芸能界は進入禁止
「嫌です。お断りします」
高崎哲也。
彼は祐一をNinjaグリーンとしてテレビ出演させた監督だった。
今はどちらかというと、写真家としてのほうが仕事は多く、映像作家としてはネットの仕事をメインにしているという。
「やー困っちゃったね、高崎さんに結婚式の写真撮ってもらうつもりでいたんだよねえ〜」
全然困った感じの無い木田は、楽しそうに笑っている。
「じゃあさ高崎君、祐一君の事を騙して芸能界入りさせちゃったの? そりゃあもう一回とか無理じゃないの? 僕だったら嫌だな〜」
ハッハッハと笑う木田。
「そこをなんとか」
「嫌です。それと高崎さん、なんで俺の弟にストーカー紛いのことしたんですか」
「そうだぞ、お陰で卒業式に出られないかも知れないんだからな!」
機嫌の悪い顔をした神谷兄弟である。
「いやあ、いい被写体探してたらさ、昔の祐一君を彷彿とさせる子がいるなあって思って気になってさ、あんまり似てるからファインダー通したらどうなんだろって・・・」
――コラ、オッサン謝れ!
「そんな事やってるうちに急に祥三君がアメリカに居なくなったから、日本に帰って来た、という感じかなあ?」
木田が呆れ顔でそう言うと
「うんまぁ、そんな所。丁度日本に帰ってきたから、木田さんに顔見せしとこうと思ってココに来たんだよ。決してアメリカからワザワザ追いかけて来たんじゃないからね!」
そう言い訳しながら両手をブンブン振っている高崎。
顔が青い・・・本当のようである。
でも謝れよ、オッサン!
その一方で麗奈は、毎回あの細いロープは一体何処から出てくるんだろう? とずっと首を捻っていた・・・
×××
最近業界で、『特撮名場面集』とか『あの懐かしい主人公達は今』などという特番が流行しているらしく、昔の主人公達をもう一度テレビ出演させようという企画が持ち上がっているらしいのだ。
祐一にとっては超迷惑極まり無い話ではあるが・・・
当然高崎にもお呼びが掛かり、グリーン以外は芸能界に存在しているため他のメンバーは出演を承諾しているらしい。
「いや、俺は今それどころじゃないんですけど・・・」
――冗談じゃねえよ、今麗奈さんと結婚式するために頑張ってる最中だよ!
と言いかけて、何もかもトントン拍子に進んでいる為、苦労などなーんにもしてないな、と気付く祐一・・・
――いやいやいやいや、日本の芸能界なんか近寄りたくねえっ!
「え~と、今は海外映画専門のスタントマンで顔出しはしない契約なんですよ。なので日本での顔出しも海外との契約上は出来無いんで・・・」
とまあ、なんかお茶を濁す感じでシラを切る祐一。
「いや、顔出さなくてもいいから! お願い!」
縋る高崎と、うひゃっ!と避けて逃げようとする祐一。
まるで金色夜叉の貫一お宮である。
と言っても祐一は避けるだけで足蹴にはしておらず、凄いジャンプ力で避けているので、こうなんというか『じゃれつく犬と戯れている飼い主』とでもいうか・・・
微妙である。




