83_物語にレイヤーを設けたい。
創作について最近考えていることがあります。
「作品をレイヤー構造で作る。表層はわかりやすくする。」
ということです。なんのこっちゃ。順を追って説明します。
まず私は、作品を「多層的なもの」として捉えています。
もっとも表層には「その作品の中で動いている出来事」の層があり、その下には「そのとき、登場人物たちは何を考えているのか」の層があり、その下にはさらに「なぜその登場人物はそのような人格として出来上がったか」があり、さらにその下には「登場人物をそのように造形するにいたった経緯」がある……。
口で言うと分かりにくいかもしれないので、箇条書きしてみます。
第一階層:作品の中で実際に動く出来事。あらすじ。ストーリー。
第二階層:その出来事の中での登場人物の思考・感情。
第三階層:なぜその人格ができたのか。なぜその出来事が起こるのか。世界観。設定の土台。
第四階層:筆者の意図。作品の経緯。制作コンセプトなど。
第五階層:筆者の深層心理。
あくまで、便宜上のものです。作品の要素が上だけで足りるとはまったく思いません。また、宣伝・紹介文・表紙・タイトルなどはさらに上の層(第0層)に所属するものと私は考えております。また別の角度から作品を見たら、そこには階層構造とは別の構造も発見しうるでしょう。いったん今回は、上の階層構造にしぼって考えることとします。
私は第一層・第二層は「わかりやすいものである」必要があると考えております。あらすじやキャラクターがわかりにくい作品は、少なくとも「大衆向け」ではないでしょう。もちろん創作がすべて大衆向けでなければいけないと言うつもりはありません。とはいえ私が目指すところでもありません。私はあくまでより多くの人に物語を届けることを最終目的としたい。
パッとみても面白いものであると言うのは、私が私の作品に課す一つの個人的な制約です。
わかりやすいものがおもしろいかどうかは場合によるでしょうが、わかりにくいものが初見で忌避されるのは必然だろうと思います。だからこそ、第一層・第二層はわかりやすいものとして作りたい。何が起きているのか・どんな人物がいるのか。これだけは極力シンプルにしたい。
とはいえ、あくまでもこれは第一層・第二層に限った話です。第三層と第四層まで全員に伝える必要性はまったくないと考えております。そして第五層にいたっては自分自身ですら全てはわからないでしょう。
第一層・第二層は言うなれば氷山の一角。本体は水面下にあるものです。潜ってそれを見たい人間だけが発見できるものだと思いますし、そこまでしてくれる読者は一握りでしょう。しかし、そう言った方々がいることを私は知っています。
キャラクターの精神の深淵も、その世界の土台となる世界観も、それを考える私の意図も、目立つ必要はまったくない。でも存在はしているべきです。いえ、存在しなければ私が書く意味がどこにもない。
何より、土台にある精神性は第一層・第二層を貫通するものだと信じています。「一見ではわかりにくいけれど、伝わるもの」もあるはずです。それは表層にも滲み出るのではないでしょうか。そうであるなら、表層の部分で人目に止まればの奥にある物事が伝わる可能性だって増えていくはず。
わかりやすくて面白いと、わかりにくいけれど何かが感じられるもの。これが二律背反ではないと信じ、次の作品のプロットを練っております。




