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44・王太后。

 ロザさんの火傷の跡は彼女の魔力によって強固に固定されていた。

姫君のアザはどうも違う気がした。

なので念入りに探ってみる。

彼女のモノではない魔力を感じるんだよね。


神殿長に意見を聞いてみる。

なんだか彼女のモノとは違う魔力を感じるんです。

ソレがアザを固定してる感じなんですけど。


「う~ん……君にもそう思えるってコトはやっぱり呪いの線が強いな。

ただ……邪気というか悪意をあまり感じないんだよ。

呪った本人が無意識にやってしまっている可能性が高いと思う」


無意識に呪うってなんか怖いんですけど。


「君でも『この野郎!』とか『このアホウ!』とか思うことは有るだろう? 

そういう気持ちが呪いとして発動することがあるんだよ。

本人は意識してないから呪われた人を可哀そうにとか気の毒にとか思ってたり

してることが多いんだよ。

ちゃんと訓練すれば呪術師になれたりするんだけどね」


姫君を解呪すると呪ってた人に返っていくなんてことになりませんか? 


「命に別状がある呪いじゃあないから返っても呪い元が特定できるだけだろう。

だが我々では解けなかった。

ほんの少しの改善だけでね。

錬金術師の時はどうやったのかね?」


クリーン……じゃなかった浄化の魔法で彼女の魔力を解きほぐしました。

それから回復魔法で火傷の跡を細かくする感じで消したんです。

発熱が後から来ましたが。


「一応そんな感じで試してみて欲しい。

無意識のモノは強固なことが多くてね。

我々では二人がかりでも消去できなかったんだ」


専門の呪術師さんのほうがイイんじゃあないですか? 


「並みの呪術師じゃあ無理だったのよ! 

もう何度も試してみたの! 

ブツブツ文句言ってないでさっさと治療してちょうだい!」


あ! 王太后さま……怒っちゃったよ。

す、すいません……今すぐ! 


でもコレはしぶとかったね。

イメージとしてはガッチリ根を張ってるって感じだったよ。

端からすこしづつ根を切って魔力を散らしていく感じでやってみた。

浄化をかけて解きほぐして切断して散らして……

ロザさんの治療でまた魔力量が増えてたのが幸いしたよ。

魔力切れまで行かずになんとかキレイに消すことができた。


反動があるかもしれないのでと注意しておく。

前の患者は発熱したから……と。

そうして呪った犯人が判明した。

赤ちゃんの頃からずっと姫君の側にいた世話係の侍女だった。


魔族の砦が王都の東にできたせいでココに避難したけれど姫君にも世話係にも

ストレスが溜まってしまったらしい。

まあ、なんてことない口答えとご注意が呪いの発動原因だった。

侍女さんの腕に姫君と同じアザができちゃったけどコレは姫君より簡単だった。

キレイに消してあげたよ。

少しの魔力でも効果があるって嬉しいね。


侍女さんは叱られた上にクビになりかけたけどなんと姫君がかばったんだよ。

自分が悪い子だったから……と。

でもね、ホントに悪い子だったらかばったりしないよね。


まあ、どっちも慣れない避難生活だったんだもの。

場所が立派な王宮でも慣れない場所なのは変わりないからね。


なので神殿長さまは封印の魔道具を手配することになった。

本人は呪術師になりたい訳でもないそうなので二度と呪いなんか

かけないように……


コレで一件落着と思ったんだけどね。

王太后さまに目をつけられちゃったんだよ。


「絵本とか囲碁とかヌイグルミの大本ってアナタなんですってね。

おばあさまと一緒に王宮に遊びに来てくれないかしら。

あの子(姫君)ももうじき王都に帰るだろうし退屈してるのよ、私」


う~ん、モテるならもう少しお若い方が……

いえ……なんでもありまっせーん。

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