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23・泡立て器。

 メイドさん達にも警護兵達にも勿論お子さまモニターズにもミーアの

誕生日ケーキを分けた。

というか何度も試作したのでちょっとね……ケーキだらけになったんだよ。


ホイップクリームでデコレーションしたケーキは皆初めてだったようで

恐る恐るといった感じで口にしていた。


一番よく出来たモノをミーアとおばあさま、デカパイ母さん、世話係姉さん、

あとは執事氏とオレで分けたんだ。

ココの世界の食事が美味しくない訳じゃあないんだけどね。

なまじ前世の記憶が残ってるばっかりに色んな「差」を感じるんだ。

久々にケーキ屋さんを思い出しちゃったよ。


「コレって食べてるって気がしないわねぇ。

だって口に入れた途端溶けて無くなっちゃうんですもの。

でもとっても美味しいわね。

なんだか太りそうな気もするんだけど。」


あー……さすがにおばあさまは鋭いなぁ。

これは女の子の夢で敵なんです。

食べ過ぎ注意だってよく分かりましたね。


「美味しいモノって要注意なのよ。

美味しくても体に良いモノばかりじゃあないから……

この『ケーキ』もやっぱりそうなのね」


はい。その通りです。

毎日、毎食なんてしてたら肥満体一直線ですよ。

今日は大きめですけどもっと小さめに仕立てて少しずつ色々な種類を提供してる

お店もありました。


「こんな美味しいモノだけのお店だなんて夢みたいねぇ。

美味しいモノを少しずつ色んな種類だなんて羨ましいコトね」


ミーアは感想を言わなかった。

でも夢中で食べてるところを見ると満足してくれたみたいだね。

プププ……ほっぺにクリームが付いちゃってるゾ。



後からケーキに掛かった金額を聞いて驚いた。

いくら何度も試作をしたからって多すぎない? 

でもコレには人件費は入ってないんだよね。

キッチンスタッフはココの専属で余分な仕事ではあったんだけど。


「面白かったですよ。

普段はパンには卵を入れてないんですが出盛りだと入れることも有るんです。

味わいが深くなるんですよ。

まさか発酵させないで卵の泡で膨らませるなんて思ってもみませんでした。


経費のほとんどは卵ですよ。

時期が遅かったですし保存されているモノはほとんど貴族の方々用ですからね。

余分がそうそう有るわけはないんです。

高くても仕方ないですね」


そうか……需要と供給ってヤツだね。

それにしてもそんなに卵が貴重だったとはねぇ……

卵の量産ができればもっと気軽にケーキやプリンが作れるかもね。


「昔の勇者が卵で『まよねぃず』とかいうソースを作ったらしいのですが

私も話に聞いただけでどんなものかは分からないんです。

かなり美味しいモノだったらしいんですが卵自体が貴重なので広まってませんね。

どこかの貴族家でコッソリ作ってるかもしれませんけど」


ケーキに使った卵はまだ少し残っていたのでソレで『まよねぃず』を試作した。

卵と塩とお酢があればできるからね。

なかなか乳化してこないからってあせらないこと! 


「泡立て器の役目ってこういうコトだったんですねぇ。

いやぁ……コレは美味しいです。参りました。

卵が高くさえ無ければみんなに教えて廻りたいくらいですよ」


「そうねぇ。美味しいわ。

コレだと野菜の苦味もあまり気にならないわね。

卵の出盛りの時期なら作っても大丈夫でしょう。

レシピを保存して置いてちょうだいね。料理長。


ところで前世は商人って言ってなかったかしら? 

どうしてお料理にこんなに詳しいの?」


……おばあさまに不意打ちされた気分になっちゃったよ。

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