298・蘊蓄(うんちく)。
転移陣は便利だね。
でも大人数は運べない。
大勢運べるなら戦争や輸送の様相が大幅に変わってくるだろう。
それに魔石や魔力がかなり必要だそうで一般人が気楽に使うモノじゃあないね。
なんだかんだ言っても宰相家や王家のコネって強いよな。
まあ管理してるのは国だから強くて当たり前なんだけどさ。
その強いコネをフル活用してやってきました王妃様のご実家の国。
この国はアーリウムと呼ばれている。
ちなみにオレたちの国はオリーザだ。
まあ、王家の名前そのものだね。
両国とも間にある国から独立した国なので文化はあまり差は無いらしい。
他にもあと三ヶ国ほど同じように独立した国があるそうだ。
元の国の大きさってかなりのものだったみたいだね。
到着地点は王都ではなくその衛星都市みたいな所だった。
外国からの転移には一応警戒をしているらしい。
この国に来ている大使に一応連絡を入れておいたけどオレが宰相の息子でも
庶子なのでボーっとした感じの部下が一人来ただけだった。
この人もガイド兼見張りらしい。
訪問先の貴族は侯爵様でまだ引退はされていなかった。
でも次代の方に代替わりすることがもう決まっていて引退目前だそうだ。
お忙しいでしょうに子供の訪問なんてご迷惑だったかも……
「気にせんでいい。
なかなかワシの趣味に興味を持つ者は少なくてな。
まあ、無理矢理見せては嫌われとる。
まさか国外からわざわざ見に来る客が居るとは思わなかったよ。
君は動物が好きなのかね?」
あー、この国の方の「好き」の基準は分かりませんが好きだとは思ってます。
今も家では家族同然の動物がおりますし。
今回は小型の馬について侯爵様にご教授いただきたいと思いまして参りました。
「もちろん事前に連絡をもらっているから大丈夫だ。
私の知る限りのことを教えてあげよう。
なに遠慮は要らんよ。
ルゥナ王女……おっと、王妃様からもご依頼がきておるしな」
嫁がれる前の王妃様ともかなり親しい方だったようで微笑ましいエピソードを
色々教えてくださった。
最近の王妃様や彼女のお子様方のことをお教えした。
末の王女アイリス様が一人でなく学友とともに学ばれていることにご興味を
抱かれたようだ。
「王室の子供たちはそれぞれ個別の教師を付けているが……
なるほど……大人相手だけだと偏ってしまうかもしれないということか。
遊び相手を兼ねた『学友』というのは良いかもしれんな。
子供同士で教えあうというのも違う刺激になる……」
おやぁ……この方はどうやら教育担当なお仕事だったみたいだね。
動物趣味に凝り固まった方を想像してたんだけど。
蘊蓄を山ほど詰め込み教育されそうな予感がしてきちゃったよ。
お願いして来たから逃げるなんて無理……だよね(汗)。




