七つの意志に誓いのキスを
これが運命なのだろう。
子供達を追い詰める者は、子供達に殺される。そして遺志を受け継ぎ、同じ過ちを繰り返す。運命というのは残酷だ。誰にも抗えず、誰にも分からない。全てが運命によって決まっている。
父が亡くなり母がアーリーと結婚したのも、種違いの妹と実弟が特殊な特異能力を持っていたのも、運命だった。彼と会えて、彼と別れたのも。皆がいたのも。
ここから見渡せる景色が全部暗闇に包まれる時、リル・ペルフの運命は終わる。
走って走って走りまくる。
やがて見えた川沿いに飛び込む勢いで走り、ギリギリの位置で止まる。そこには、崩落した橋と、川に浮かぶ瓦礫、そして、巨大な渦が見えた。
「どこ…!?アレク達は…!」
川を見渡しているその時、丁度頭上を巨大な影が通過する。何事かと思い上を見上げると、そこには巨大なビルが浮かんでいた。そして、ビルの隅に、小さなミニチュアのような人影が見えた。
「何あれ!?ビルが飛んでる…!?」
そしてまた目を疑う。ビルが川の真上に来たところで、渦の中から見慣れたシルエットが飛び出して来た。
まさかとは思った。全てが回路のように繋がり、戦慄的な感情がこみ上げてくる。渦から飛び出してきたのはリル。そして、ビルを今、リルに叩きつけようとしているのはセオドア!
奇跡なのか偶然なのか、二つのタイミングが重なり合い、こぼれ落ちた涙が川の水に混じった時、水面は揺らされる。
巨大なビルの陰はリルを被い、落とされた。
いくらリルでも、いくら『セヴンズ・スター』でも、あんな物体はどうしようもてきない。だが無意識のうちにコリオは鏃を飛ばしていた。しかし思い虚しくその鏃は届かず、巨大な陰はリルを押し潰した。
川が隕石が衝突したように揺らぎ、絶対的破壊力は希望を崩壊させる。彼女の姿は見えなくなり、ビルは沈んでいく。
すっかり挙措を失い、泣き叫び川に飛び込もうとするコリオを押さえつける。そのなんだか懐かしい筋肉質で濡れた腕に制止され、その場に唖然と立ち尽くす。
「正気になれコリオ!無茶は奴らの思うつぼだぞ!!」
「正気になんてなれないよ!!!だって…だってリルさんが……!!すぐに助けないと!!!」
「ミイラ取りがミイラになられちゃあ困るんだよ!落ち着いてリルを信じろ!!皆を信じろ!!」
アレクが我を忘れるコリオの肩を掴む。
ビルに潰された姿が見えないため、自棄になるのも分からないわけではないが、この戦場では忘我は致命的。生存競争に勝つためにも、落ち着きは必要だ。
「で……でも……」
「俺やお前だけでどうにかできる相手じゃないんだ……」
コリオは涙を流し、アレクの胸で泣きじゃくる。
時が巻き戻ればいいのに、もっと他の方法で皆と会いたかった。もっと話していたかった。数週間だけの短い期間だったが、今までの何よりも濃く、何よりも愛おしい忘れられない日々だった。
ビルは半分以上が沈み、おそらく海底に接触しただろう。いつまで泣いていても、リルの声は聞こえなかった。本来ここにいるべきリアスがいないことに、とても罪悪感があった。
【 リル・ペルフ 死亡 】




