幽霊屋敷へお宅訪問 その1
アレクサンダー・コールマンとコリオ・バトラーはボロ屋敷の前に立っていた。
「二人とも気をつけてね。あの子あの時からずっと人間不信で、私もマトモに近づけないのよ。毎日ご飯を運ぶ時とたまに生活用品届ける意外はあんまり入らないから、私もあの子がどうなっているかは分からないけど、生きていることは確かだわ。警察の片にも面会拒絶でね、あっそれとアレクちゃん久しぶりに来たから――
「おばさんもういいです」
住宅街から少し離れた所に位置する屋敷。今にも倒壊しそうなヒビだらけの外壁と雑草だらけの庭。
アリスとは昔はよく遊んでいたが、4年前にセオドアが再びペンシルベニアに潜伏していた時期に被害にあった。厳密にはあいかけた、だが。
その頃からアリスには会っていない。
「それで、アリスちゃんは今何歳なの?」
「12……いや、13だ」
「あんたは?」
「17だ………ってそれはいいだろ。さぁ、入るぞ」
ボロ屋敷とは言ったが、叔母曰く、周辺住民からは幽霊屋敷と罵られているらしい。確かに80年代のホラー映画にありそうな雰囲気。
幽霊屋敷と呼ばれている理由は明白、屋敷の見た目とアリスの能力にある。セオドアからアリスが逃げのびたのも、能力のおかげだ。
「えっ!ちょっと待ってよ!まだ心の準備が…」
「お前のためにわざわざやってるんだろうが。こちとらいろいろ立て込んでるんだ」
「いやでも私、死霊のはらわたとか友達に無理矢理見せられた時とか気ぃ失っちゃったし」
「今回は守る術があるだろう。俺に任せとけばいいんだ」
アレクは無理矢理コリオの手を引っ張って屋敷の庭に入り込む。
コリオが頬を赤らめていることなど全く気づかず、アレクはどんどん進んでいく。
「あっそうだ!私髪型変えたんだけどさ、気づいた?」
「今更アホかお前は。お邪魔しまーす」
「ちょっ…!」
二人は急に黙り込む。
玄関には特にインテリアはなく、奥に見えるリビングは異様に散らかり、内壁や床・天井が破壊されている。
「予想通りボロいな」
「あ……あぁ、わ、私、か、帰るねぇ」
「オイ」
アレクは踵を返すコリオの腕を掴み離さない。
コリオが震えているのは伝わってきたが、進む以外に目的はない。
すぐ横に二階へと続く階段が見える。外観からわかっていたし、屋根裏部屋があるのも知っている。
「おーい!アリス!俺だ!聞こえてるか-!?」
口元に手を翳し、響くように大声で叫んでみるも、返ってくるのは反響音と風の音のみ。
それはそうだ、そうそう簡単にいくとも思っていない。
「あ、あのさもう少し明るい時間帯に来ない?ね?」
「トチ狂ったか、今は真っ昼間だぞ」
「だ、だって恐いんだから仕方ないでしょ!」
「お前…………」
アレクはコリオの腕を引っ張って目を合わせた。
コリオは露骨に照れる。
「髪型変えたな。似合ってる」
「……えっ、そ、そう……?」
もう真っ赤っか。
「よし、行くぞ」
馬鹿みたいな会話を終了させてリビングの様子を確認しようと歩き出したその時だった。
あたしの体を返して……
「ーーーーッ!!!」
「静かに………!」
言葉にできない叫びを上げるコリオの口を瞬時に塞ぐ。
今のかすれた女の声はアリスのものではない。幽霊屋敷と言われている理由がこれにある。
アレクもよーく知っている能力だ。
俺の頭も返してくれよォ………
私の腕も…………
僕のも……………
続々とホラーじみた声がどこかから聞こえてくる。
侵入者対策なのだろうが、アレクには効かない。
「ーーっ!!-っ!」
「この声は気にするな……聴覚を捨てろ。こっからが正念場だ」




