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完全無欠の革命歌  作者: ウエハル
共感の子供
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セオドア大包囲網 その2




【11:27:56】

画面が並ぶ監視室のような車両内。10人程の司令員が画面と向き合い、マイクのスイッチをオンにする。


「セオドアの潜伏している住宅前にて、セオドアの姿を確認。及び避難先から抜け出したと思われる少女が一人……殺害されたと思われます………」


セオドアが姿を見せてくるのは想定外。しかも、幼い少女が犠牲となってしまった。

しかし誰一人として不思議と悲哀や未練は無い。人間性が消失したのか、少女の責任だと思っているのか、まあどちらにしよセオドアに集中すべきだ。


「全隊配置完了。全隊最終確認完了。衛星通信強度99.7%。常時作戦開始可能です」


着々と時間が進み、長くも短い2分が非情にも経過していく。相手は生身、とはいえ強力と見られる能力を有する。数百人、いや数千人規模の犠牲が見込まれるであろう。


【11:29:57】


【11:29:58】


【11:29:59】


【11:30:00】



『作戦開始』




緊張と恐怖。

それは作戦に動員された者達全てが感じている事。


セオドアの潜伏している住宅。バーナード家から100メートルほど距離を置いた位置に、円状に特殊部隊が移動してくる。今回の目的は捕縛となっているが実際の目的は射殺。

テキパキといかなければならない。


次にバーナード家の上空に武装ヘリが到着し、即座に爆弾が投下された。周囲丸ごと破壊してもセオドアを殺そうという狙いだ。


一瞬でバーナード家は爆ぜ、轟音と共に衝撃波が周囲をも破壊する。黒煙が立ち上り、瓦礫が煙を抜けて転がってくる。

しかしこんなものであの男が死ぬなんて誰も考えていない。姿は捉えられないがどこかにいるはずだ。


迅速に確実に、特殊部隊が人海戦術で猛攻する。

特殊なカメラ付きゴーグルを使用している。煙の中の視界不良の状態でも人間を探知できる優れ物だ。

それにより、既にほとんどの特殊部隊隊員は人間の気配を捉えた。


「なッ!……こちら前線部隊!司令部に通達!セオドア確認できずッ!逃走したと思われます!オーバー!」


『ラジャー!そこから西側300メートル先にいる歩兵隊と合流を!アウト!』


特殊カメラが捉えた人間は全て特殊部隊。特殊部隊が鉢合わせしただけで、セオドアは既に消えていた。

円形に隙間無く突撃したつもりが、奴はいない。


『こちら司令部!セオドアをヘイガーズタウン・シティパーク南東部にて確認ッ!上空部隊は直ちにパーク全体に爆撃開始!周辺陸上部隊は避難を!オーバー!』


確かに地図上にはセオドアの位置はシティパークとなっていた。これは地図上位置表示能力によるもの。決して間違いはない。しかし司令部にすらいつ移動したのか理解ができなかった。

そんな一瞬で移動できる能力があるということは、もう数で攻めるしか方法はない。


「ラジャー!!!」


その掛け声と同時に、大量の爆弾が投下される。

まだ1分経っているかいないかの短い間。パーク全体をまんべんなく焼き尽くす量の爆弾が、業火を上げて眩い光を発する。

住民がいないため、手加減無く行動ができる。


まだ烈々と燃え盛る炎の周りを、部隊が囲んだ。

もう後戻りは出来ない。ここであの悪魔を殺すという心もちで、全員が望んでいる。


『こちら司令部!!全隊に通達!セオドア、パーク内にて生存確認ッ!周辺陸上部隊は突撃開始ィッ!!!』



「オォォォォォォォオオオーーーッ!!!!」


パークを囲んだ全ての部隊が走りだしたその刹那。


「えっ」


目では追えないスピードで、何かが部隊のはらわたをくり抜いた。一瞬黒い人影が見えただけで、他は何もわからない。

体は吹っ飛び、腹に風穴は開いている。訳が分からず、ほとんどのパーク周辺の部隊は意識を失った。

そして巨大すぎる音響が全隊の耳を劈く。


「なんだ今の音ッ……!!」

「誰だ戦闘機で低空飛行している馬鹿はッ!おい司令部!!セオドアはッ!!?」

『地図上に表示されていません!』

「何を言っている!衛星通信でもないんだから表示されないわけがないだろ!」

『速すぎて能力が捕捉できていません!パーク北東!いや南南西の大通りに!い、いや、能力が追いつきませんッ!』


焦りからなのか、頭の中が真っ白になる。

厳密に言えば地図上に表示されている。しかし、それは点々としており、現れては消え、また別の場所に現れては消え、の繰り返しなのだ。

そうだ、これがセオドアの能力。これが、アメリカを敵に回して逃げのびた男だ。


「パーク周辺にいた部隊が応答しませんッ!!残るは我々のみです!」

「なッ!?何ィイーーーッ!!!?」



すると無線の主が変わり、今度はゴツい声が全隊に響く。開始数分で出されたその指令に全ての者が雄叫びを上げた。


『通達ッ!!!セオドアの能力は速度を操るものだと推測されるッ!臆するな!欲を張るな!冷静に奴を待ち構えろ!全隊!!特異能力の使用を許可するッッ!!!』



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