第1話「静かな一日…のはずだった」
恋のゲームが、ついに幕を開ける――
春の日差しがのんびりと、レンテイ学園の庭を包んでいた。
この名門校は、トイレで的中すると「よくできました♡」と甘い声で褒められるセンサー付きで有名だ。
休み時間。生徒たちは桜の木の下に集い、おしゃべりとお菓子、青春の悩みを分かち合っている。
その中で一番静かな片隅。そこにいるのは――アケミ。
暗めの髪は、少し乱れ、顔には無表情なクールさがただよう。
彼はまるで地球最後の生き残りのように、のんびりとカレー–パンをかじっていた。
隣にはいつもの二人、ハルトとカイトがいる。
アケミ相手に、今日も会話を試み中だ。
「ねぇ、兄貴……感情って持ってるの?」
ハルト(赤毛、目の下に戦いの痕あり)が言う。
アケミはゆっくり顔を上げた。
「持ってる。ただ、必要な時にしか使わないだけ。」
「必要な時って?」
カイト(メガネ男子、焦りぎみ)が聞く。
「カレーがなくなった時だ。」
ハルトはむせた。
「マジかよ、冷たすぎる…この学園でどうやって生きてるんだ?俺、女子にズタボロにされたけど。リカの話、したっけ?」
「三回。」
「あっ…その返し慣れてるな!しかももう四回目の話だぞ、重大なんだ!」
ハルトは身を乗り出し、涙ながらにドラマチックに言った:
「“優しくて面白い”って言われて!でも四日後、“思ったのと違った”ってLINEが来た!何を期待したらよかったんだ!?ヨットかよ!?朝食すらカツカツなんだぞ!」
アケミは黙ってジュースを飲んだ。
「お前の期待しすぎだろ。」
「お前にはわからないよ!心のない奴!」
「持ってる。0.86秒に一回だけどな。」
カイトがこっそり笑った。と、その時――
髪が紫に輝く少女が彼らの前に現れた。制服は絶妙に体にフィットし、笑顔はまるで美歯ケアCMモデルのよう。
サヤカ――“失恋クラブ”の精鋭メンバーの一人だ。
「アケーーー…ミィ〜♡」
彼女は猫を誘惑するような声で囁いた。
アケミはカレーを一口、ゆっくりと呑み込む。直感で危険を感じた。
「……やあ。」
「今日、放課後、時間ある?特別な場所に連れて行きたいなって…」
彼女は首から胸元にかけて指を滑らせる。ハルトは噎せた。
「え?放課後にそんなこと、学校でOKか?」
サヤカはさりげなく二人に背中を向けて、アケミだけを見る。
「時間を止めてあげる……二人だけの世界に。」
(心の声)
—なんでそんなに直球なんだよ!どう返せばいいんだ!?「お願い」?「勉強ある」?助けてくれー!?
だが顔にはまったく出さない。
「壊れた時計には興味ない。」
「え?」
「時間を止められるって?壊れた時計も止まってる。でも、それじゃ使えないんだ。」
沈黙が辺りを支配した。サヤカは一瞬、目を見開き…そして去っていった。
ハルトとカイトの顔が青ざめる。
「お前、あの学年屈指の美少女を…口でぶっ倒したぞ…?」
「狙ったわけじゃない。」
アケミは淡々と言った。
――狙ったのかもしれないけどね。
⸻
数日後――
カイトが小さな香り付きの手紙をアケミに渡した。
「アケミ…ミウっていう子からだ。」
アケミはそっと開封し、読み終えてから言った。
「行かない。」
「え?」
「明日午後五時。行かない。」
「デートをドタキャンするのか?」
「そう。行ったら、命が危ない…いや、インスタに晒される方がヤバい。」
⸻
翌日 午後5時10分 学園近くの公園
ミウは夏のワンピースに花をつけ、綺麗に口紅を塗り…準備万端。
「アケミくん、どこ…?」
五分、十…二十分。風が吹くたび、桜の花びらが揺れ、まるで彼女の心が漂っているかのようだった。
遠くの屋上では、ハルトとカイトが双眼鏡で監視中。
「マジで来てねぇ!伝説だ…いや、怪物だな!」
一方、アケミは部屋でクッキーをかじっていた。
“残酷かもしれないけど…腹が減っては戦はできん。”
――しっかりと次回に続く感じで第一話を終えます♪
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それでは、また次回お会いしましょう!
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