ殺してやる! もたもたしてると俺が全部掻っ攫っちまうぞ! うぉぉぉぉぉおおお!!」


「「「うおぉおぉぉおぉー!!!!」」」


 無双するボルボンボさんが皆に気合を入れなおす。

 しかし、どんなに士気が高くても疲労は蓄積される。厳しいに戦いになりそうだ。

 私はカノンちゃんに駆け寄り食べ物をだしてもらい一気に食べる。体力つけなきゃ。生き残らなきゃっと。


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