323・廃村。
故郷の村は無人になっていた。
なので跡地のようになってしまった村で野営することにした。
廻りの村に事情を聞きに行くとしてももう夜だからね。
教会は屋根が焼け落ちているので外も同然だったけど壁が大分残って居る。
なので少し片付けてクリーンもかけてともかく皆が一晩過ごせる場所を作ったよ。
もう秋は過ぎて冬だ。
屋根が無いのは結界を張ることで代用した。
簡易の炉も設置して暖がとれるようにもした。
やっぱり土魔法は便利だね。
もう少しレベルを上げて置けば良かったかなぁ。
食料は旅となれば多少は馬車に備えておくのが常識だ。
この世界は不測の事態が前世より多い所だからね。
保存食と村の畑に残って居た野菜……元野菜みたいな代物で出来たスープが
夕食だったよ。
「昔は修行のためということでアチコチふらふら旅をして廻ったよ。
こういう食事も常のことだったが……まあ懐かしい限りだね。
神殿で贅沢をし過ぎてるかも知れないな……今は」
夜は静かに更けていく。
最長老様の昔話を若い神官様二人・護衛兵二人・カール君とオレが拝聴した。
村の周りも少し索敵をしてみたんだけど小さな魔物や獣がいるだけだった。
護衛兵は交代で見張りをしてくれてたけどね。
次の朝一番近い村に兵士と神官様に行ってもらった。
ともかく事情が分からないことには動けない。
分かったのはこの村が盗賊の襲撃を受けたということだった。
冬になる前の収穫や蓄えを狙ったらしい。
でもココには軍の部隊が魔獣退治の名目で派遣されていた。
領主の依頼もあってあっという間に盗賊どもは退治されたんだそうだ。
でも村は丸焼け、住人にも被害が出て周囲の村や領都に避難したのだと。
「最長老様がお出でになると連絡は来ておりました。
ですがこの状況ですので帰郷は春までお待ち頂きたいと旧都に報告したのですが。
どこかで行き違いになってしまったようですね。
申し訳ありませんでした」
村の神官の新任者が来るまでの代行だったという隣村の神官様は言った。
まあ、そういうのはこの人のせいじゃあないしねぇ。
村長だったという老人は隣村に居た。
この方は最長老様のお知り合いだったみたいだね。
「せっかくお出でになられたのにこの有様で……
皆も冬越しをこの村でというのはほとんど無理になってしまいました。
領主様も春までは何も出来ないと仰せになられたとかで。
春になっても支援して頂けるかどうか……
村は廃村になってしまうかも知れません」
……せっかく戻って来たのに。
廃村になるかもしれないなんて……
原因の盗賊どもは退治されても取られた物は半分も戻って来なかったそうだ。
何人か逃げ延びたヤツが居たようでそいつらがめぼしい価値のあるモノを
かっ攫って行ったらしい。
最長老様はどうされるのだろう?
誰も居なくなってしまった故郷の村……
まさかそれでもココに戻りたいとか?
ポツリと……オレの予想通りの言葉をもらされた。
最長老様……神殿長になんて言えばいいんでしょうか?
一時的な帰省ってことでココに来たんですけどねぇ。




