16・世界地図。
夜中に目が覚めた。
間に合わなかった……
何がって? ……うん……トイレだよ。
オネショしちゃったんだ。
昼間起きてるときは体のコントロールはもう完璧なんだけどねぇ。
今日は寝落ちだったから寝る前にトイレに行ってなかったんだ。
やっぱり寝る前のトイレは必須だね。
ところでコレはどうしたものだろう。
冷たいし……
夜中だからメイドさんを呼んで処理してもらうのも気が引ける。
なにより恥ずかしいよなぁ。
生活魔法で水はもうバケツ一杯より多いくらい出せるようになっている。
このベッドの上の「水」を消すコトってできないかなぁ?
……消せなかった……やってみたんけど。
魔法で出した水は消せたんだけどねぇ……
う~ん……この「水」動かせないかな?
おぉ! できるよ!
「水」は球形になってプカプカと浮いてくれた。
そのまま部屋に付属のトイレに運んだよ。
もっとも一遍で全部とは行かなかったから3回ほど頑張ったんだけどね。
でも、オレがコントロールできたのは「水」だけで不純物な成分はベッドの上に
残っちゃってたよ。臭い付きで(笑)。
これじゃあオネショしちゃったのがバレちゃうなぁ。
なんとかキレイにしたいけど……
あ! そうだ! クリーンの魔法をやってみよう!
まだやったコト無かったけど。
ということでトライしてみた。
うん……できたんだけどね。
デカパイ母さんほどの面積はできなかった。
ほんの手のひらほど……だね。
なので全部キレイにするまで時間がかかっちゃったよ。
オマケに魔力切れを起こしたんだ。
気が付いたというか目が覚めたのはいつもよりおそい朝だった。
そうしてオネショはバッチリバレた!
全部キレイにできたと思ったんだけどね……チョッピリ残ってたんだよ。
世話係ねえさんとメイド長さんに事情聴取されちゃったんだ。
「水分だけ分離なんて生活魔法でできるものなんですか?
ちょっと実演をお願いしても構いませんか?」
ソレは厚めラグだった。
まだ新人のメイドさんが粗相してお茶のポットを落としちゃったそうで完璧に
びしょ濡れだった。
洗ってはあるらしい。
厚いので乾くまで時間がかかりそうだね。
オネショよりは気楽かも……と思いつつ水分を分離したよ。
そうして残ってたお茶のシミにはクリーンの魔法をかけた。
「いつの間にクリーンまでできるようになったんですか?
教えてませんでしたよね」
あー……デカパイ母さんがやってたのを見てたんで……マネしてみたんです。
できたらイケナイんでしょうか?
「その歳じゃあ早すぎなんですよ。
現に魔力切れを起こしましたよね。
気を失うほどの魔力切れだと体にも精神にも負担が大きいんです。
その手前辺りで止めた方が負担が少ないんですよ。
魔力量の伸びは魔力切れまで行った方がイイそうなんですけどね。
無理は幼児な体には禁物ですよ。」
しっかり怒られた。
オレってやっぱりまだココの世界の常識が足りないみたいだね。
大人って常識の有るヤツのことだろうしなぁ。
まだまだガキってことだよね(笑。)
生活魔法でも水分の分離ができるのが分かったのでメイドさん達はお仕事に
活用したようです。
急ぎの洗濯物とかこぼした飲み物の処理とかね。
ジュースの濃縮までしてたのでメイド長さんは驚いたそうです。
なんだかもっと使い道ってありそうですよね。