二日目報告会だそうです
本当に遅くなって申し訳ありません
「あー、まだひりひりする・・・」
俺は足をさすりながら言う
ノエルにされた説教―――拷問とも呼べる―――せいでいまだになんかひりひりする
「自業自得です」
「なかなかいい攻めっぷりでしたよ、ノエルさん」
「「あははは・・・・」」
ノエルはぷいっ、とそっぽをむく
クリスとジークはその様子を見て乾いた笑みを浮かべる
ていうかセバス何を手際をほめているんだ
やめろ、ノエルのドSの血が騒ぎだして、お前みたいなのが増えたらどうしてくれるんだ
俺がセバスを睨むと、やれやれといわんばかりに肩をすくめると
「そもそも師匠は常識を知らな過ぎるんですよ、この常識知らず」
「うぐっ」
「のくせして明らかにおかしなレベルの力を持っているのに自分の力に自覚なしのあほ」
「ぐっ」
少しは自分と普通の人との感覚が違う自覚があるから、地味にダメージが・・・
しかも、ノエルどころかジークもクリスもうんうんと頷いてるし
「俺ってそんなに常識ない?」
「ありませんね」
「ないですね、微塵も」
「えーと・・・非常に言いづらいんですが、その~・・・」
「・・・多分、ないでしょうね」
・・・全員に否定された
ちょっとショックが・・・俺の精神が強いのと精神耐性のおかげでそこまでねえな
ほんと便利だな、スキルってのは
ちなみにこの世界のスキルはよく異世界物の小説で出てくるタイプとは少し趣が異なる
たとえとして剣術スキルを挙げてみよう
ライトノベルなんかに出てくるようなものだと、習熟度が上がれば上がるほど剣をうまく扱えるようになる
だから物語の主人公なんかは強敵なんかに強いのに戦い方が素人なんて言われたりする
さて長くなったがこの世界のスキルは習熟度が上がると、自分の技術力に応じて能力が上がる
・・・分かり辛いか
ようするに前者が「+《プラス》~」で後者が「~%《パーセント》」で能力が上がるのだ
つまりスキルの習熟度だけあげてもこの世界ではあまり意味がない
えっ、最初からそう説明しろだって?
うるさいよ
つまり俺の精神が強いから精神耐性の効力がアップしてるのだ
「そういえば夕飯の食材を取りに行ったとき不思議なものを見たんですよ」
ん?
何を見たんだろう
「実は―――――
―――――数時間前
「―――へえ、そんなことがあったんですか」
「ええその時の師匠の顔といったら、ぷぷっ今思い出しても吹き出しそうになります」
「確かにあの時の師匠の慌てっぷりといったら、もう・・・ふふっ」
さてトールが説教されている間、夕飯の食材を取りに来たジーク達はその道中で雑談に興じていた
今はトールの恥ずかしい過去を三人で話していた
「それにしてもまさかクリスさんが先輩と知り合いとは、知りませんでした」
ジークが苦笑する
「それはこっちも同じですよ。師匠ならありえそうなところが怖いですが・・・」
「「・・・納得できる!!」」
セバスの返しにクリスとジークがうんうんと頷く
ハモった二人はお互いに顔を見合わせると照れる―――ことはなくやはりそうかとお互いに
納得していた
やっぱりトールはそっちでもやらかしているのか、とむしろがっちりと握手まで交わしていた
そんな人族の王子と魔族の姫様を見て思う
(一回、国の交流で会っただけでそんなに話したこともなかった二人を一致団結させるとは、師匠は相も変わらず凄まじいと言うかなんと言うか」)
と三人で雑談しながら歩いていく
しばらく歩いていると急に三人の足が止まる
「どうやら囲まれているようですね」
ジークが呟くと同時に三人は戦闘態勢に入る
すると囲んでいた魔物たちもばれたのに気付いたのか姿を現す
「グルルルルルル」
「ギャッギャッ」
「キュルギュルッ」
「っ!!」
出てきた魔物の数は五、だが三人は驚くべき現象に出会う
通常同種の魔物が徒党を組んで襲って来ることはあっても全く違う種族の魔物が協力し合うなんてことはほとんどない
にもかかわらず―――
「なんで別々の魔物が徒党を組んで・・・・」
「ワイバーンにアーチャー・ゴブリン、トレント・・・まったく別種の魔物が争うこともなくこちらを襲おうとしている」
「まあでも、考えるのはあとにして今は―――夕飯が自ら来たことを喜びましょう」
三人は困惑していた顔を納得した表情に変える
珍しいことに驚いたがよくよく考えれば晩飯が自らやってきたのだ
だったらそれは喜ばしいことだろう
「そうですね、でもゴブリンは食べられないなぁ」
「お嬢様、ワイバーンの肉は美味と聞きます、戻ったら師匠に調理してもらいましょう」
「「ギャアアアアア」」
正面からはワイバーン、側面からは二匹のトレントの枝が伸びてくる
三人は散開する
すると散開した先を予測した矢が飛んでくる―――途中で光の矢に壊される
「どうやら敵は通常とは違って知能も能力も上のようです。連携は望めませんから私がゴブリン、剣を扱うジークさんがトレント、セバスがワイバーンを殴り飛ばしてください」
ゴブリンが移動先を予測して矢を射てくるという通常のゴブリンからは考えられないことに直面しながらも今度は特に驚くこともなく冷静にクリスは対処する
「了解です」
「っていうかお嬢様地味にこのワイバーン強そうなんですけど」
「えー、でも斬るより殴ったほうが肉が傷つかないと思ったんですけど」
ジークはアイテムボックスから愛用の剣を取り出す
この世界の人間は基本的にアイテムボックスを持っているのでよほど重くない限りこうして取り出て闘う
意匠が凝らされた刃渡り約七十センチの剣をとりだすと伸びてくる枝を切っていく
半端ではない速度で貫かんと風を切りながら伸びてくる枝を切りながら並んでいるトレントに迫る
この世界のトレントはド○クエ風の木に顔が張り付いているあんな感じだ
攻撃方法は伸縮自在の枝をつかった鞭打ちなどだ
とそんなことを説明してる間にジークはトレントまでたどり着くと
「『炎熱剣』」
トレントに効きやすい火属性の武技を発動させ二体のトレントを細切れにする
ジークは剣を払い、アイテムボックスに戻すと
「チート使うまでもなかったなあ」
かっこつけた後
とりあえず魔石は回収しとこうとトレントの残骸をあさりだす
「硬いですねぇ、ワイバーンにしては」
「ギャアアアアア」
白髪をたなびかせながらワイバーンの突撃を避け続ける執事服の少年は軽くいなす為に脇腹を蹴とばすとその硬さに悪態をつく
通常より明らかに強いワイバーンの攻撃をよけ続けながらチャンスを待つ
そしてその時は訪れる
「グルルル・・・キュウウウ」
突撃しても攻撃が当たらないことに業を煮やしたワイバーンはまとめて焼いてやる、と言わんばかりに大きな口を開くとブレスの準備をし始めた
しかしこれは下策だったといえるだろう
なぜならその瞬間を待ち続けたセバスの格好の的になったのだから
すぐさまワイバーンに接近する
「ギャウ!?」
「やれやれさすがトカゲ、ずいぶんとまあ大きな隙をを晒しましたね」
急に接近されたことに驚くワイバーンをよそに構えをつくる
哀れな爬虫類は慌ててチャージを終えてないままブレスを吐こうとするが
「師匠直伝『スパイラルアッパー』」
顎を強打する
つぎの瞬間ワイバーンの頭が吹き飛ぶ
それはもう木っ端微塵に骨の欠片や脳漿がぶちまかれる
それをやった本人は手を払うと
「よしっ!胴体に傷なし」
胴体に傷がないことを喜んでいた
ちなみにクリスは速攻でゴブリン(所詮はゴブリンなので)を片付けたあと
「何で二人とも無駄にかっこつけてるんですか?」
「「なんとなく!」」
確かに異常事態とはいえさして苦戦することはない相手に何かっこつけてるんだろう?
と疑問をいだいていた
「―――――といった感じで」
「まてまて」
「なっなんでしょうか?」
「なに?なんなの?」
何そんなにかっこつけてんの?
ていうかなんなの、ねぇ
俺なんかほとんどバトルシーンないよ
何君たち主人公なの?
ぶっちゃけ異常事態とかどうでもいいわ!
「うらやましいわ!」
「ちょっ大人げなさすぎですよ!」
そのあとしばらくの問答の末、ようやく俺は我を取り戻した
「――――で、具体的にどれくらい珍しいことなんだ?」
「少なくとも似たような事例はなかなかありませんね」
「そうなのか?」
「はい、おそらく人為的なものと思われますが・・・それでも一応Bランクのワイバーンまで操れるほどの魔術師がそうそういるんでしょうか?ワイバーンなんかの竜種はプライドが高いので卵から育てないとたとえ『モンスターテイム』のスキルがあったとしてもすぐには言うことも聞かないと聞いたことがありますし、たとえ同じ主の下でも魔物同士は種類が違うと共闘しないはずなんですが・・・」
「どうやったかは知りませんが、わざわざバランスよく魔物を編成して野に話しているのはやはり他の受験者の妨害するためでしょうか?」
「さぁな・・・」
おそらくだがやったのは転生者だろう
みればノエルとジークも同じことを考えているようでこっちを見て、小さく頷いている
「まあその辺はほっといても大丈夫だろう、ぶっちゃけ興味もないし。降りかかってきたら何とかすればいいだろう」
「まっ、それもそうですね」
と場が納得したところでクリスが
「そういえば不思議なことといえば師匠たちと会う前にありましたよ」
「ああそういえば、まぁあれも不思議なことといえば不思議なことでしたね。逢う前というよりほぼ会ったときでしたが」
「ん?なんかあったっけ?」
会ったとき?
確かその時は―――
「あの闘ってたあいて?」
「そうです、そうです。なんか「あなたはアスロウムの第八王女ね、確かに強そうだわ。あなた、私たちの仲間になりなさい」とかわけのわからないことを言い出してきて」
「断ったら、力ずくで連れていくとかギャアギャアと騒ぎだしてそのあとお嬢様が撃退してるところに師匠たちがやってきたというわけです」
「なるほど、セバスに言いくるめられて闘わされたクリスがかっこつけてるときに俺らは来たわけね」
「ええっ!?わたし言いくるめられてたんですか!?セバスが「お嬢様これは結党のようなものです、ですのでお嬢様一人でやっつけてください」というから一人で倒したのに、っていうか別にかっこつけてません!!」
「いやかっこつけていただろう・・・ていうかそれに乗せられちゃうのかお前・・ちょっと心配になってきたぞ」
まったく・・・ん?
「なんか二つの反応がこっちに向かって・・・ああ、あいつらか」
「どうしたんですか?」
「いや、このログハウスに接近してる反応が二つあってな、多分知り合いだから安心しろ」
「へ?知り合い?」
「ああ連れだよ、連れ」
「レイナ様達ですか」
「久しぶりにレイナとカレンちゃんに会えるのですね」
二人を知らないジークは首をかしげている
ノエルは・・・感づいたようである
「では防衛装置は解くんですか?」
「いや、なんか知らんけどちょくちょくこのログハウスは攻撃受けてるから解くのはなしで。でもまあ、あいつらなら大丈夫だろう」
「大丈夫なんですか!?」
一度実験という形で見学させたから威力的に大丈夫なのか聞いてるんだろう
だからだろう攻撃を受けている云々は頭に入ってないようだった
「大丈夫だって、ていうかもう作動してるし」
「ええっ!?」
ほら、もう―――
「ああ、もう。弾幕はりすぎでしょ!!」
「レイナに激しく同意します」
バンッという音と共にドアが蹴破られそこからは
カレンとそれに担がれたレイナがいた




