終章
一歩一歩が重い。
薄暗いこの長い廊下を抜ければ、眩しい光が待っている。
「大丈夫だ」
後ろから聞こえたジェイドの声で落ち着きを取戻し、ローズは真っ直ぐ前を向いて足取りも軽く歩を進めた。
辿り着いたその場所は、ローズを温かく迎えてくれた。
「ローズマリー様!」
「おかえりなさ~い!」
「女王様万歳!」
王城の正面に面するバルコニーの下には、多くの国民が集まっていた。
皆、笑顔を浮かべている。
ローズがこの城に戻り、女王となったことをこんなにも歓迎してくれている。
嬉しくて、涙が出そうになった。
でも、せっかく皆が笑顔で迎えてくれたのに、自分が涙を見せる訳にはいかない。
バルコニーから見える国民の顔一人一人を見ながら、笑顔で手を振った。そこに、見知った顔を見つける。
(あ、ボルダーのみんな、来てくれたんだ)
王国軍の騎士服を着た彼らは、一様に男泣きをしていて、中には鼻血を吹き出している者もいた。ロイは、そんな先輩騎士の介抱をしている。基地にいた時と変わらない彼らを見て、微笑ましく思う。
そして、その後ろの方でそっとこちらを見つめている優しい眼差しに気付く。
(ペイン神父……!)
おっとりと微笑みながら、ペイン神父がこちらを見てくれている。
今までの感謝の気持ちを込めて、ローズはペイン神父に笑顔を向けた。気付いてくれただろうか。
ペイン神父の近くには、家族と共に子ども達もいて、元気に手を振ってくれている。
厳かな即位式の後の、国民へのお披露目。
守護石エンジェライトをイメージした空青色のドレスを身に纏い、頭にはずっしりと重い王冠が乗せられている。
女王ローズマリー・セラフィナイトの誕生だ。
「皆さん、私と一緒に笑顔いっぱいの平和な国を作りましょう!」
ローズは、めいいっぱいの笑顔で国民に宣言した。その美しい笑顔に、誰もが心を奪われた。
* * *
第十五代女王ローズマリー・セラフィナイト。
彼女は、初代国王アレクサンドと並び称される程偉大な王として、後世にまで語り継がれている。アレクサンド王の作り上げた守護結界を強化し、邪石のような邪悪な石が二度と現れないよう、その力を尽くした。
彼女の治世では争いは全く起きなかったという。
また、その美しさと慈悲深さから、彼女が実は本物の女神だったのではないか、という伝説も存在している。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しい限りです。
初めての長編、はじめての公募作品ということもあってかなり思い入れだけはある作品です。
これからもっと未熟だったところを改善していけるよう、努力していきたいと思います。
(2016/1/3 改稿しました)
本当にありがとうございました!
奏 舞音




