53_キッドピクスでお絵描きしよう。
wow !(謎の効果音)
『キッドピクス』というソフトウェアをご存知でしょうか。
1989年に公開され、その後90年代にはMacintoshに同梱されるまでになった子供向けお絵描きアプリです。
なんと現在、webアプリ版が公開されているので誰でもブラウザで遊ぶことができます。ぜひキッドピクスで検索してみて欲しいのですが
このキッドピクスというアプリ。お絵描きソフトというと、令和の皆様はPhotoshopだとか、GIMPだとか、クリップスタジオだとか、そういったものを想像されるかもしれません。
まったく別物です。
レイヤーがなかったり、キャンバスサイズが固定だったり
そういう差もありますが、本質的な違いはもっと別のところにあります。
キッドピクスとは、言うなれば効果音付きの自由帳です。
線を引けば線を引く音がなり、爆弾ツールを使うとカウントダウンの後爆発音とともに画面全体がリセットされ、豊富に用意されているスタンプを押すと「バン!」と小気味良い音が鳴る。
まーじで音のなるおもちゃとか、なんかそんな感じです。
私が最初にもらったお下がりのiMacにこのソフトウェアがインストールされておりまして。小学校低学年の頃にとにかく遊び倒していました。
まあ時間が溶ける。
何か目的があって描いていたわけではなく、とにかくキャンバスにいろいろな絵を展開して遊んでいました。一つ一つの行為──たとえば線を引く、図形を書く、スタンプで動植物を配置する──そういった操作のひとつひとつに、自分の中で意味をこめていました。
かっこつけて言うのであれば、あれは「世界」を創る遊びでした。
一つの世界をドット絵で作っていき、たとえばそこを発展させるである。あるいは滅ぼすである。そこには幼い私を創造主とした「物語」がありました。そしてその物語は混沌に支配された世界でした。
子供のお絵かきとは、本来そう言った性質のものなのかもしれません。
大人は絵を描く行為を、ともすれば「絵を描く」という部分に押し込めてしまうけれど、本当は絵を描くことは頭の中の世界に触れるための行為なのかもしれない。そこは自由で無秩序でカオスの世界。
久々にキッドピクスで「遊ぼうと」してみたのですが、もうなかなか難しいことに気がつきました。頭の中からカオスを出そうとしても、大人の脳は勝手にそこに小難しい理屈や秩序を持ち込もうとしはじめる。
結果として、多分今の私の絵は「人に伝わるもの」になっているけれど、人に伝えることをまったく意識しない自分の中のカオスはどこかに行ってしまったようです。
童心ってやつは、思い出そうとしても上手くはいかないものですね。




