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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第二章 境界に立つ者たち
81/83

答え:嫌な類は嫌な友を呼ぶ

その頃――アルファーの庭が割られたことを、私はまだ知らなかった。


「やっぱり入口はあるんだね。さっぱり見つからないから困ってたんだ。」

「…フィーは?」

「兄さんが連れてったよ。ここにあるはずの魂がどこにあるか教えてくれないからさ。君たちなら分かるのかな?」

「ブルース・フォーラスか。しらん。」


庭園の迷路の生垣。

その中心に入る為の入口に立つ私の後ろで、和も圭もいつでも動けるようにしている気配がある。

中心のテーブルには、ブライアンとヴェラが座っている。

悪魔か、あれはまた魔法でくるのだろうか?

それなら助かるのだけど。


「ねぇそういえば、地下迷宮からもどうやって逃げたのさ?僕はもう最近ずっと探してばっかりだよ。まったくもう。」

「そこの悪魔にでも聞け。」

「えぇ?ヴェラが知ってるの?・・・なんで?」


「旦那様。・・・・恐らくは悪魔の仕業かと。」


まぁそれぐらいしか、抜け出す方法がないと、アレも言っていたぐらいだからな。

すぐに思い当たるだろう。


「なに?お前も悪魔と契約でもしてんの?まぁお前の場合は、自分の肉体が最後に差し出せるから良いのか。」


「…フィーを悪魔の世界に連れて行ったのか?」

「さぁ?兄さんはあそこがあんまり好きじゃないみたいだから、違うかもね。僕はしーらない。」

「まぁいい。いずれにしてもお前に毎回毎回逃げられるのは、私も癪。和?」

「あぁ。もう来てる。」


背後の和へ問う。

庭園の生垣を超えて、数名の魔法使いが入ってきた。


「ブライアン・フォーラス!素直に捕まれ!」


ブライアンは眉を顰め、椅子から立ち上がる。


「なんだ、お前らも来たの・・・ヴェラ!適当に相手して行くよ。探すのは無理だ。」

「はい。旦那様。」


「全員、目的はブライアンだ!そして、あの悪魔には注意しろ!」


後ろから響くミランダの声と共に、他にも後ろから数名の魔法使いが出てきた。

こんな狭い庭園に数十名の魔法使いが入ってくれば、流石に私は邪魔だろう。


一人で庭園から飛び出る。


圭には、悪魔についての対応を先にお願いしていた。

それに、もしも無理そうなら、遠くにぶん投げてしまえと言ってある。


改めて庭園の外を見渡す。

ここは庭園のある小さな孤島の様な場所。

その為、周りは一面海に面している。

その海の先に別の島があるのかどうかは、私は知らない。


ブライアンは山本梓の魂が見つからないと言っていた。


こんな孤島の中で、隠せる場所なんて限られている。

それでもブライアン達が見つけられないなら――少なくとも、この島には無い可能性がある。


――フィーが嘘をついた?

あるいは、別の場所へ移したか。


魂も大事だ。

だが今は――先にフィーを取り返さなくてはいけない。


ブライアンは「兄さんが連れていった」と言ったが、肝心の場所は知らないらしい。

もし悪魔の世界ではないのなら、手掛かりが薄すぎて追いようがない。


念のため悪魔の世界も確認したい。

ただ、それをやるならまた“あいつ”の手を借りる必要が出てくる。


そして何より、時間がない。

フォーラス家長男のブルースがブライアン以上の悪趣味男なのは、もう身をもって知っている。

そこにアディール・クラーレンまで絡むなら――フィーに何をされるか分かったものじゃない。


【今良いかな?】


【あ!久しぶりー!】

【なんでここにいるのー?】

【やっほー】

【あれ?フィーいなーい?】


この反応は厳しそうだ。

妖精達はフィーがいなくなったことに気が付いてなかったようだ。

一応聞いてみるか・・・。


【フィーを探してる、どこいったか知らない?】

【あの子どこいったー?】

【えー?こないだいたよねー?】

【あ。あれじゃない?エルフのとこ】

【あぁそういえばたまに行ってた】

【えーそうかなー?】

【あそこかなー?】


エルフ。

まだ行けてない天国側の世界。


【ありがとう。ちょっと手持ちがないから、今度持って来るよ】

【おかしないのー?】

【えー!】

【今度ー?】

【今すぐないってー】

【じゃあひとまずそれは?】

【それほしいー】

【そうだね。それー】


それ?

妖精たちが私の下の方を指差す。

私のポケット?

何入れたっけ?


差されたポケットの中を確認すると――確かに何かが入っている。


「これか・・・」


念の為にと思って持ってきたイヴの栞。

入室条件となる花がどれか分からなかったので、一緒に持ってきたんだった。


【わかった。これは大切なモノだったんだ。大切にしてほしい】

【分かったー!】

【きれー】

【ぼろぼろー】

【ありがとー】


これで納得はいったらしい。

急遽手を借りてしまったから、応えられるものがあって助かった。


「スズ。こっちはブライアンはどうにかなるかもしれないけど、やっぱりあの悪魔の対応に困っているわ。」


ミランダが、庭園から出てきた。


「魔法世界に連れていく事は、スズの所の吸血鬼の力を借りれば、できるかもしれないけど、その後どうにかできるとは・・・あまり期待できない。」


悪魔を魔法世界に入れる事自体が、リスクだろうな。


「悪魔は契約者と基本的には繋がっている筈だから、それならブライアンだけを連れて行っても無駄になるかもしれない。ブルースの場所とか、なにか抜き出せた情報はあった?」


「悪魔の世界についてと怪異の世界については、いくつか拠点場所を抜き出せたと思うけど、今回逃がすとするとあまり意味はないかもしれないわ。

あとは、長男のブルース以外にも記憶を引き継げたフォーラス家がいるらしい。」


「…あいつ以外にも、いるのか。」


事件後の報告書でも、殆どが亡くなっているという話だったので、フォーラス家の家族構成などあまり覚えてない。

それは後でもいい。


まずは悪魔の世界と怪異の世界に拠点があるとすれば、フィーを探す為にはそっちに行く方がやっぱり良いのだろうか。

先に向かうなら怪異世界の方になるだろう。


「ここは任せる。悪魔との契約情報を解析して、無理矢理に二人の契約破棄などができればいいが、無理そうなら足跡だけ残して逃がしてしまう方が今はいいのかもしれない。和は?」

「カイルは抜いて良いわ。吸血鬼の方は、できればそのまま手伝ってほしいのだけど大丈夫?」

「分かった。あいつは帰り方を知ってるから大丈夫だ。私は和とフィーを探しに行く。」

「分かったわ。」


庭園は内側から所々が壊れはじめ、その隙間から人の姿が見える。


「和ーーーーーーー!!!!」

「…呼びに行くんじゃないのね。」


「どうした?」


呼んで数秒だろうか。

和は庭園内から、素早く飛んできて、目の前に着地した。


「…戦闘中にあれで、よく気が付くわね。」

「スズの声は分かる。」

「フィーを探しに行く。ここは悪魔の事もあるから、圭はおいて先に戻る。圭にも伝えてもらえるか?」

「分かった。」


圭は人間に聞こえない音を聞き分ける事ができる。

なので、和は圭だけに分かるように、超音波で今の状況を説明している。


「圭から返事がきた。」


それが終わったのを確認して、和が繋げた魔法世界との交渉人のドアを閉じ、私の通路への扉に戻す。

通路はエルフの世界へと繋げ、中へと進む。

まずは和にその経緯を含めて説明し、和の意見も聞いてみる。


「うーん。もともとエルフの可能性には、明確な情報があるわけじゃないからなぁ。しかも妖精達が言うには、フィーが自分で行っていた場所なんだろう?

ルーカスがいるかどうかって意味だと、微妙なんじゃないか?」


和の意見には同意する。


「…そうすると可能性で言うなら、悪魔の世界か怪異の世界。いずれにしても、そっちは圭を連れて行かないと厳しい。」

「まぁそうだよな。ちなみにエルフには、知り合いはいるのか?」

「あそこも長命な種族だから、いるにはいる。でもそれも昔だから忘れられてるかもしれない。」

「・・・うーん。すぐに調べられそうなら一度行ってみて何も情報がなさそうなら、戻って圭を回収してから、怪異の方から行けばいいと思うが・・・。

そういえば、人探しならいつもの探し方じゃ、ダメなのか?」


和は、最初に梓を探した時の方法を言っている。

人を探す時には、私がいつもそうする事が多いので、当たり前の疑問だろう。


「水盆では、walkerは探せない。あれは魂を探しているという事らしいが、私達の魂はどうやらその対象外らしい。」


「…面倒だな。なら、お前たちはどうやって、お互いの場所を認知してたんだ?」

「分かってない事も多かった。だけど、妖精が大体知っている事が多い。あとは使用した扉が分かれば、その履歴を追ったり・・・」

「スズ?」


…そういえば、そうだな。


「どうやって連れ出したんだ?さっきのあの扉には、直近の履歴は無かった。」


ルーカスは、どうやってフィーを別世界に連れて行った?

扉以外なら、世界が隣接して開いた場所が、可能性として上がる。


「フィーの履歴には、最近エルフの世界に行った履歴がなかった。もし普段から行っていたとしたら、やっぱりエルフの世界かもしれない。通路からではなく、あの庭園の世界がそこへ繋がっている可能性がある。」

「なるほど。移動方法がない以上、その可能性があるのか。ならこのまま行ってみようか。」

「あぁ。行こう。」

その話の後には、目的の扉にたどり着いた。

これが予想通りなのか、庭園の世界からエルフの世界への通路は短かった。


「…ここはどこだ?」

「昔住んでいた家だが、誰かが住んでいるみたいだな。」

「・・・は?人の家に勝手に入っているって事か?それなら、ひとまず外に出ようか。」


目的先の扉は無事機能し、扉の外は昔私が住んでいた家の中。

すぐに視界に入ったリビングは、流石に時間も経っているので、ボロボロで残っているのかと思っていた。

だが、その様子は明らかに誰かが住んでいる、と言っている。

和の言う通りまずは外に出ようと玄関に向かう。


–カチャ


「あ。」

「あ?」

「あ!」


ドアノブに手をかけて扉を開こうとしたところ、先ほど和に言った知り合いのエルフがそこにいた。


「す!すみません。間違って入ってしまっただけなんです。すぐに出ますので・・・」

「久しぶり。」


「ははっ!来ると思ってたよー。そこのお兄さんは魔法使いなのかな?匂いが近いね。」


「は?!え?・・・スズさっき言ってた知り合いって・・・この人?」

「そう。なんでここに住んでるの?」


「いやいや、やめてよ。人をストーカーみたいに言うのは、住んだのは最近だよ?

妖精がね、君の“帰り道”を知ってた。君は迷う時、だいたいここに戻るって。」


なるほど。

つまりそれは、エルフ側でも何かが起きているらしい。

それで彼女は私がこの世界に来ると踏んで、ここで待っていたという事なのだろう。


「だからまぁ簡単にしか物は用意してないけど、まずはお茶でも飲みながら話をしてもいいかな?」

「あぁ。頼む。」


玄関から、再びリビングに戻り、新しくなった椅子に座る。

家具は殆ど入れ替えたようで、室内の景色は昔とは別物。


「和。彼女はアーシャ。会ったのは・・・もうだいぶ前。」

「初めまして。あなたは和って呼べばいいのかな?」

「あ。はい。初めまして、和で大丈夫です。」

「スーは今スズ?」

「どっちでもいい。結局みんなそれぞれ呼びなれた名前で呼んでる。」


ひとまずの挨拶をしながら、飲み物の準備をするアーシャの傍で、妖精がお湯を出したりしながら手伝っている。


エルフは妖精と共存し生活しているのが、ここでは当然の光景。

なので魔法もその共存している妖精に、協力してもらって使用している為、その魔法は和達の魔法世界の魔法使いよりも、より属性力が高い魔法になる傾向がある。


「どうぞー。ハーブティーだよ。」

「ありがとう。それで何があった?」


「…君はいつも忙しないねぇ。まぁこっちも事情が事情だから、その話をしようか。」

「分かった。急ぎ目で。」


「ははっ。はいはい。えーとね、まずは少し前に、魔法世界の人間がやたら来たらしく、その時にエルフの何名かが攫われたんだ。」


「…魔法使いはどのぐらいいた?」

「さぁ?これは私も聞いた話だからね、結構いたっては言ってるから、10名以上とかじゃないかな?」


「それで?」

「その後に状況を妖精にも聞いて、彼らが言うには攫われたエルフ達は、悪魔の世界に連れていかれたって話だった。そうなると、私達エルフからは直接は行けない。

だから方法を探すついでに、ドラゴンの世界にも話を聞きに行ったんだけど、そしたらそっちでも同じく魔法使いに攫われたドラゴンがいるって話を聞いてね。」


それは先日会った。

あのドラゴンの事だろうか…


「その話を色々なドラゴンに聞いて回ってたんだけど、いまいちちゃんとした情報が掴めなくて、そこに住む妖精にも話を聞いたら、どうやら君が噛んでるって聞いたから。」


「ここに居れば、そのうち私が来るだろうと?」


「そ。若いエルフ達は今も無駄に慌てふためいていてねぇ。まさか魔法使い程度に負けるわけがない、ってよく分からないプライドで、エルフが攫われたことを隠そうとしたりと探す事以外で忙しそうだったから、エルフ内ではどうにもならないと思ってね。」


「どこも同じなんだな・・・。」

「まぁ魔力や魔法の差っていうのは、比べやすい対象だから。」


 和が渋い顔をする。

魔法世界が、魔法を持たない基本世界を卑下する。

エルフも自分達の妖精に近く直結した魔法に関しての、プライドが高い。

なので、魔法を使う一つの種族として、魔法世界を卑下している部分がある。


どこの世界でもそういった考え方が、未来への成長を邪魔をしているように見える。


「私達の今回の目的はまず4番目のwalker捜し。ただ、この世界にアーシャが言うように、魔法使いが出入りしているようなら、他にもある問題も含めて確認をしたい事はある。

だが、まずは先に4番目を探すことが優先。」

「ふむ。他のwalkerね・・・。あなた達の出入りについては、あんまり私達は気にしないから、というか魔力が感知できなくて、放っておくしかないからちょっと分からないかなぁ。」

「さっき言っていた、最近来た魔法使いはどこに来た?」

「んー。」


アーシャが周りの妖精の方を向く。


【あなた達は知ってる?】

【魔法使い?】

【魔法の子はいろいろ】

【あっちもこっちもー】

【どっちもー】

【そっちもー】


【エンティ。まとめて】


恐らくは、エンティと呼ばれた妖精が、アーシャの共存パートナーだろう。

エンティは周りの妖精の話を、一つ一つ聞きまわり出した。


「…ちょっと待ってみましょ。下手に探索するよりは良いでしょ。」

「分かった。頼む。」

「で、攫われたエルフの事については、何か知っているの?」


「複数は知らない。私も彼らから私達が追っている魔法使いの周辺に、ドラゴンとエルフ等が一緒だったという話を聞いた。ドラゴンについては、その追っている魔法使いと接触した時に、偶然回収できただけ。」


これは、一応伝えた方がいいだろう。


「その時回収できたドラゴンの話では、一緒にいたエルフは…死んでしまったと聞いた。」


「・・・・・そう。それは、より問題になる話ね。」

「ただ攫われたエルフが複数いるのなら、他にもどこかにいるのかもしれない。そして、もしいるとしたら場所は、やはり悪魔の世界の可能性が高い。」


「悪魔・・・。よりにもよって一番いやな場所になるのよね。もしお願いしたら、探すことはできそうなものなの?」

「今のところ私の方でも、ちゃんとした方法は考え中。今回探している4番目ももしそこに連れ去られてしまったのだとしたら、かなり探しづらくなると思っている。」


 可能性があると分かっていても、エルフの方を先に探しに行くと順番的に決めたのも、結局はそれが原因。

怪異の世界も悪魔よりは多少マシとはいえ、結局はこっちを餌とみている種族だから、どちらも気軽に行ける場所ではない。


「今のエルフは正直あんまり悪魔の知識が無いの。だから、もし本当に悪魔の世界にエルフが捕まっていると分かれば、若い層はドラゴンを引き連れてでも行く気がするわ。」


「…そうすれば大量虐殺になるだけだな。」

「エルフがね。」


「昔の様に天使に力を借りる事はできない・・?その辺は、私もあまり分かってはいないのだけど。」


「…天使か。彼らは悪魔と同様に、代償となるものは基本同じ。人間の生命力。生気。命。

悪魔と違い、血や肉といった物理的なモノでない以上、支払うとなった場合には誰かしらの生命が必要になる。

ましてや今回、悪魔を何人相手にするのかが分からない。その代償が一人二人で済むとはあまり思えない。」


「・・・それはどっちに捧げるかの違いって感じもするわね。」

「ある意味契約という制限がある悪魔の方が、マシな面すらある。」


 圭の様にフィジカルが異常なほど高い場合は、魔法使いも対応に困るように、その力を使う前に物理的に対抗できる場合もある。

なのでそういう意味では、フィジカルの強い種族が対抗策として、どうなのかと考えられる。

そして、この場合は怪異以上の肉体力を持つ、魔物や鬼等が該当する。

だが、彼らがもしも協力してくれるなら、そもそも最初から検討材料にしていた。


…彼らの言語はさっきも言った通り、基本は肉体言語。


普通の言葉が、喋れないって訳ではない。

しかし――

強い奴は歓迎。勝負しようぜ。

弱い奴はぶん殴る。出直してこい。


シンプルにそういう感じ。

そんなのが、基本世界の私にとって、会話になるわけがない。

圭ももちろん強いのだが、彼らが多人数かかってきては流石に厳しいし、そもそも圭はあまりそういう事が好きな方ではない。

今回の様に急ぎもあり、手が無い場合は申し訳なくお願いする事になるのだけど、できるだけそういうことは無理にやらせたくはない。


【チュウーリの方に、よく出入りする魔法使いが数名いるみたい】


「チュウーリ?山の中じゃない。やっぱり拠点でもあるのかな?」

「そこは、今すぐ行ける?」


「まぁ行けるけど、距離もあるし他にも呼んでいい?流石にこのメンバーだけで行くのは不安過ぎ。」

「…それは、構わないけど、私も魔法使いの和もあまり、他のエルフからは良く思われないと思うけど?」

「そうね。ドラゴンならどう?移動的にも、元々彼らにお願いした方が早いと思ってるし。」

「彼らにとっても餌対象だけどね…。まぁ移動ということなら、そこはアーシャに任せる。」

「分かったわ。準備してくる。」


あまりあーだこーだといって、いつまでも動けないのも困る。

エルフの世界の移動についてはとなれば、当然エルフに任せた方がいいだろう。


アーシャが外へ向かう。


「和。ドラゴンだが・・・」


ドラゴンの事について説明しようと、和の方を見るとスマホを確認している。


「・・・何か来てるな。」

「日向達?…こっちもきてる。ガルシア?」


「…アルファー・ギッシュさんのところにアディール・クラーレンが来たらしい。」

「梓たちは?」

「エリーザ学長とガルシアさんが入ってきて、一応今はもう大丈夫らしい。」


「…あぁガルシアからも。死神のブラッド・オルティースは再び逃走か。」


どちらも逃がした結果だが、まずはみんなが無事だったのなら、それでいい。


だが、アディール・クラーレン――爺の結界を破れるのか。


これは想定以上の結果。

今後対応しづらい事になる事は、間違いないだろう。

爺の結界はトルストイ家とは違い、魔力と精霊の力を借り、魔法世界の中でかなり独自性が強いもの。

つまり現状同じ結界が使える魔法使いはいないし、再現性がない以上それを解析できる魔法使いもいない。

細かい要因については、アルファーに直接話を聞いた方が良いだろう。


ひとまず今は後にするにして、ガルシアにも梓の元にブラッド・オルティースが現れる可能性が高いと言う事は先に伝えていた。

それは仮説だったのだが、実際に結果につながった以上、これは事実と考えた方がいいだろう。


「和。恐らくは、アリス・フォーラスの魂を当時回収したのは、ブラッド・オルティース。」


「・・・・それで?」

「その時に、魂に関与した事で、アリス・フォーラスの魂の居場所を知る事や、あるいは視界共有ができるようにする等の、細工を図ったんじゃないかと考えられる。」


「…梓さんの?」

「梓が久しぶりに相談所の外に出た死神の世界。

そして更に偶然にいく事になった、ウーノ達の世界でドワーフのあの場所にブルース・フォーラスとアディール・クラーレンの狐が現れた。

死神の方はもしかしたら、別に確認する方法があったのかもしれないが、ウーノ達のあんな遠くの世界で、偶然ブルースが現れるのは絶対におかしい。

しかも1回目行った時には何もなかったのに、梓を連れて行く事になった時に。」


「・・・つまり、場所や情報が漏れてると。」

「そういう可能性があるのではって事で、ガルシアには先に伝えていた。」

「だから今回、梓さんをアルファー・ギッシュさんのところに、そのまま預けた?」

「まぁ変に移動させるのもどうかと思ったのと、あとブラッド・オルティースはフォーラス家側より、アディール・クラーレン側みたいだったから、魔法世界の中でも爺のところなら安全だと考えていた。」


「…安全すぎて逆に分かりやすかった?」

「流石に爺の結界を壊せるのは、予測できなかった。」


今回ガルシアとエリーザが、入ってくれてよかった。


「呼んだー。行ける?」

「分かった。」

「・・・ドラゴンか。」


和にドラゴンの説明をするタイミングを逃した。


玄関を出ると、その正面の広場に早速ドラゴンが5匹いた。

一番大きいのは、相談所の高さくらいありそうだ。

見上げるほどに大きい。


「デカいな・・・。」

「この一番大きいのが、スーの知り合いみたいよ?」

「先日、回収したドラゴンの親族?」


–グルル(孫が世話になった。)


「孫か。・・・世間は狭いな。どういたしまして。」

「ドラゴンは家系がそこまで大きく分かれてないから、というか大きく分ければ5~10個ぐらいだし、ちょっと探せばそうなるでしょうよ。」

「そうなのか。まぁ襲ってくる心配がないようで助かる。」


–グルル(こちらに乗れ、孫達だ。)


「ありがとう。お世話になる。」

「・・・・よ、宜しくお願いします。」

「じゃあ。チュウーリの山までお願い。もしかしたら魔法使いがいるかもしれないから、気を付けてね。」


–グルル(分かった。いくぞ。)


–バサァァァァァァ

–バサァァァ

–バサァァァ

–バサァァ

–バサァァ


小さいのは前に乗ったドラゴンぐらいだった。

ドラゴンによって多少サイズは違うが、これぐらいの大きさが一番乗りやすい気がする。

ドラゴンの爺はデカすぎる。


しかし確かに、移動面では非常に楽な方法だな。

やっぱりこれを機に、ドラゴンとも仲良くする方法を、考えてみてもいいかもしれない。

ドラゴン独自で隣接する世界への移動もできるし、上手くいけば意外といい移動方法な気がする。


だが、非常に寒い。

多分向かう先は北の方面なのだろう。

寒さが、服の上から体温を剥がしていく。


これは、上着が必要だった。

いつも通り動きやすい上下で揃えただけなので、一応冬物とはいえ薄着。


一体、どのぐらいで到着するだろうか・・・

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