ラヴ・ザ・ウェイ・ユー・ライ その5
「アハハハハハハァーッ!!!僕は勝った君に勝ったんだァァアーーッ!!!」
ピクリとも動かないユノを尻目に、エリナは勝ち誇る。まだ勝ちが決定したというわけではないが、勝者は明確。ユノは32枚となり、エリナが20枚となる。徐々にじわじわと機能が鈍り、死の直前であるユノと、体力の有り余っているエリナ。どう考えても結論は変わらない。
カードが回収されないため、支配人がカードの山を取り上げ、渡した。
「……え…?」
支配人がカードを押しつけたのはエリナだった。
エリナは困惑し、目を丸くする。確かにユノは10を出す番に5を出し、その際にエリナがダウトを成功させた。ユノが30枚のカードを手札に加えるはずだ。
「はぁ……はぁ…はぁ…はぁっ…………成功したのはこっちよ…エリナ」
脳が安定し、少しは回復したユノが勝ち誇った。
「なッ!…はぁあ!?おかしいって!」
「…これをやるためには二つ…条件が必要だった。……まずは支配人が私達の声を聞き取れていること。そして、支配人が見ずとも誰がどのカードを所持しているか把握していること………」
「な…何言って……」
「声が聞こえているのは序盤にあんたが支配人と喋っていたから大丈夫だと思った。そして、私があんたを殴ったときにいくらでもカードを変えられたのに支配人が疑いすらしなかったから、支配人のカード内容の把握もクリアした。…………といっても全部テキトーな推測と願望だけどね」
「ハッ!まさか……噓ッ!私が負けるなんて…!!」
「あんたが5を持っているって言って、私と支配人はそれを信じ込んでしまった。じゃあ私の手札にある5は何か?答えは何でもない。矛盾から5というカードの存在を見失った。……それとあんた…賭け事なんてホントはしたことないでしょ。」
「黙れッ!トップのカードが10以外だったらダウト成功なんだよッ!なのに!なんでッ!?」
トップのカードを5ではない何かと判断した支配人は、ダウトを成功とはみなさなかった。しかしトランプの絵柄すら分からない。ならそこからどこへ向かってしまうのか?
「今のこの状況はあんたがダウト失敗したっていう状況か……ゲームが進行不可能になって強制終了された状況か……どっちだと思う?」
「…あぁ……そんな………」
「強制終了なら勝敗はつくと思う?それとも終了時点でのカード枚数で決着をつけると思う?」
コリオの支配人設定はまだ解除されていない。エリナが死ぬか解除するまでは解除されないからだ。
「クソッ!……クソがァァァァァァア!!!!!」
我を失ったエリナは嘆き声を上げて、ユノに飛びかかってきた。ユノの手札を叩き落とし、拳をユノの顔に向かって振り上げる。
「勝ったのは私。ゲームセットよ」
右の吸引でエリナの拳を引き寄せ、ユノの体勢を崩す。
そして左肘を振り下ろし、エリナの背中に全力の肘打ちを喰らわせる。
「ガハッ!!」
息が苦しそうなエリナに次に襲ってきたのは、圧倒的力による、左胸への一撃だった。支配人の能力による最強の手刀は一発で貫通し、赤黒い物体が抜き取られる。
「……ハゥッ……………ガッ………!!」
全てを失い、エリナはその場に倒れた。
走馬灯がよぎる。孤児院で育てられ、能力によって周りの人々が自然と離れていき、人身売買にかけられそうになっていたところで差し伸べられた汚れ無き光の手。
さようならイトス様。永遠に。
「オェー、グロいわね」
暴行未遂のイカサマ判定で強奪されるのは、心臓だったようだ。決着がついていた状況なのか、進行中だったのかはもう誰にも判らない。
「キャッ……キャァァァァア!!!」
他の客が血塗れのエリナを見て叫んだ。
そりゃそうだ。心臓を抜き取ったコリオ(支配人)と端から見たら協力者であるユノ。カオスにも程があろう。刑務所行きは確定だ。
「ゲッ!これは言い逃れできない……!逃げるわよ!二人共ッ!」
「キャァァァァア!!!」
同じような叫びが響く。ベチャッと、元に戻ったコリオが手に持っていた心臓を床に落とす。懲役200年くらいの刑が決定した女囚みたいな絶望的な顔をしているが、そんな場合ではない。
リアスはまだおやすみタイム。仕方ないから吸引で引っ張っていくか……。
「走れェェエーーー!!!」
その後は色々な助けもあり、女囚になるのは避けられたらしい。




