表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルトストーリア  作者: あきら ななせ
生贄の詐欺師と白竜の運命
61/64

独白 2

 レイ・アルバードという少女は、幼い頃から頭が良かった。 家を代表する人間として、幼い日から厳しく教育をされて来たので、些細な事では動じない、そんな年相応とは思えない子供に育っていた。

結果として、レイには友人が少なかった。 どんなに美しい見た目をしていても、鉄のような表情をする少女と仲良くしようとは誰も思わないだろう。 実際、スクールではいつも独りぼっちで、妹達からも話しかけられることなどなかった。

 それは歳を重ねても同じことで、いつしか十五になった彼女は『氷の女王』と陰で呼ばれることになっていた。 高嶺の花と言えば聞こえはいいが、結局はひとりぼっちの、可哀想な女だ。

マッカーソン家のジョシュアやその兄は、家同士の付き合いがあるからか良くはしてくれるが、いつも一緒というわけではない。 ジョシュアは同じ学年だったが、彼は男だ。 そして陽気な性格からか、人気者だった。 彼にも彼の友人やコミュニティがあるため、レイに付き添うことはなかった。 婚約者であるマッカーソン家の長男はすでに成人していてスクールにはいない。 彼はレイの事を好いてはいるが、スクールに来るまでではない。

 要するに、いつもどこでも一人で寂しくしていた。 そんなレイが出会ったのが、ひとりぼっちの少女だった。 名をカリオストロという。

 裏路地の本屋に寄った時のことだ。 見ず知らずの男からこう持ちかけられたのだ。

『我らの神秘に触れてみないか』

と。 最初は変人だと思い、通報しようかと迷ったが、何か気になることもあって着いて行くことにしたのだ。 地下に連れられて、祭壇のような場所で出会ったのが、あのカリオストロという少女だ。 自分と同じ金髪の髪の少女。 なぜか少女は自分に懐いて来た。 そうして、レイはここに通うようになった。 小動物のように懐いてきたカリオストロの話し相手になった。

 それからはいろんなことを話した。 いつしか自分よりもカリオストロのことを思うようになっていた。 アンチュリエという組織に所属しないかと持ちかけられたのはそれから少し経った後で、最初は特に何も疑いもせずにそれを了承した。

 アンチュリエが、魔物主義の組織だと知ったのは二年経った頃だった。 ちょうど、屋敷にジョシュアが来ていた時だった。


「レイ、お前アンチュリエって組織知ってるか? 最近イタリアで変に声かけて来る連中が名乗ってるンだとよ」

「……そう」

「お前も気をつけとけよ〜? なんか魔物主義の組織でヴァチカンから目ェ付けられてるらしくてさ。 お前になんかあったらオレが兄貴に怒られるし」


 疑問に思って色々と調べて見た時にはもう遅かった。 カリオストロという少女は元々は孤児で、その少女に無理やり魔力を詰め込んで兵器を創ったのだ。 人を殺す兵器を。 いや、人だけではなく、魔物をも殺す兵器になり得る。 アンチュリエの幹部達は魔物主義と言いながら、魔物を利用してこの世界を自分達のものにしようと企んでいるのだ。

当然、兵器というのならば数がある。

忍び込んだ研究所には、あのカリオストロという少女と全く同じ見た目の少女が大勢いた。 所狭しと並べられた大きな培養ポッドの中で、それは起動を待つように眠っていた。

 知らなかったとはいえ、それはもう完全に悪だった。 聡明だ、天才だと言われさえしたのに、レイは完全に考えを怠ってしまった。 普通なら判るであろうこの組織の悪を見抜けなかったのは、きっと孤独ゆえに温もりを求めたせいだろう。

 それからというものの、レイはアンチュリエの人間として任務を遂行しなければいけなくなった。 表向きはヴァチカンに所属する令嬢として、自らを偽った。 あのアルバード家の令嬢が、アンチュリエという悪の組織に加担しているなど知れてしまってはいけない。 両親にも、ジョシュアにも婚約者にも言えない重い秘密を抱えたまま、いつバレるか分からないスパイ活動に怯えた。

 クラウンにバレた時は、正直肝が冷えた。 このまま殺してくれればと思いもしたが、彼は情けをかけたように二重スパイになれと命令をしてきた。 だったら、と藁にもすがる思いでその要求をのんだ。 

探していたエトワールが祭星だと分かった。 その時点で自分はアンチュリエを抜け出したくて堪らなかったのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ