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95/95

95_祖母と新興宗教。


 私の亡き祖母は新興宗教の信者でした。


 小学校の入学前のことです。両親は共働きでしたから、保育所への私の迎えは父方の祖父母と母方の祖母(こちらは祖父がはやくにいませんでした)が交互に来てくれていました。新興宗教にはまっていたのは父方の祖母だったわけですが、その父方の祖母が迎えにくると、流れでその新興宗教の道場に連れて行かれることになるのでした。


 私は当時まだ小学校の入学前ですから、新興宗教とかそういう言葉すら知る由もなかったわけですが、それでも何か「普通ではない場所」という認識を持っていました。なぜ自分がこんなところにいなければいけないのだろうと、そうぼんやりと感じていました。正座させられるし。結局、小学校に上がる頃には私も嫌になってしまい、祖母にはっきりと「行きたくない」と伝えたことでそれ以降は連れて行かれることもなくなりました(以降も何度か誘われはしましたが、すべて断りました)。


 数年前、その祖母が亡くなりました。晩年は体調を崩しがちであり、その道場にもあまり通ってはいなかったようでした(どうも弱った自分を見せたくなかったらしい。弱った時こそ救いを求めに行くのが筋なのではないか?と思ってしまいましたけども)。

 これは祖母が亡くなった後祖父から聞いたことなのですが、まあけっこうな額をお布施として寄付していたらしく……。その宗教内でのランク(というのですか?)も、けっこう高くなっておったようです。身内としては、本当になんとも言えない気持ちになります。


 悪質な宗教だったとは思いません。実際、祖母にとってその宗教コミュニティがある種の社交場になっていたことは確かでしょう。お布施も強制ではなく、祖母が外面をよくするために行なったことなのでしょう。それでもやはり、祖母が良かれと思って幼い私を連れ込んだことや、宗教と祖母について祖父が語るときの苦々しそうな顔を見ると、手放しで受け入れる気にもなりません。


 唯一よい思い出があります。

 その道場に連れて行かれたとき、おばちゃんの信者が私によく大学芋を食べさせてくれました。大学芋はおいしかったです。


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