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未だ呪いは、迷走する

 未だ、いい案が思いつかず、とりあえず今まで通り、授業は午前のみにしている。授業の合間に校舎内を歩き回るが、『動きすぎるとバレる』とルディに注意された。


 あの魔道具事件の話題が校内中で聞こえる。その時に見てない生徒は、目撃した人に聞いて、また聞こえた話に尾ヒレも背びれもつけて大袈裟に話す生徒もいた。


特に新しい話題がない。

1週間がすぎても、変わらなかった話題が、少し変化してきた。

『魔道具は誰かの手によって改造された』

どこから聞いたのか、尋ねたが他の人が言っていたことを聞いただけと言っていた。

もしかしたら、尾ヒレ背びれと同じかもしれない。



「ナナシさん」

少し離れたところから声をかけたのは、1度パートナー組み、勉強会もいっしょにしたツインテの娘。

「ナナシさんに会おうと思っても、午前中しかいなから…」

「医師に止められているんだ。なんか久しぶりな感じだね」

「そうだ…ね。いや〜私、あの学園祭のことがショックで、何日か家に引きこもってたんだよね…なんか力が抜けるって感じで…」

そうか…あんなこと滅多に起こることじゃないし。本来、身近にある魔道具が誤作動で被害が出るなんて……

あの時のことを思い出したのか、震える手を押さている。

「無理しないでね。私下級生だし、頼りないけど、話だけは聞けるから」

「ん、ありがとう。じゃぁ教室に戻るね」

見送り、私も教室に戻った。



 午後は王城に帰り、家庭教師による授業と、力が戻ったことで、騎士団で剣の鍛錬をする。

騎士に「騎士団に入るのか?」と聞かれたが、答えられなかった。なぜ鍛錬をするのか、と言われると、それが当たり前になってたから……

 みんなと自分を守るために、剣の腕を鍛えてきた。魔法もそうだ。そうしなければ、いけなかった。


「よっナナシ。父と相手しろ」

父さんが自分で『父』いうのはどうかとおもうんだが…

「木剣で?」

「いや、真剣で」

父さんの剣は、騎士団で使われる剣に似てはいるが、独特な風合いをしている。ところどころ傷も見える。

私も新しい剣で迎え撃つ。

そういえば、父さんと手合わせは初めてだった。狩場では主に、狩猟や捌き方を教えてくれただけだ。


初めての手合わせは、最初軽く剣を当てるだけ。それが、だんだん力が強くなって、速さもつけてきた。

ついていくのがやっとだ。

 長年何かしらと戦ってきた父さんとの差は歴然だ。

「よくここまで、ついてこれるな」

余裕のある顔で笑う。私は疲れてしまった。



何か物言いたげな表情をして、私の肩に手を乗せてから歩き去った。



 

 今日は学園のあと、鍛冶屋に来た。新しい剣のお礼と支払い。

いつも帰る時には、ルディといっしょなのだが、このところ学園が忙しく、私だけで帰ることが多くなった。

 その隙をついて、鍛冶屋に来てしまった。ルディにバレたら怒られる案件だ。

「ドノ親方!」

「おう!嬢ちゃんか………あ〜…ナナシ様のほうがいいか?」

噂はここまで来てるのか…。

「いや、〝嬢ちゃん〟でかまわないよ」

「そうかい。で、今日は何の用だ?」

今まで使っていた剣を渡す。あの国で使っていた、ドノの兄弟子の剣。

「ドノ親方に持っていてほしいと思って…」

「いいのか?」

「兄弟子の打った剣を、弟弟子が受け継ぐ……。最高でしょ」

「ありがとよ」

これが1番いいと、力が戻った時、2つの剣を見た時に思ったことだ。その剣を参考にして、剣を打つか、家宝にしてしまうかは、ドノ親方次第だ。

「それと、新しい剣の代金」

「いや〜この剣をもらったんだ、代金は受け取れねぇよ」

いやいやと、首を振るドノ親方だが、支払いは譲れない。渡した剣とは別。正当な報酬として、受け取ってほしい。……バイトしたんだから…。

「では、半額で受けとるのはどうだろか」

一気に背中に汗が溢れたぞ。何で…、場所がバレた?

怖くて…振り向けない。振り向いたらマズイ気がする。

「わかったよ。半分の金を受けとるよ」

ドノ親方は差し出した、お金の半分を数え受け取った。

「では〜私は……これで…」

後ろの人に顔を隠すように、そろ〜っと去ろうとしたが…

「どこいくのかな?…ナナ?」

ムダな足掻きだった。首根っこ掴まれて、店から出た。馬車に乗り込むときも、馬車の中でも、何もしゃべらなかった。その無言が恐い…。


王城に着いた時に…

「危ないからって言いましたよね」

お説教が始まってしまった。……。

心配してくれてるのはわかるし、それは私が意識の無い時を2度も見てるから…。

王城(ここ)に馬車が戻ってきてなかったら、流石にわかります」

それで…か。戻ってきてない馬車と、前の剣がなかったから、鍛冶屋だと思ったのか。

「ごめんなさい……」

「……私も、行動に制限をかけすぎました。今度から、何処か行きたいところがある時は、私に声をかけてください」

へ?

「私も行きます」

ですよね〜。でも、それはルディがついてきてくれるおかげで、どうどうと出かけることができるってこと。……でも、それってデート?

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