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Detective on the bed of the dead  作者: さわみずのあん


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on the bed

 天上天下唯我独唱。

 合唱コンクールで優勝。

 なんて。

 夢のまた夢。

 私は布団の中。

 ベッドの上。

 病院の中。

 一人。

 どうしてなの?

 と、病気に動機を聞いても仕方がない。

 しょうがない。そういう仕様で生まれてきたの。

 首から下、上半身の左半分と。

 腰から下、下半身の全部。

 神のまにまに、まで麻痺に。

 私の不注意なんてなく、不随意に。

 せめて、心臓みたく。勝手に動いてくれれば良いのに。

 なんて考えを、頭の中。

 勝手に、めくるめく、めぐる。




 私は、ページをめくる。

 普通の人とは、違って、本の左から、右にではなく。右から、下に。

 1ページ目からではなく、2ページ目から。


 ハードカバーは、重くて、持ち続けるのが難しい。

 文庫本ですら、重い。

 人に頼んで、裁断。

 バラバラのページ、一枚一枚にしてもらう。

 6時の起床から、21時まで。

 一冊では足りないので、何冊も。

 順どおり、一枚ずつ。裏と表を反対にしてもらって、収納ケースに入れてもらう。

 ケースは、ベッドの右側にあるテーブルの上に。

 唯一動く、右手を、テーブルに伸ばす。

 薬指、中指、人差し指。紙に触れる。

 裏と表を反対にしてもらっているから。

 私は、最初に、2ページ目に触れる。

 大抵の場合、文庫なら、白紙。

 白紙に触れた、右手を、胸に引き寄せ、目の前で、持ち上げる。

 手首の回転と、手のひらの反転で。

 裏と表の反対が、反対に。

 1ページ目が、目に入る。

 文庫の名前。

 著者名。

 訳者名。

 たまに、絵の人の名前や、監修の人の名前。

 出版社名。

 ロゴのマークや、ナンバリング。

 そして、もちろん。

 タイトル。

 私は、このページを。多分。人より、時間をかけて読む。

 最後のページまで。ここに書かれている情報が出てくることは、ほとんどないから。

 よくよく、内容を覚えたら。

 手を、そのまま、離す。

 文字通り。本当の意味で。

 落丁。

 ページは、重力に従わない。

 空気抵抗に支えられながら。

 ゆっくり、と、落ちていく。

 そうして、また。

 唯一動く。右手を。テーブルに伸ばす。

 機械のように。薬指、中指、人差し指。

 今度は、4ページ目に触れる。

 大抵は、目次があるようなことが多い。

 目次。章タイトル。章番号。ページ番号。

 なんかが、目に入ったら、すぐにつむる。。__

 一枚。一枚。

 本。という制約。

 決められた、物語の長さから。

 展開を読むようなことをしたくないから。

 私が、読みたいのは。

 本じゃなくて。物語。

 けれど、登場人物。

 が、目に入ったら。そこは、しっかりと読む。

 文庫の名前、著者名、出版社名で。

 ミステリと、分かっているようなときには、特に。

 そして、しばしば。自分だけの物語もつくってみる。

 ページをめくる。

 左から右に、ではなく。右から、下に。

 奇数ページからでなく。偶数ページから。

 私は、布団の中。

 けれど、物語の中。

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