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Detective on the bed of the dead  作者: さわみずのあん


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2/2

of the dead

 天井夢想天下無双。

 21時。消灯。

 廊下からの微かな灯りが、病室の天井を薄く舐める。

 点、点、点。糸くず。点、点。点。

 糸くず。点、糸くず。点。糸くず。

 点。糸くず。点、点、糸くず。点。

 たまにネジ山。

 何年も見続けた、トラバーチン模様の天井。

 飛蚊症患者の見る景色のような、そんな模様から。文章を紡ぎ、物語を織る。

 星と星を結び。星座から、神話へ。

 私は、空想する、羊飼い。

 羊が一匹。羊が二匹。

 三匹目の羊のことを考えながら、私は、眠る。


 6時に起きる。羊を捕まえなきゃ。

 朝食の時間。看護師が来るまで、布団の中。息を潜める。

 悪い。オオカミ。

 大きな口は、朝食を食べるためさ。

 お膳を下げてもらうとき、お膳立てをお願い。

 お薬じゃないタブレット。

 ベッドには、それを固定する、アームスタンド。

 ネットの海、網にかかっている獲物。

 短尺動画投稿サイトの、ダンス動画をチェックする。

 みんなと同じ音楽で、みんなと同じ踊りをしているだけなのに。

 自分のことを、唯一無二だと思っている。

 うらやましい。

 私も。同じになりたい。

 あっ、この人。良い。

 見つけた、良い人の。他の動画も見てみる。

 へー。歌の動画も出してる。低くてかっこいい系の声だ。

 流行りに乗っているんじゃなくて、流されている人。

 調べてみると、他のSNSもたくさんやってる。

 私は、その人に、メッセージを送る。

 痛々しい、かわいそうな、私の写真を添えて。




 その人が、投稿した動画は。

 無事。炎上した。

 私は、ほっとした。

 今回は、私も顔を出してしまったから。

 この手は、もう使えないから。

 私は、右手を使って、タブレットを操作する。

 もう一度、その動画を見る。

 その人が、病床の私の前で、ダンスをしている動画を。

 その動画の中で、私は。本当はもっと、速く動かせるのに。

 音楽のリズムよりも遅く。弱々しく、右手を振っていた。

 我ながら。上手に踊れている。

 動画を何周かした後、コメント欄を確認する。

 みんな、上手に踊ってる。

 私の振り付けに合わせて。

 さて。

 火は通し、後は一押し。

 もう、住所も特定してるし。

 善意からの人間が、一番落としやすい。




 天上天下唯我独唱。

 合唱コンクールで優勝。

 ベッドの上、布団の中で。

 天井夢想天下無双。

 やっと。そろった。

 病室は、四人部屋。

 バス。

 テノール。

 新しく、アルト。

 そして私は、ソプラノ。

 さあ。

 ダンスはすんだ。

 朝。

 うた歌う。


 10歳には、なれずに。

 死んでしまうと、言われた私の。

 10歳の誕生日に。


 はっぴぃっばぁっすでぇー

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