第5話 トウセン坊の挟み撃ち(4)
「ぐふふふふ! わしらがいる限り、どっちに逃げようとも逃げられないぜ」
「んぐぐぐぐ……。こうなったら、朝ご飯でいっぱい食べたことだし……」
柿五郎たちは、トウセン坊の2人によって挟み撃ちにさせる寸前となっています。しかし、柿五郎はここで勇気を出してトウセン坊に立ち向かうことにしました。
「行くぞ! ぷぷぷぷぷぷぷぷっ!」
「うわわっ! わしの顔に黒い種を次々と命中させやがって……」
柿五郎は、坂道の上にいるトウセン坊に向かってスイカの種を飛ばし始めました。柿五郎によるスイカの種飛ばし攻撃は、トウセン坊の顔面に大量に命中させることができました。さすがのトウセン坊も、スイカの種飛ばしによる顔面直撃で、あまりの痛さに思わず顔を両手で押さえています。
「いたたっ、いたたたた……」
「柿五郎くん、よくがんばったね。さあ、坂道を急いで上がろう」
「うん! 早くかあちゃに会いたいよ!」
トウセン坊が顔面を押さえている隙に、柿五郎たちは急いで坂道を再び上って行きました。深い森の中を進む柿五郎たちですが、その間にも柿五郎は今にも出そうなうんちをガマンしようと必死です。
しかし、柿五郎たちの行く手を阻もうと、目の前に不気味な影が2体も現れました。
「ぐふふふふ! この坂道をそうやすやすと上がろうと思ったら大間違いだぜ」
「よくも、わしの顔にスイカの種を命中させやがって……」
柿五郎たちの前には、再びトウセン坊が2人がかりで現れました。トウセン坊たちは、柿五郎たちを通さないように完全に道を塞いでいます。
「どうした? わしらがいる限り進むことも逃げることも不可能ということだな、ぐふふふふ!」
「ギュルルルゴロゴロゴロッ、ギュルルゴロゴロゴロッ……」
「ううっ……。これ以上ガマンが……」
柿五郎は坂道を上ろうにも下りようにも、トウセン坊たちがいる限り不可能です。こうした極限状況に、柿五郎はついにうんちのガマンが限界に近づいてきました。柿五郎の顔には汗がにじみ出るとともに、うんちガマンのために左手でお尻を強く押さえたままになっています。
しかし、ここで勇気を出さないと先へ進むことができません。柿五郎は、思い切ってトウセン坊に向かって右足で踏み込んでジャンプしました。
「トウセン坊め、これでも食らえ!」
「ぐふふふふ! わしらに同じ手を続けて通用するはずが……」
トウセン坊がスイカの種飛ばしによる攻撃は通用しないと言い切った、そのときのことです。
「プウウッ! プウウウウウッ! プウウウウウウウッ!」
「うわっ、お前は何を食べたんだ……」「うっ、本当におならがくさいぞ……」
柿五郎は、トウセン坊たちの顔面近くにお尻を向けると、森の中に響くほどの大きなおならを3回続けて出てしまいました。これには、さすがのトウセン坊も鼻をつまむほどのくさいにおいです。




