5 タイガー抹殺拳の巻 7
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
ウェスパレス国で挑まれた生身での団体戦。
ハイマウンテン勢の三人目は——
「僕も力の限り戦います。見ていてください!」
スフィル王子がリングに上がり、腰の宝剣に手をかける。
安心した様子でそれを見送るソフィア。
「やっとまともな勝負になるのね」
「どうでしょう。相手にもよりますし‥‥」
不安な瞳でウェスパレス側のコーナーを窺うティア姫。
相手の三番手が一跳びでリングに上がった。
「ジャジャーン! あたし、シャンマウの出番だにゃ!」
王城で案内人をしていた猫獣人の少女である。
「ほう、あの娘か。まぁ中堅なら前の二人以上に強いんじゃろ」
セファラス女王はそう見たが、サイシュウの見方は‥‥
「センスがどうも古い気がするがな」
何を言いたいのかなんとなく察するキラー。
「似たようなキャラが80年代から絶えず居そうだ‥‥という事でしょうけど、それ地球の話ですから」
ここはあくまで異世界インタセクシルなのだ。
そしてゴングが鳴った!
スフィル王子は——コーナーで突っ立ったままだ。
「ん? どうした」
「ど、どうしたって‥‥どうしたら‥‥」
サイシュウが訊くと、スフィル王子は弱り切った目で振り返った。
猫獣人のシャンマウが手招きして挑発。
「さあ来い!」
「ど、どうやって?」
スフィル王子は途方に暮れている。
「そうか‥‥薄着の少女に攻撃しにくいのか」
しなやかなボディラインがくっきりわかるレオタード姿のシャンマウと、王子の手が剣の柄から離れているのを見て、キラーは察する。
サイシュウは深く溜息をついた。
「ファンタジー世界で戦士をやるのに、致命的に向いてねー奴だな‥‥」
「せ、せめて獣化してくれれば‥‥」
一応、徒手空拳で身構えはするものの、最初から弱音を吐くスフィル。
すると相手、シャンマウは——
「いいよ? 奥の手だけどリクエストされたなら今出しちゃうね。へんしーん!」
王子の弱みにつけこむ事なくあっさり承諾。
両手を頭上で組んでポーズをとると、半人半獣の姿へと変わったのだ。
その全身を獣毛が覆っていく!
胸部と腰部を、ビキニ状に。
肘・膝の先も毛で覆われ、膨らんで爪も飛び出した。尻尾も生えた。そこら辺はまぁ獣人である。
ただ頭部は全然変化が無かった。
「尻尾があると服は邪魔にゃー」
リアルリアリティ発言とともにレオタードを脱いでしまった。つまり理論上全裸だ。まぁ獣毛で隠れているから問題は無い。だからキャシャロットの時と違い、アナウンスも注意しない。
ぽん、と軽く跳んで宙で一回転。軽やかに着地し、敏捷性をアピールしてにまっと笑った。
何やら考え込むサイシュウ。
「前世紀の格ゲーに‥‥」
「それ地球の話ですから」
止めるキラー。
「いや、だから、ちょっと、これは!」
王子は抗議した。変身したら露出が増えると思わなかったようだ。多分、彼が考えていたのと違っていたのだろう。
しかし反則でもなんでもないので、ストップなぞかかるわけがない。
シャンマウが跳びかかった!
「にゃーっ!」
「うわわわ!」
リングの対角線をほとんど一跳び! 頭上から巨大な爪で強襲!
スフィル王子は両手を使い頭上でブロックする。剣から手を離してしまっている今、負傷は覚悟で全力防御だ。
だがシャンマウとて中堅を任される身である。そう容易い攻撃では無かった。
爪で引き裂かずに、スフィル王子の両腕を握った。
そのまま勢いを利用して体重をかける!
「つかまえた!」
「わ、わ、わ!」
はしゃぐように叫ぶシャンマウは、そのままスフィル王子を押し倒した。
動揺から立ち直っていない王子は仰向けにされ、その上にシャンマウが圧し掛かる。
野生の肉食獣は獲物の急所に噛み付いたまま、地面に引きずり倒すのだ。
リング上で絡み合う二人。
シャンマウの爪が王子を狙い、相手の体を掴んだまま伸ばされる。
「グラウンドでも手加減しないぞっ」
「だ、ダメです、当たってる! いけない、そこは、ちょっと! だめーっ! おかーさーん!」
スフィル王子は必死だ。
小柄なシャンマウの体を跳ねのけられず、密着して全身を押し付けられながら、無様に両足をばたばたさせていた。
が、途中でゴングが鳴ってしまう。
『勝者! シャンマウ!』
結果がはっきりと告げられた。
「おいィ!? なんでだ!」
自軍選手の負けに怒るアリン。
その回答はすぐに告げられた。
『肩ついて3カウント経過。シャンマウのフォール勝ちだ』
ようやく解放されたスフィル王子は、肩を落としてすごすご退場。
「やる気あんのかバカヤロー!」「このドサンピンが!」「若手だからって塩試合を許すほどこの国のリングは甘くねーぜ!」
客席から罵声とともに座布団と空き缶が飛ぶ。
「ううう‥‥何の役にも立てなかった‥‥」
王子は泣きながらリングを降りた。
勝ったシャンマウは小馬鹿にしたような目をハイマウンテン勢に向けた。
「つまんないにゃー、欲求不満だにゃー、次はギンギンでビンビンな人を期待だにゃー」
「次って‥‥」
ソフィアの前で、リングに上がったのは——
「種岩君!?」
ニンジャとなった同級生だった。
【登場キャラ解説】
猫獣人の格闘家 シャンマウ
ウェスパレス国の女グラップラー。
猫獣人の少女。
勢力を増すハイマウンテン国に挑戦状を叩きつけた強国ウェスパレスの最強五人衆で中堅を勤めていた格闘家で、5対5の団体戦で主人公達と対戦する。
能天気な脳筋で、深く物事を考えない。好きな物は戦う事と食べる事。
生身の戦闘が得意だが、当然ケイオス・ウォリアーにも乗っており、愛機Sマーシャルカラカルは回避特化型の機体で敏捷性と鋭い爪での斬撃に優れる。




