47・カール君の文句。
カール君が文句を言ってきたよ。
商業ギルドの方にももっと気を使ってほしいんだそうだ。
ふ~ん……もっと仕事を! ってことかね?
真面目だねぇ……カール君。
でもね、神殿の他にも王宮にも行くことになっちゃったからね。
一歳になってない名無しの子供にそんなに仕事を強要しちゃあアカンよ。
ヌイグルミも絵本も順調で最近はご婦人方の内職にもなってるという。
紙芝居も行商の人たちが買ってくれてゆく先々の村々で客寄せになってるそうだ。
本職の画家さんたちは最初はバカにしてたそうだけど今は塗り絵の図案やら
紙芝居用の元絵の制作の売り込みに来てるらしい。
肖像画とかの本格的な絵を依頼するのはお金持ちか貴族だけどそんな依頼が
常にあるとは限らないからね。
駆け出しさんなんかだと絵の腕より伝手のほうが大事なんてことも
あったりするそうだ。
大金の依頼料は入らなくても絵の仕事が増えたと喜んでるらしい。
画家の絵なんか見たこともない平民でも見られるようになるといいよね。
大人になったら美術館までいかなくてもギャラリーくらいのものなんか
作ってみたいと思うよ。
まあ、資金がまだまだなんだけどね。
公園用に館なんか買わされちゃったし。
小さな公園は順調に増やせている。
広さはさほどじゃあないけどアチコチに設置できた。
子供限定、管理人は退役した兵士さんを採用したんだ。
できるだけその地区出身の方にお願いしたんだよ。
コワモテな方でも知ってる人なら安心だしね。
時々子供を誘拐とか拉致とかする不届き者が出るそうだ。
でも、警戒してると分かればそれだけで抑止になる。
小公園ごとの管理人小屋はちょっと交番めいた感じになってきている。
少しながら治安に貢献してるらしい。
最近ペンが自在に使えるようになったので日記を始めることにした。
もちろん生まれてからこれまでのコトもできる限り書き留めておくことにした。
前世のコトも書き留めておこうと思う。
言葉も文字も使わないといずれ忘れてしまうだろう。
でも、せっかく前世のことを忘れずに転生したんだから記録として残せば
些細な事でも役立つことが有るかもしれない。
白い紙がこの世界にあるのは昔の勇者が作らせたからだそうだ。
オカゲでノートも鉛筆も存在してたからうれしかったよ。
まあ、さすがに万年筆までは無かったけどね。
そのうちコレも提案してみようと思ってる。
でも、羽根ペンも気に入ってるんだよ。
ココの文字を書くのに書きやすいって感じなんだ。
段ボールがなかなか出来てこないので無理だったかと残念に思ってたんだ。
でも職人さんたちは諦めてなかったんだね。
完成品は茶色じゃあなくて白かったけど。
「間に挟む波々な所に苦労しましたよ。
できてみればなんてことない型押しみたいなものでしたけどね。
ところでコレって何に使うんですか?。」
箱にすることが多いですね。
紙ですから防水加工しないと水濡れ厳禁ですけど。
木箱よりずっと軽いですから輸送業には便利だと思います。
そうして切れ目を入れて箱にしてみせたけど……
ココの世界にはクラフトテープも布テープも無かったんだ。