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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第三章 理解は救いにならない
117/122

答え:蟻の思いが天に届けばと願ってる

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

アディール・クラーレンと会った後、地下へ戻る。

いつも私が寝る場所に使っているソファに、和が座っていた。


「時間は少し早いか。どうだった?」

「収穫は少ないが、無駄ではない。」


「……何かあったか?」

「いや。問題はない。…少し、感覚が鈍った気がしただけ。」

「そうか。でも、変だと思ったらすぐ言え。」


通路を歩き出した時の違和感を一応伝えたが、明確にアディール・クラーレンに関わっているかまでは判断できない。


「分かった。山本梓の魂はまだ現存しているだろうし、アディール・クラーレンの管理下にある可能性が高い。

実際の場所は結局探す方向になるが、和の方では引き続き、アリスの事を頼む。」

「そうか。あっちからアリスさんの場所が分かっている状態は、あまり良くない。

提案なんだが、アリスさんをどこか別の場所へ移すことを考えたい。」


移動か。

再び爺のところに頼るのは、気が引ける。

他に、安全が確保できそうな場所と言えば…


「…フィフに相談してみようか。」

「5番目か。俺は会ったことがないけど、どこにいるんだ?」


ソファの正面にあるデスクへ向かい、その椅子に腰を下ろす。


「少し前にフィーの事を連絡した時には、精霊の世界にいると言っていた。」

「信用できるという事で良いのか?」


フィフの事を思い出す。


「…信用はできる。ただし、和やイザベルとの相性は良くないだろう。」

「性格の問題ならいい。安全な場所ってことで良いのか?」

「保護環境としては、ここも向こうもそこまで大差はないだろう。そういう意味では、場所を変える目的には合う。」


「…死神の判断が決まるか、山本梓の魂が見つかる間だけでも。」

「そうだな。分かった。連絡してみる。」


パソコンをスリープから起動する。


「私は週末アンジェラと予定があるから、このままここにいる。

フィフのところへ移動できるようなら、連絡するから全員でしばらくあっちに行くといい。」

「は?お前は行かないのか。・・・まぁそうなるか。」


平日は会社に行くし、相談所のミーティングも考えれば、私はここにいた方が楽だろう。

パソコンから、来週の予定を確認する。


「フィフの了承次第だけど、一応みんなには確認しておいていい。」


「…山本梓の魂の場所が分かったら、絶対連絡しろよ。」


少なくとも、死神の返答が出るまでは、アリスにそればかり気にさせたくない。


「精霊の世界だ。和は知っての通りこの部屋からは、行こうと思えば行ける。あまり不安に感じる必要はない。」


和の方を振り向く。


「…最近のお前は少しだけ、日向達がここに来たばかりの時みたいに見える。」

「そう簡単に変わるのは、難しい。」


その時期は、ヒナやヒデをよく泣かせていた気がする。

その度に、和には言葉が足りないと怒られていた。


今もアリスに対して、何かを言う段階ではないと感じている。


「困らせて、ごめん。」


「・・・そりゃそうだな。こっちも悪かった。フィフについては分かった。返答があったら連絡くれ。」


和が席を立ち、地上への階段を上がる。

背中が階段の向こうに消えるのを見送って、私は視線をパソコンへ戻す。


フィフに、メールを送る。


フィフは、周りから軽いと感じられることが多いと思う。

まぁそれは話し方のせいと、あまり物事を深刻に考えすぎない性質だからだろう。

その様子が、人によってはイラっとするらしい。


それでも、ちゃんとお願いすれば、フィーの事も時々様子を見に行っていたようだし、面倒見は良い方だと思う。

慣れれば、気軽に話しかけやすい分、私よりも人と仲良くなるのは早い。

ただし少し面倒事を嫌がる傾向がある。

恩に着ておこう。


――それから、数日が過ぎた。


アディール・クラーレンの話を整理。

山本梓の実家の事についても調べる。

と色々パソコンに向き合っていると、フィフからの返事がきた。


内容は文句をつけながらも、了承という事だったので、すぐに和と圭にメッセージを送る。

そろそろ朝の日差しが差し込む時間だろう。


口頭でも伝えておこうかと、少し早い朝ごはんのついでに三階へ上がる。


既に和は台所にいるようだ。

料理の音を聞きながら、台所の方へ振り返る。


「おはよう。」

「おはよ。今見た。今日すぐ向かうのか?」

「大丈夫。通路も向こうから、繋げとくって言ってるし、準備できたら地下から行くといい。」


「…分かった。軽く食べるか?」

「サンドイッチ。少しお願いします。」


今作ったばかりのをそのまま更に乗せて、カウンターに置く。

カウンターから受け取って、後から来たスープと一緒に頂く。


「食べ物には困らないと思うけど、日用品は持って行った方がいいと思う。」

「マジか。準備しないといけないな。」

「足りなければ戻って取りに来てもいいし、たまに顔を出すから連絡をくれれば持っていく。」


恐らくフィフの事だから、そういう細かい用意はしないだろう。


「細かい事は連絡する。」

「分かった。」


食事を済ませて片付ける。


–ブブブ


和が日用品をまとめに上へ戻っていく。私も地下へ降りようかと思った、その時――通知が届いた。

ダイニングテーブルに座りながら、フィフからの追加のメールを確認する。

文字を追いながら、部屋の空気が、わずかに揺れたのを感じた。


足音。軽い。

聞き慣れた歩き方。

顔を上げるまでもなく、それが誰か分かる。


アリスが降りてきた。


視界の端で、動きが一瞬だけ止まる。


……止まった。


理由は分かっている。

分かっているから、こちらからは何もしない。

部屋の空気がそのまま流れていく。


私は振り返り、階段の上の階に顔を上げた。


ほんの一瞬。

目が合う。


それだけ。


何も言わないし、言う必要もない。

まだ、言葉にする段階じゃないと、私は思ってる。

アリスは上から秀人に呼ばれて、そのまま視線を外した。


それでいい。

和には何か言われるだろうけど、今の私にはそれで十分だった。


言葉が足りない。

それは分かってる。

だけど、それが大きな過ちになることがある。

どっちがリスクが大きいのかと考えるなら、私は今は言うべきではないと判断する。


「また一人で動いてたの?」

「別に。」


普段はお互いに同じ場所にいても数日以上話をすることが無いこともある。

それでも、フィフはたまに声をかけてくる。


「別にって顔じゃないだろ。」

「顔に出た?」

「長く見てるからな。」


フィフは、軽い感じがする印象が強いから分かりづらいけど、かなり相手の事を見てる方だと思う。

そういうのに慣れてはいけないとは分かってる。

だから、理解を求める気もない。


私は、言葉ではなく沈黙を選び続けている。


何度も怒られてしまう事になっているのだけど、私には他の選択肢が見えない。


「スズ、静かだね。」


「…そうだね。」


仕事から帰って、ミーティングの予定時間まで地下で寝ていると、美弥が声をかけてきた。


「嫌いじゃない。」

「ならいい。」


帰ってきたこの場所で、誰の声もしないのは久しぶり。

昔はそれが普通だったのに、慣れてしまうと静けさに違和感を感じてしまう。


ソファのシーツから顔を出すと、美弥は私が寝ているソファを背に床に座っている。


「少しお家を変えても良い?」

「みんな帰ってくる予定だから、部屋の中まで変えると怒られるよ。」


一軒家にするのも、今の七階建ての建物にするのも、美弥がしたこと。

たしかに今二人しかいない環境では、広すぎるとは思うけど、家を変えると元の部屋も無くなってしまう。


「そっか。」

「このフロアだけなら良いよ。」


膨れ顔。


「つまんない。」

「明日、私も少し出かけるよ。」


アンジェラとの予定。


「帰ってくるからいい。」

「うん。」


そう返事をすると、美弥は立ち上がってどこかへ行った。

体を起こし、軽く背を伸ばす。


再びこの場所が静かになる時は、座敷のある家でもお願いしてみようか。

まぁヒナ達はまだ幼い。

いつここを立つかは分からないけど、もう少し先のことにはなるだろう。


今伝えた通り、アンジェラに会う前に、改めて見直しておこうか。

デスクに座り、基本世界の資料に目を落とす。


山本宗一郎も亜季子も、戸籍上は死亡届が出ていた。

山本宗一郎の死亡届は約25年前。

山本亜季子は約18年前。

亜季子の死亡届は、山本梓の死亡年の翌年。


そして、山本宗一郎が私に相談をかけてきたのは3年前。

少なくとも宗一郎は、死亡届の後も活動していた。


昨年、山本梓の辞職の翌日に会社の株主からも名前が消え、行方不明。

当時の情報ではマレーシア在住となっていたが、圭の調査でも正確な所在地は不明。


ここまでの情報だけを見るなら、宗一郎の存在は「通常の履歴の外側」にある。


仮説は大きく二つ。


一つはフォーラスとの関与。

魂の提供や管理という形で、彼女の環境を維持していた第三者。


もう一つはフォーラスとは無関係の独自行動。

魔法使いの関与を知った後、山本梓の死亡後に戻ってきた彼女を本物の梓として扱い続けた可能性。


現時点では、どちらも決定的な根拠はない。


ただし少なくとも、フォーラスの行動原理と宗一郎の動きは一致していない。


母親である亜季子の情報は少ない。

履歴上の不自然さは見られないが、アリス・フォーラスと接触できた理由を説明できる材料もない。


この点から見ても、二人が魔法使いである可能性は残るが、それを裏付ける証拠はない。


明日向かう実家には、父の山本弘和と弟の圭吾が在住。

圭の調査では、二人が死亡後に宗一郎・亜季子・梓と接触した形跡は見つかっていない。


つまり、家族側は三人とも既に亡くなっている認識のまま。


現時点ではこの調査の優先度は低い。

フォーラスの動きにも、死神の判断にも直接は影響しない。


ただ、履歴の外側にある存在として、最低限の確認はしておくべきだろう。

ひとまずアンジェラと現地を確認し、魔法使いとの関係が見えなければ、この件はいったん保留でいい。


今優先すべきは――山本梓の魂の所在。


「…はぁ」


アディール・クラーレンの経歴を調べた資料に目を移す。


今回、フィーのいた庭園に魂があったと仮定するなら、精霊に気が付かれずに持っていける実行犯は、現在の知っている範囲ではアディール・クラーレンということになる。

フォーラスのような普通の魔法使いなら、確実に気が付くだろうし、あの男の存在は未だに不明点が多過ぎる。


そして、管理下にあるとするなら、私が知らない世界である可能性が高い。

だが嗅ぎつける可能性がある場所か。

先日のイヴの世界に入る時のルール探しの様な、問答だな。


研究者気質のあの男が、魔法世界以外の場所を知った次に出る行動か。

だが、あの男は実体験を自分に課すリスクを選ばない。

常に観測側で、観察だけを求める。


つまり、魂の保管場所そのものを当てるより先に、あの男が出入りできる条件と範囲を絞った方が早い。

行動理由も方法も、まだ分からない。


なぜ今回、私が行くタイミングであの家にいたのか。

なぜアルフの家に、自分から行くリスクを選んだのか。


観測者であるはずなのに、自ら動いている場面がある。

正体が掴めない以上、仮説も予測も、どこか空を切る。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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