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第123話 第二次ザラターン海戦

 のちに、第二次ザラターン海戦と呼ばれる戦いは第一次海戦からわずか二か月の後に起きた。その間、サルバトーレ連合軍とディファイエント皇国軍とで他の戦闘が起きなかったのは様々な要因が重なる。

 まずはじめに、サルバトーレ連合軍は皇国の脅威に対抗するべく、技術促進及び軍備増強を図ったとされる。その方法は多岐にわたり、この時、実権を握っていたガーフィールド・サルバトーレの慧眼はすさまじく、当時の常識では考えられない采配をいくつも執ったとされる。

 山賊、海賊の一部を戦力として引き入れるなどして、私掠船団を結成、また同時に栄光のサルバトーレ空軍の構成員たちはその多くが元は山賊であったとされている。


 そして、決戦の時は明朝であったとされる。サルバトーレ連合軍艦隊は総勢一八五隻、その内三隻は蒸気機関を搭載した鉄鋼戦艦であった。第一次ザラターン海戦において不沈艦伝説を生み出したクンク・タートル級戦艦が三隻というのはこの当時の海軍戦力においては破格、いやむしろ過剰ともいえる戦力であったが、サルバトーレ連合軍はこれを惜しみなく投入したとされる。

 対するディファイエント皇国軍は二一四隻からなる大艦隊でザラターン海域を包囲せしめようとしていた。また、第一次海戦においてサルバトーレ連合軍が使用した気球を真似し、これを投入。

 この海戦において、世界初の空中戦が繰り広げられることとなったが、その結果は歴史の知るところである。

 結果はサルバトーレ連合軍の圧勝となった。艦隊数においては皇国軍はまさしく必勝の物量を投入していた。前線に赴く二一四隻以外にも後続に三八隻を控えさせていた。しかしながら、それでも、皇国軍の海軍戦力において生き残ったのはわずか二一隻だったとされる。

 そのような結果をもたらしたのは、またしても、サルバトーレ空軍であった。


以下中略


 空軍の活躍は目覚ましく、サルバトーレにおいて開発された世界初の飛行船による空爆は皇国軍に大打撃を与えると同時に、世界中を震撼させた。

 蒸気機関を搭載した飛行船は今日における遊覧飛行船よりもはるかに遅い時速八キロとも十キロとも言われていたが、空を自在に駆ける飛行船の出現は絶対的な優位性をもって、戦ったとされる。

 この当時の主な戦闘方法は爆発物を投げつけたり、火炎瓶を落としたりなどの原始的な方法であったが、砲も矢も届かないはるか上空からの攻撃、さらには気球とは違い自在に動き、安定した飛行を行う存在にとって、ただ浮かぶだけの気球は的となり、次々と矢で撃ち落とされたという。

 この時、活躍したのが後のコルン将軍であった。


以下中略


 もって、勝利を収めたサルバトーレ連合軍。艦船の被害はあったが、木造帆船のうち、十二隻が撃沈。しかしながら不沈艦クンク・タートル、その二世、三世は堂々健在し、大海原を蹂躙した。

 この瞬間、ザラターン海域の支配者は確定したとされる。

 また、連合軍側は皇国の補給を断つべく、雇い入れた海賊たちを国家容認とし、私掠船団として各地に送り込み、皇国の輸送船や貿易船を襲ったとされる。


 そして、この戦いからさらに二週間後。

 連合軍はついに皇国の本土へと攻め入ることとなる。

 この海戦の後、ガーフィールド王子は国王に即位。同時にサルバトーレは名実共に連合国家群の盟主となり、大陸の殆どの国が傘下に加わった。

 ガーフィールド王は連合に参加しなかった国に対して罰則などは設けることもなく、また催促もしなかった。

 巨大かつ、豊かな技術力に恵まれたサルバトーレからすれば、さほど問題のない、取るに足らない存在であったからと言われている。


『サルバトーレ連合国家の出現』より抜粋。

 著者アザリー・ベルナデッド・バンガ・ハイカルン。


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