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どこかの廃屋にて 4

──スケルトンの頭を叩いて、魔力の扱い方を学ぶ。


コツさえ掴めたら、割りと簡単に理解出来た。

それでもある程度の集中が欠かせないが、我が身に宿る魔力を"違和感"として認識する事が出来る。

慣れてくる頃には、この"違和感"も無くなっているんだろうか?

そんな自分がとっても怖い。色んな意味で。


長時間ペチペチ叩いていたので、手のひらがジンジンする事以外は順調に進展してしまっている。


ちなみに、スキル[従魔術・改]によってスケルトン(打楽器)は初めての我が従魔第1号として、瓦礫の下敷きになったまま足元でグッタリしている。

……決して、叩き過ぎたのが原因ではないと思う。



スキルの発動と従魔を手に入れた感動は、まったくと言って無い。

魔力の扱いを覚えるまでの長過ぎる苦痛と比べて、従魔になるまで発動を繰り返した数分が微々たるものだっただけだ。

目的と手段が入れ替わってしまった時には、往々にしてこう言う事が起こる。


「いつまで寝ている。さっさと作業を続けろ。」


使役出来る魔物をゲットしたとは言え、満足に動けないのでは意味が無い。

一時完全に忘れていたが、ここは人の暮らす領域では無い。いつ襲われるか知れないのだ。


この場所を真上から照らしていた日の光は、気が付けば既に壁と瓦礫の向こう側だ。

まだ安全な拠点の確保どころか、スケルトン(動く盾)すらこの有り様なのだ。焦らずにいられるか!



~・~・~・~



「やっと動ける様になったか~」


達成感に満たされながら、ゆっくりと起き上がるスケルトンを見やる。

一番の強敵だった梁は、少し斜めにずらすのが精一杯だった。

代わりにスケルトンの下の床板や地面を掘ることで、何とか無事脱出する事が(かな)った。

それと熱血棒(ゲキガン○ード)が大活躍だった。

地面を掘るのにかなり削られ、最後には折れてしまったが…。

─ お前の犠牲は、決して無駄にはしないよ。。。。


さて、そんな事は置いといて周辺の偵察をしないとな。何はなくともまず情報。

ココを拠点に出来ない以上、速やかに安全な場所を探して確保しなければならない。



「この周りで、人間が住めそうな所はあるか?出来れば安全重視で」


『カタカタッ』


「ん? …この感じは、まさか …?」


ある方向を指差し、身ぶり手振りで必死に何かをアピールするスケルトン(パントマイマー)

そうした中で、ぼんやりとしたイメージやニュアンスの様なモノが頭に流れ込んでくる。


白い球体(アイツ)と同じだとっ!?─


喋れる事は期待していなかったが、まさかここでもイメージを送り付けてくるヤツがいるとはっ!

半ばトラウマを呼び起こされる現象に、思わず鳥肌が立つ。

だがスケルトン(コイツ)の場合、身振りが加わってくるのでまだ分かりやすい。

頭の出来も違うのか送ってくるイメージもとてもシンプルで、白い球体(コミュ障)とは大違いだっ!(←ココ強調)



スケルトン(出来るヤツ)の話を纏めると、表を道なりに進むと大きな家があるそうだ。その隣に頑丈な小さな家(倉庫?)があって、そこなら大丈夫なんだと。


─ なんて分かりやすいんだろう♪


今まで散々コミュニケーションで苦労した分、通じ会える喜びに感動すら覚えてくる。

…ぁ、ちょっと涙が出てきたよ。。。。


─ ずっと頭を叩いたりして、ごめんな。



込み上げる嬉しさと罪悪感を胸に秘め、外へと一歩を踏み出そうとした所で固まった。


視線の先にあるもの、それは─ 手だ ─


向かいにある廃屋の崩れた部分、その陰に草が(まだら)に茂っている場所がある。

隙間から射し込む光に"白い手のようなもの"が僅かに見えていた。

日差しが向きを変えた為に、さっきは影になってて見えなかったのだろうか?

あれは多分…白骨化した手だ。

ただ、アンデッドなのか遺体なのかは、ここからじゃ解らないが…。

釘付けになった視線はそのままに、傍らのスケルトン(動く盾)に静かに問う。


「……この辺りにはアンデッドが多いのか?」


『カタタッ』


「ちょっ、目立つ動きをするなっ。陰に隠れろ!」


大胆にもその場でダイナミックな身振りをし始めるスケルトン(目立ちたがり屋)を、慌てて壁の裏側へと引っ張り込む。

彼の伝達手段は主にコレだから仕方がない。あの場で聞いたオレが悪いのだ。



改めてスケルトン(被告人)の主張に耳を傾けると廃墟(ココ)の周辺一帯は、アンデッドの巣窟だ等と述べており…


彼曰く、ここら辺りは集落(開拓村?)があった場所で少なくない人が暮らしていたが、ある日、多くの魔物達の暴走(?)に巻き込まれて、その殆どが死んでしまったそうだ。

人や魔物を問わず多くの亡骸が集中したこの場所は、そのまま多くのアンデッドを産み出してしまった。

日夜徘徊する多くのアンデッドがいる為に、他の魔物や生き物は余り近寄らなくなってしまっているそうだ。



魔物の暴走(?)って何?とか、生きていた時の記憶があるの?とか、疑問は尽きないのだが、まず知りたいのはあそこで見えていた手がスケルトンかどうかだ。


「なぁ、向かいの家で見えてた骨は、スケルトンなのか?あの家には、どれくらいのアンデッドが居るんだ?」


『カタカタッ』(小さく身ぶり手振り)


「スケルトンが一体だけ? 他には、ホントに居ないのか?」


『カタッカタッ』(小躍りするように身ぶり手振り)


「今は知らないって、ずいぶんテキトーだな。」


『カタカタカタッ』


時間の概念を失っているのか、どのくらいの日数を瓦礫に埋もれていたのか解らないそうだ。

ただその間に、移動したり居着いたりしている可能性もあって、正確な事はわからない…と言うのが彼の言い分だ。


なんか随分と、理論的なヤツだな。さっきの踊りで、アホで単純なだけかと思ってたんだけど。

だが、本当ならこの状況はありがたい。






「もし、あの家にスケルトンが一体だけだったら、連れて来れるか?」

もしもし主人公さん。アイテム忘れてますよー!

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