思い出とは人それぞれなのです。
今回は、いつもとはちがい甘い展開があります。
皆さま砂を吐かないようにお願いします。
因みに私は書きながら『うわぁ』ってなりました。笑
数年前のそれは、夏の日。
「お嬢様いい加減になさってください。」
「いい加減にするのはあなたよ。」
そう言って持っていたものを叩き落とすお嬢様に私は根気強くそれを持たせ。握らせます。
「いいですか。これは辛抱強さと忍耐が伴うのです。我慢です。お嬢様。」
「なぜ私が我慢しなきゃならないのよ。」
そういって、地団駄を踏むお嬢様を私は、見つめます。
「お嬢様。・・・それは、旦那様に言ってください。」
私は、ヨヨヨヨヨヨ・・・っと崩れ落ち懐にあったハンカチで涙を拭きます。
そんな私を見ながらお嬢様は不思議そうに私を見つめます。
「なんでここでお父様が出てくるのよ。」
「お嬢様が、お嬢様専属に私を指名なさったばかりにせっかくの簡単な毒味からお嬢様に専属の24時間営業に・・・」
「うっ、だって、歳の近いひとがよかったのよ・・・。だれも私と遊んでくれる人いないし・・・。」
「お嬢様。どうかされましたか?」
なにやら恥ずかしそうにモジモジされた後。最後の方につぶやかれましたが残念ながら私には聞こえませんでした。トイレに行きないんでしょうか?
「なんでもないわよ。と、とにかくそれとなんの関係があるのよ。」
「ティーカップが・・・」
「ティーカップ?」
私は再び懐に入っていたハンカチを目元に当て泣崩れます。
「それは、一昨日でした。私は慣れない仕事で疲れていたのでしょう。つい、いつもとは、違う行動をとってたのです。まあ、違う行動と言っても私は普通にお茶を入れようとしただけなんですが、つい疲れたせいか甘いものが飲みたくていつもは、使わない棚においてあったちょっと高めの砂糖を入れた所。何故かカップから泡が吹き出しまして」
「何故泡が噴き出すのよ。」
「そこは、どうでもいいのですが『よくないわよ!!』カップがピカピカのツルツルそれは、もう真っ白になりカップの柄が消えてしまうという怪奇現象に見舞われました。」
因みにお味はクリームソーダならぬクリーム紅茶味でした。
「怪奇現象って、主に原因はあなたでしょう。・・・でも、何故柄が消えるのよ。」
は!!そういえばお嬢様には、砂糖に毒が混ぜてあったことは公爵様より伏せるようにと言われていたのでした。私は焦りながらも言い訳をします。
「さ、さあ、私は陶芸家ではありません故。知りません。ただわかるのは、あれが奥様がお気に入りのティーカップで侍女長様とそれはそれは大変な濃厚なお話し合いという・・・うぅ・・・時間があっただけです。・・・うぅ・・・」
「・・・何故そこで泣くのよ。」
そう言いながら私の頭を撫でるお嬢様は我儘ですが優しくお育ちになりました。
「お嬢様には、侍女長様と2人の濃厚な話し合いをされたことがないからわからないのです。」
「いい人よ明るいし優しいし」
「ええ、アカルク。ヤサシイカタでございます。」
「なぜカタコトになるのよ。」
「お嬢様。世の中には知ってはいけない人の裏側というものがあるということを覚えておかれてください。」
「なんか無駄に大事にした気がするけど、侍女長さんにも何かがあるのはわかったわ」
「お嬢様。わかっていただけて何よりでございます。ですが、この事は決して侍女長様には話してはいけません。」
「え?何故」
「お嬢様。私はまだ死にたくないのです!!」
「そ、そこまでなの?!」
「お嬢様。そこまで!でございます。」
「そ、そう。とりあえずわかったわ。黙ってるから話を続けて頂戴。」
「では。そのあと、残念なことに侍女長様から旦那様へ報告が行われ、なんと!!!旦那様は・・・」
「お父様が・・・?」
私は手を握りしめ震えながら次の言葉を紡ぎました。
「・・・私のお給料からティーカップ分のお給料か差し引かれる事になりました」
ガーンっと効果音がつきそうなほど私が落ち込んでいるのにお嬢様は「・・・自業自得じゃない。」っと冷たくあしらわれたのでございました。しかし私は
「お嬢様!!」
「な、なによ。」
「そんな難しい言葉を使えるようになられたんですね。これで少しはボーナス貰えるでしょうか?」
っと当たり前ですが私はボーナスの事しか考えておりません。しかし、私がボーナスのことを思っている間にモジモジしながら。
「あ、当たり前でしょ。べつにあなたに知識量が負けて悔しかったとかそんなこと無いんだからね。ってなんで私が難しい言葉を使えることとあなたのボーナスが関係あるのよ」
となにやら最後の方は叫んでおられましたが私はまるっと無視をします。
「これがツンデレというやつですか。」
しかし、負けたとは、お嬢様は、まだあのことを根に持っておられるのでしょうか?
私が初めて会った時のお嬢様は紫を身に纏い紫の簪。紫の・・・などなど紫に囲まれた生活をされておられました。
そして、ついそれを見た私は言ってしまったのです。
「お嬢様には、紫は、似合っておられません。むしろ紫だらけで気持ち悪いです。」とお嬢様は石のように固まりそのあと私は侍女長様には襟首を掴まれたまま連れて行かれなんと、三時間のお説教・・・ゴホン。話し合いが行われました。
しかし、私はここでへこたれる訳にはいきませんでした。打倒紫に向けて
時にドレスをコッソリ染め直してまるで新しいドレスのように仕上げたり塗装を少しずつ紫からピンクへと様変わりさせたり、お嬢様が紫を選ぶと、理詰めで違う色を選ばせたりと大変な努力でございました。
その努力は、実り最早館で紫をみかけることは、ない!!っと豪語してもいいくらいでございました。しかし、その反動で理詰めでお嬢様を追い詰めた結果。
我儘だったお嬢様の天狗の鼻をポッキリ折ってしまったようで私が褒めるとまるで嬉しくないけどっという態度を取られつつ喜ばれるという。ツンデレさんに育ってしまったのでした。
「何か言った?」
まぁ、しかしツンデレなお嬢様の我儘は、いまだ健在でございます。
「いえ。」
「で?なんでわたしがこんな格好をしてこんなことをしなきゃいけないのよ」
お嬢様は自分の格好をひらひらと見せながら抗議されておられます。
「こんな格好とは、平民の皆様に失礼ですよ。お嬢様。これは、ごく普通の平民の格好です。」
「だから、なんでわたしがそんな格好をしなきゃいけないのよ。」
「はぁ〜」
「な、なによ。」
「お嬢様。こんな所でお嬢様がいつも着るあんなヒラヒラした服を着ていたら、誘拐してくださいって言っているものです。」
「百歩譲ってそうでも、何故男の子用の服を着なければならないのよ」
「お嬢様が『いろんなことをして、遊びたい』っと言ったんじゃないですか」
「遊びたいって言ったけどこういう遊びじゃないのよ。お人形あそびとかおままごととかあるでしょ。っていうか。これ遊びなの?」
そういって、お嬢様は私がさっき渡した釣竿を見つめされます。
「釣りは立派な遊びに入ります。それも食料確保も出来るし、減給された分の私のお小遣い・・・ゴホン。とにかく万能なのです。」
「なんか最後に聞こえた気がするけど・・・」
お嬢様に見つめられ私は、なにやら、ゾクっとした初めての感覚がめぐり何か少し危ない道に走りそうになりますが、ここはグッと堪え私はお嬢様を見つめ返します。
「とにかくお嬢様は、もはや立派な釣り名人でございます。今更辞めたいとおっしゃられても私の下げられた給料分は釣り上げていただきます」
「貴方ね。途中から本音がダダ漏れてるわよ。まったくあなたという人は「お嬢様。」なによ?」
「竿が引いております。」
「え?」
「だから、竿が引いております。」
「え?」
「魚が掛かってます。」
「えっ?!わぁ、早く手伝いなさい。逃げちゃうじゃない。これは、大物よ。ふふ」
「お嬢様。ちゃんと握っていてくださいね。手伝います。」
「ちょっきゃあ」
水面から陸へぐいっと引っ張るとポーンと大きなものが打ち上がりその反動で私たちは後ろに倒れこむように倒れました。
「お嬢様。大物ですよ。ふふ」
「薄気味悪い笑い方しないで、わかったから退きなさい。でも笑えるわ。ふふ」
ふたりで達成感を感じながら釣り上げた物を見上げると・・・。
「お嬢様。・・・大物ですね。しかし、足が生えてます。魚には、見えないですし、魚人でしょうか?」
どう見ても魚に見えない手足がついた生物がそこには転がっておりました。
「・・・あなたね。はぁ・・・どう見ても人間よ。」
ですよね。そう返事をしながら顔では悲しみ心でも泣きながら私は答えました。
「・・・そうですか・・・残念です。」
「何故残念がっているのかわからないけど、とりあえず息はしてるみたいだし、少し怪我をしているみたいだから手当てしましょう。」
お嬢様は、その残念ながら人間だった生物に近づき息をしているか確認されたようでした。私もいくら魚人ではなく人間だったからといって落ち込んでばかりは入られません。
「仕方ありません。服も乾かさないと、低体温症になってしまいますね。」
私はゴソゴソと自分のバックを漁ると出てきた服を見つめます。まあ、いいか・・・
「お嬢様。これしかないですが、着せましょう。」
「あ、あなた。それは、ちょっとどうなのかしら?」
「え?なにか言いました。さっさと脱がせますよ。早くしないと死んじゃいます。」
「え、ええ。」
10分後
「出来ました。完璧です。」
そこに横たわる平民用のワンピースを来た美女ならぬ。美少年は、しっかりとかつらを被せ髪も整えられていて、最早少年だった面影などありません。完璧です。私は自分がやった出来栄えに達成感を感じながら深く頷きます。
「ある意味。彼を不憫に思うわ。」
お嬢様は何故か呆れながら少年を介抱しています。
さっきまでの『ちょっとまって、いきなり脱がせるの。え?まだ心の準備が』っと顔を真っ赤にして顔を手で隠されていた可愛いお嬢様はいらっしゃいません。
しかし、興味があったのかチラチラ見ておられたことは知っておりますがここはお嬢様のため言わないであげましょう。お嬢様はムッツリさんなのかもしれませんね。
「侍女スキルがアップした気がします。いままでたくさんお嬢様で練習した甲斐がありました。」
「いま、私で練習と聞こえたのだけど、おかしく無いかしら?雇い主は私のはずよね」
「しかし、お嬢様。残念ながらこれしか服がない今。寒さで凍えるよりいいと思います。」
「あなたまるっとさっきの会話を無視したわね。もういいわ。でも、まあ、本当に美女になったわね。知らずに見たら、少年だってわからないからいいのかしら?しかし、この顔見たことあるような顔みたいなのよね」
「お嬢様。彼女と知り合いですか?」
「彼だけどね。いえ、この女装させた顔を見たら見覚えがある気がするわ。でも、思い出せないわ」
「でしたら、もしや日頃から女装が趣味なのかもしれません。似合っておりますし・・・しかし、お嬢様。思ったのですが彼の素性は意外に思い出さない方がいいかもしれません。」
「なんでよ。川から流れてきたのよ。何かあったに決まってるじゃない。」
「いえ。お嬢様の知り合いになると貴族とか商人になります。しかし、今お嬢様は、男装中でございます。この姿を見られてしまっては将来嫁の貰い手がなくなってしまいます。」
私は、目を逸らしながらこたえます。
「この姿って別におかしな所は・・・」
お嬢様は自分がいま少年の格好をしていたのを忘れていたようです。
「だれのせいよ!!!」
「お嬢様。ここは、腹を括って平民の男の子か男装好きな少女で通すのが1番かと。」
「え?男装好きの少女ってなによ。いやに決まってるでしょ」
「しかし、お嬢様。嫁の貰い手が・・・」
「くっ!わかったわよ。今日だけ、今日だけだからね」
まるでどこかの悪役のように捨ぜりふを吐かれたお嬢様は、帽子を深く被り直しました。
まったく。お嬢様は、真っ直ぐに育って素直すぎますね。そのうち将来黒髪の侍女に騙されないといいのですが、まったくお嬢様の将来が心配です。
「仕方ありません。お嬢様。コレを。」
「指輪?これがなんなのよ。」
「これは、旦那様の部屋からお借りしてきました。変装の指輪で御座います。」
「あなた・・・お父様から怒られるわよ。」
「ちゃんと、出てくる時にお借りしますと紙を置いてきておりますので大丈夫でございます。」
「大丈夫なのかしら?」
「大丈夫でございます。何かの実験の失敗作らしく。処分に困っておられた品にございますしのでバレる前にちゃんと戻しますので大丈夫で御座います。」
「バレる前って言ってる時点でどうなの・・・はぁ、でも、一応バレたら言いなさいよ。」
「うぅ・・・」
「お嬢様。起きるみたいですよ。早くはめてください。」
「あなたがお嬢様って言ってる時点でバレるんじゃない?」
「じゃあ、坊ちゃんで」
「な、なん」
私はそう言いながらお嬢様の手を取り指輪をはめました。するとすぐに髪の毛は色が変わり奇抜な色になり、他にも変化が・・・あれ?・・・まさかそれだけのようです。しかし、まさか髪の色しか変わらないとは残念な指輪でございました。まあ、これだけ奇抜な色なんですきっと知り合いでもわからないでしょう。
そんなことを考えている間にも少年は、目を覚ましたようで
「うるさい・・・。・・・お前らだれだ」
少年は、目を開けると見えるのは真っ赤な瞳で珍しい綺麗ないろでした。
「この目もしかして・・・」
「正統派美女ですが、口は悪いですね。」
お嬢様がなにかを口走る前に遮ります。
「は?美女がどこにいんだよ。」
「ここに。」
少年を指をさしながら私が答えると後ろに振り向く少年。
「誰もいないじゃねぇか」
「あなたですが、鏡を見ますか?」
そっと懐から取り出した鏡を前ににっこりと微笑むと、美少女と化した少年は、見たことも無いくらいに叫びました。寝起きなのに元気です。
助けたのにお礼も言わない口うるさい少年へのちょっとした嫌がらせは効いたようでしたが、いますぐ脱ごうとする少年をとめに苦労する羽目になるとは私もまだまだにございます。
「まったく起きたばっかりでうるさいです」
それが、とある将来よく知る人物との私たちの出会いでした。
◇◇◇
俺は、不貞腐れたように焚き火の前で服が乾くのを待っている。どうやら、街に行く途中抜け道から足を踏み外してそのまま転落川に流されていたところを助けてくれたようだが、そこまででもなんか自分が情けないのに、気がついたら何故かこんな格好にされて、本当は素直にありがとうっと言えばいいのだが、・・・残念ながら命の恩人は普通のやつではなかったようでこんな格好。つまり起きたら女の格好になっていた。
まあ、素直にありがとうっと言えるかといえば言えないかもしれないが、あのニヤニヤ顔の黒髪の女がほんとムカついた。
それも、当の俺をこんな格好にさせたあいつは
「ふう。疲れました。」
そう言いながら、何故か空中に魚を投げたと思ったらナイフでスパッと三枚におろしている。まったく鮮やかすぎて皮肉にも最初はついぼーっと見入ってしまった。
普通はこうやって料理するのだろうか?そういえば料理するところを見たことがなかったけれどこんな感じに料理しているなら今度料理長のところへ見学に行ってもいいかもしれないと思うほどだった。
「貴方の魚さばきがすばらしいのは、よくわかった。」
そして、口の悪い黒髪女の隣にいる男なのか女なのかよくわからないちっこい奴は、釣りの名人のようでさっきから次々と楽しそうに釣り上げられている。
そして、待っていたかのようにその釣りテクニックでつられた魚たちを素早く三枚にスパッとどんどんおろしていっている。
しかし、あまりの俺の空気ぶりについ
「お前ら。手が4つあるんじゃないか?」っといってみたが、すかっと無視された。
俺を無視するなんて不敬罪で捕まるぞっと言ってやりたいが、何しろこんな格好。別に自分からこんな格好にしたのではないが、こんな格好をしている手前。本名さえ名乗れなくなってしまった。
「さて、そろそろ街に戻ってこれを売捌きましょう。お嬢・・・お坊っちゃま。」
「え、ええ。そうね」
あいつあれでごまかしてるつもりなのか?ってかちっこいのは女だったのか、そんなことを考えながら
「お前らそれ売りに行くのか?」
「そうですが?」
「街に行くんだよな?俺も一緒に行く。」
「は?」
「え?」
「俺も街に行きたいんだよ」
「もしかして、迷子ですか?」
「は?違うし!!」
「いいのです。『ちが』最初から迷子なら迷子と言えばいいのです。迷子なら家まで『だからちがうと』送り届けてあげましょう。『ちーがーう』その代わり売るのを手伝ってくださいね。」
俺の言葉は、完全に無視された。
「はぁ、もういい。迷子で」
そんなこんなでなぜか俺は女装したまま連れて行かれ接客をさせられてる。
「いや。君可愛いね。」
「うげっ」
おっさんが俺をニヤニヤした目で見つめてくる。ついさっき『近寄ってくんな』と最初に来た客に言ったところに黒髪の女に頭を叩かれた為。黙る俺。しかし
「声をかけるなら、魚を1匹くらいかって言ってください。かっこいいお兄さん」
そういって、笑って接客するちっこいのそして、かっこいいと言われて嬉しかったのかおっさんの方も照れながら
「まあ、仕方ねぇなぁ。1匹くれ。」
っと買っていくようだ。
「まいどありがとうございます。」
笑顔で答えるちっさい方は、さっき気づいたが笑うと可愛い。
俺が客に話しかけられても対応できないのを最初はフォローしていた黒髪の女は、途中から大量の注文が入ったらしく薬草からポーションを作るのに忙しいらしい。完全に放置されあたふたしていた俺を救ってくれたのはこのピンクの髪のちっさい方だった。
「ありがとう」
「え?いえいえ。手伝ってもらってますから。」
そういって、奥ゆかしいのも可愛い。
それに大抵俺にあうと女という生き物は顔を真っ赤にしながら慌てだしたり、親に言われて欲望剥き出しの目で見つめてくるかだったから、こんな風に普通に喋れりするのも珍しかった。
まあ、たぶんふつうに喋ってる理由としてはこんな格好しているし、俺の名前を知らないんだから仕方ないがいつもと違うのが新鮮で嬉しいと思っている自分がいる。この子は今俺を見てくれているって思えた。
それにあの黒髪の女と喋ってる時の彼女は怒ったり笑ったり呆れたりコロコロと顔を変えている。
そんな顔をみると、貴族ではありえない表情の変わりようだ。
でも何故かその顔を引き出してるのが自分じゃないっていうのが悔しかった。
その時は何故か分からなかったが
「まったく。お嬢・・・ゴホン。お坊っちゃまは、我儘さんですね。」
「なぜ私が悪いことになってるのよ。」
そんな会話をしながらも彼女は楽しそうだ。ニコニコしながら商品を売りさばいている。
どうやら、喧嘩というか言い合いの原因は、魚を売った金で近くの屋台でご飯を奢れと言っているようだ。
黒髪の女は渋々買いに行って彼女は偉そうに腕組みをしてそれを監視している。しかし、なにやら楽しそうだ
帰ってきた黒髪の女は涙目だが女から荷物を奪い取るとちっこいのはこっちに走ってきた。
「はい。あなたの分。」
「・・・ありがとう」
そういって、差し出されたのは焼き鳥と呼ばれる食べ物は鳥を小さく切って串に刺した食べ物らしい。立って食べるのは行儀が悪いような気がするが彼女は熱かったのかハフハフ言いながら食べていた。
それを見ながら真似して食べた。結構美味かった。
それから、暇なときにたくさんしゃべりながらあんなにたくさんあった魚を売り払った。
すると、もう夕方だった。
「そろそろ帰らないと、抜け出したことがばれてしまいますね。」
「本当よ。心配してるわ。は!えっと、あなたを送って行かなくちゃダメよね?」
ハッとしたように彼女は慌てて、俺の方を振り向いた。
「いや、もう自分で帰れる。」
俺専属の騎士が客のふりをしながら俺を見ながら買いに来たからわかっているのだろう。あれからずっと、見えないように見張っているようだ。
それにあの野郎笑ってやがったし。
「そう?着替えなくていい?」
「あ、ああ、後からすぐに着替えるから大丈夫だ。」
「えっと、ごめんなさい。」
「ん?」
「うちのアレが迷惑かけて、私・・・僕は一応止めたんだよ。」
「ああ、まあ、もう気にしてないからいいよ。」
しかし、最後まで女と隠すつもりらしい。
人さらいでもいるんだろうか?今度捜査をするよう言ってみよう。
しかし、最後まで俺は、申し訳ないような顔しかさせれなかったのを悔しく思いつつ俺は最後にいたずらを思いついた。
「なぁ、また逢えるかな?」
「え?うん。また逢えるといいね。」
「じゃあ、また逢えるようにおまじない。」
ほっぺに唇を近づけるとその頬に触れた。
ちゅっ
「え?」
。
「またな。」
俺は顔を真っ赤にした彼女を放置して走り出した。
また逢いたいな。
騎士と城に帰ると宰相とセドリックが待っていて、まさかの2人から説教を受けた。
こんな時だけ仲がいい。
「人を呼び出しておいて自分は行方不明とはどういうことですか!アンドリュー」
「おちつけって。わるかった。でも、いいこともあったんだ。」
「なんなんですか?ニヤニヤして」
「ピンクの髪の可愛い子にあったんだ。」
「・・・珍しいですね。あなたが女性の話をするなんて」
「そうか?なんか可愛かったんだ。婚約するならあんな子がいい。」
「その子は貴族なんですか?」
「わからない。平民の格好してたから平民かもな」
「残念ですね。あなたをそんな顔にさせる子に私も会ってみたかったです。」
「わからないけど、なんか会える気がするんだよ。」
「もしかして、初恋ですか?」
「え?・・・ちがっ!いや、そうかもな。」
そして、俺は、彼女に会いたくて何回かあそこに出かけたけれどあれから一度も彼女に会うことはなかった。
だけど、俺は数年後。学園で壇上に登り挨拶をする時。ピンク色の髪を見つけた。
彼女と同じピンクの髪の少女。もう顔は、ぼやけて思い出せないけれど彼女だと確信した。
彼女の名前はマリアンヌというらしい。
おれは聞き忘れた名前を確認して、今度こそ一緒にいようと思ったはずだった。
だけど、あの日。エリザベスに婚約破棄をした日から、エリザベスといる侍女をみると昔をよく思い出す。
最初にエリザベスにあった日。俺を見て顔を真っ赤にしたエリザベスを見て俺は、こいつもかと思った。
だから、会いに行かなかったし、距離を置いた。
それに俺と会う時。今まで侍女は控えているだけだった。
今まであまり彼女をちゃんと見てなかったせいだろうか?
彼女が侍女と話す時。昔を見ているような心がもやもやする気持ちが湧き上がってくる。
やっぱり、落ち着く為に。もう一度。久しぶりにあの場所に行ってみようか。
そう思い俺は、出かける準備をする。
◇◇◇
私はたまには、整理をと思い掃除を始めた時でした。
「お嬢様。懐かしい指輪を見つけました。」
「え?これなんだったかしら?」
「旦那さまの変装の指輪でございます。」
「え?ああ、あの髪をピンク色にするやつよね。」
「はい。あの無駄に目立つピンク色にするやつです。」
「というか。返してなかったの?」
「はい。・・・あのまま侍女長さまに連行されましたので忘れておりました。」
「・・・自業自得よ。なつかしいわ。変装するのに目立ってどうするのよ。って私も思ってたわ。ほんとくだらない指輪だったわね。」
「懐かしいです。お嬢様はあの頃ピンクの髪をなびかせ魚を釣りまくっておられました。」
「なびかせた覚えはないけど、なんか懐かしいわね。たくさん釣り上げたわね。」
「はい。もう釣り師名乗っても大丈夫なくらいの腕前でございました。お嬢様はなんだかんだ文句を言いながら釣りが大好きでしたからね。」
「そうね。お父様にバレるまでハマってたわ。はぁ、また釣りに行きたいわね。」
「では、お嬢様。今日は朝からあそこに行ってみませんか?」
「いいわね。いっぱい釣るわよ。久々に腕がなるわ」
◇◇◇
そして、数時間後。
「エリザベス。こんな所でなぜ釣りをしてるんだい?」
「え?アンドリューさま?何故このようなところに・・・」
いつも感想『うきゃきゃうきゃきゃ』といっては、いませんが喜んで読ませていただいております。
今回は甘いはずです。甘く感じなかった方は作者の腕の問題です。すいません。
一応追加説明は、エリザベスとアンドリューの初恋のお話になっております。
キスされてエリザベスは、アンドリューのことを意識した感じになっております。
あと、二度目にあった時はアンドリューと顔合わせの時にアンドリューと気づいて思い出して顔を真っ赤にして恥ずかしがっているっという感じです。
伝わってたらうれしいです。
たまには、侍女が空気になるのもいいですかね?
侍女が好きな皆様にはすいません。
では、次回はきっと侍女が活躍?します。笑
ここまで読んでくださってありがとうございます。