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完全無欠の革命歌  作者: ウエハル
寿命の子供
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六月の家族




ユノ・エクトスは、アーリー・エクトスととある女性の間に生まれた。

家は裕福で何一つ不自由ない暮らし。出生時にはそれほど年の離れていない兄と姉がおり、仲良く遊んでいた。だが遊んでいた記憶は一つもない。半年しか一緒に暮らしていなかったために。

人間は三歳頃までの記憶を覚えていないことが多いと言うが、ユノは年齢関係なく記憶を全て忘れたいという願望があった。


父との会話は一切無く、全てが召使いを通した伝言のみ。

やけに兄弟姉妹が多かった記憶があり、昨日まで年下の弟だった者が今日には年上の兄になっているという事は日常茶飯事だった。同級生が次の日には二歳年下になっていたりと、しかし特には不思議に感じなかった。それと、いつの間にか全員ユノの前に姿を現さなくなっていた。



学校では常に成績はトップ。というより、トップでなければ自分もいつか兄弟姉妹達のように知らないうちに消されるのではないかと言う恐怖からだった。



12歳の頃の話。とある一人の親友がいた。名前はカミラ。

彼女は成績こそそれほど良くはなかったが、正義感や思いやりがあり、オマケにユーモアもあった。


昼の日差しが眩く照らす中庭にて二人はベンチに座って談笑していた。

ピンクとホワイトのグラデーションっぽい髪色とは微妙にミスマッチな満面の笑みとクリッとした瞳が、今では思い出せない。

「この後ね、皆と最近できたベーグルのお店に行くんだけどユノも一緒に行こうよ!」

昔に心の奥底に縛り付けた太陽のように目映い笑顔。

カミラは先週号のピープル片手にユノに顔を近づける。

「ごめんっ。この後用事あるからさ」

「えー、でもユノいっつも用事あるじゃん。たまには気絶してたって言えばサボれるよ!」

カーリーは残念そうな顔を一瞬しただけで再び笑顔に変わる。

あの頃はその笑顔に唯一救われていたような気がする。

「……サボる……かぁ……」

父の顔が脳裏をよぎる。

厳格な父ではなかった、かといって今までサボったことはなかったし、怒られるような行動をとったこともなかった。

というより、父自ら躾を行うということは一度もなかった。ユノの何もかもに無関心で、子供のときから全て召使いに任せていた。


もしかしたら口をきいてくれるかも。と、まるで意味の無いことを好奇心から思い立ったのが、カミラを殺した。


結論から言うと、カミラは生きている。今もどこかで。

サボって皆で店に行ったせいで、ユノに全く関わらないアーリーが怒って指示したのかは分からない。

カミラは家に帰る途中に拉致、暴行された後に、手足を切り取られ、どこかに売りとばされたということを召使いから聞かされた。

写真も見せられたが、その表情に笑顔はなく、まるで誰かを怨んでいるかのように恐ろしい表情だった。

ユノは只管に泣き、次の日から平然と学校に通っていた。


学校中では大きな騒ぎになったが、ユノ以外誰もカミラの行方を知らない。


そして奴が、他の兄弟姉妹達とは違ってユノを生かしている理由は、自らへの戒めと教訓だという。今後一切女を逃さないための、石碑のような存在。

ただそのために、育てている。


ユノはアーリーの唯一逃した女性に会ってみたいとは、思おうとしなかった。好奇心が再び、災いを引き起こすから。


そして家出をした際も、死ぬつもりであったのは確かだった。


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