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他力本願な世界で救済を  作者: 夜桜
第2章 勇者の邂逅
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第28話 『行く理由』

 なんで俺はここにいるんだろうな。

 ついこの前まで、一日中ベットにいる最高の生活をしていたというのに。

 俺は、固い椅子に座り、固い椅子に体を預けて、目の前の堅苦しい話を聞いている。

 あの、心地が恋しい。体を預ければ、何も考える必要がない、あの心地が最高だった。


 だが、今、目の前にあるのは、板に書かれているものについて、考えなければならない。

 それだけではない。ここにいるということは、これから人との交流、コミュニケーションが必要になる。

 いや、避けること自体は可能だ。前世ではそうしてきたしな。


 前世では、真面目に取り組んで来なかったことだ。

 真面目に生きるなんて殊勝なことなんて言えないが、この機会を無駄にはしない程度に取り組んでいこうとは思う。

 そうすれば、前世とは違った結果を得ることができるかもしれない――。


 ※ ※ ※ ※ ※


「いやだ。行きたくねぇ」


 そういうとアラタはベットにしがみ付いて、ここからは動かないとアピールする。

 本当にどうしたものか、こうなることは分かったはいたが、無理やり行かせるのは罪悪感が湧いてくるね。


「そうは言っても、もう申請しちゃたんだから行こうよ」


 今、なぜこんな状況になっているかいうと、僕が勝手にアラタの入学を国に申請したからだ。

 申請したものだから、行かないと勿体ないことになる説得しているが、本当に行きたくないのか、頑固としてベットから動こうとしない。


「いい?アラタ、学校ってね、富豪な層しか行けない場所なんだよ。行く価値だってある。学校行くだけで、その後の選択が広がる可能性だってある。学校に卒業したという事実だけでこの世は価値があるんだよ」


「……でも、一生この生活を続ければ、学校に行く必要なんてない」


「国が一生生活を保証してくれるとは限らない。そのために選択を増やすのは大事なことだよ」


 この事実にアラタが気づいていないはずがない。

 国が、いつまで生活の補助をしてくれるかなんて保証ない。期限がないからね。

 アラタは頭が回る方だ。僕よりもね。

 魔物から逃げる時は、あんなに頼りがいがあったのに、なぜボンコツになってしまったのだろう。

 学校に行く価値なんてアラタ自身も分かっていると思うけれど、もしかして行きなくない理由があったりとか?

 そうだとしたら、こうやって無理やり行かせようとするのは申し訳ないね。


 いや、ここは心を鬼にして、説得しよう。

 今、学校に行くことは無理に行っても、それだけの価値がある。

 アラタのことを考えるなら、それが最善だ。


「学校なんて、貴族のボンボンが行くところだろ?価値観が合うとは思えないし、通っている奴らなんて絶対生意気なクソガキだろ。そんな奴らと同じ空気を吸いたくない」


「そんなことないよ。確かに鼻に付く人間もいるのは認めるけど、全員がそうではないよ。いい人だって多くいるよ」


「お前のいい人なんて、一ミリも信用できねぇーよ。要はお前、悪い人間以外をいい人と捉えているだろ?それは間違いだ、だから考え直しとけ、この世の中は悪い人といい人だけじゃねぇ。中立な人間だっていることをな」


 ちょっと、アラタは人間不信が過ぎる気がするんだよね。

 あまり人と関わらないようにしているみたいだし、関わりたくない理由も合ったりするのかな?

 それは勿体ない。人と関わればその分、人生が豊かになる。

 それを僕は知ってほしい。


「学校に行く価値は選択を増やすだけじゃない。色んな人と関われるしさ、色んな人と友達になれるんだ!友達が増えれば、人生が豊かになる!行かない理由はないよッアラタ!」


「私もアラタにぃと一緒に行きたいな~」


 テアからの手助けが来た。

 困ったときはいつも助けてくれるのがテアだ。

 ここまで言われて、断れまい!どうするアラタ?


「俺は行きたくない」


「「えっ」」


 ここまで言われて断るとは、なんて頑固な奴なんだ。

 テアは即答で断られたのが少しショックだったのか、少し落ち込んでいる。

 そんな姿を見ても、意思を揺るがさないとは、意思は固いようだね。

 こうなったら、仕方ない。

 あまり使いたくない手段ではあったが、使うしかアラタを説得させる方法はなさそうだね。


「これは使いたくない手段であったけど、アラタが強情なら仕方ない。アラタが学校に行かないなら、アラタの国からの生活の補助金を申請を外させてもらうけどいいかい?」


「お前、それはずるいぞ!そんなのもう行くしか選択肢がねぇじゃねぇか、この畜生が!」


 文句を言いながら、ベットをから出た。

 やっと行く気にできたらしい。よかった。

 これでアラタと学校が行けるね。

 おっと、それが目的じゃないんだった。ま、いいか。


「それは仕方ないよ。だってアラタが強情なんだからさ」


「それでも、反論の余地がない禁句を言って、詰めるなんてずるいぞ」


 ぶつぶつと文句を言いながら、僕が用意した学校へ行くための支度をする。

 これから、アラタとの学校生活が始まる。

 楽しみだね。

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