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1 戦乱突入の巻 1

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


吉良:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムにより謎の能力を得る。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

 国王サンタナ=ケリスは口髭もダンディな、なかなかのハンサムだった。広い謁見の間と豪華な玉座がよく似合っている。頭の両側に丸い髪飾りをつけているのは、この国流の衣装なのか。

 しかしサイシュウから渡された手紙を見て悲嘆にくれた。

「なんともはや。アルめ、スイデン国で騎士になるとは‥‥」

 それをサイシュウの横で見ながら、吉良(きら)は成り行きを頭の中で整理していた。



 サイシュウの旅の目的。それはこのハイマウンテン国の王へ、王子からの手紙を届ける事だった。

 王子と言っても妾腹の子らしく、城の外で好きに暮らしているらしい。

 それが魔王討伐の中心部隊に加わり、勝利し、勇者達のホームグラウンドだった国で騎士の叙勲を受けたという。



 サイシュウは可笑しそうに笑っていた。

「ま、あいつなら上手くやるでしょうよ」

 王は項垂(うなだ)れて溜息をついていたが、やがて顔を上げた。

「ところで、貴方はカマセイル隊のサイシュウ殿ですな?」

「元、がつきますがね」

 肯定するサイシュウに、王は必死で訴える。

「元でもヘイゴー連合国最強部隊であり、魔王軍討伐の最終決戦にも参加した御仁だろう。我がハイマウンテン国を救ってはくれんか?」



 どういう事かと言うと——

 ヘイゴー連合国とは、ハイマウンテン国のような小国がいくつも集まってできた集団だ。その総合力はかつてこの大陸屈指であり、最強勢力の一つと数えられ「大陸の三大国」に名を連ねていた。


 だが頂点に立っていた前帝王が魔王軍に敗れて戦死。

 最強の地位から落ちてしまったのである。


 無論、次の帝王を立てて纏まれば、勢力を回復する事もできるだろう。

 では誰が帝王を継ぐのか。

 それはこの連合国家の間で、結成当初からずっと同じ方法で決められていた。


 連合内で最強の国の王が次の帝王なのである。


 だが国同士で潰しあう必要は無い。

 実際は立候補した国の王に他の国の王が付き、最大勢力となった王が就任する事が多かった。

 だがそういう「平和」な方法だけでは決まらない事も、もちろんある。

 必要不可欠ではないが、禁止されているわけでもない。


 というわけで、武力衝突が起きる事も少ないわけではなかった。

 たまにだが、戦国時代になってしまう事もあった。


 そして今、まさにその()()()になりかけていたのだ。

 帝王に名乗りをあげた国家が複数あり、既に戦いがあちこちで起き始めているのである。

 そんな中、ハイマウンテン国との国境に軍を集めている国があるという情報が入った。



「ま、ヘイゴーに属する国はどいつもこいつも見ていただけなのに、ハイマウンテン国だけは最終決戦へ援軍を派遣してくださいましたからね。そいつらより消耗しちまったでしょう」

 サイシュウの指摘に王は頷いた。

「うむ。我が子が戦っているのに親が何もしないわけにはいかなかったからな。それが静観していた国々よりも勝利に貢献した事も確かだ。それで私に、次の帝王になってはどうかと打診してきた国もある。しかし‥‥」

「出遅れたと感じた国に目を付けられちまいましたかい」

 再び指摘するサイシュウに、やはり王は頷いた。


 吉良(きら)の胸にもやもやした物が湧き上がる。

(それで温存した戦力で攻めて来るのか‥‥汚い)


「構いませんぜ。俺も最終決戦にはいたんだ、あんた様に助力してもらった事になる。それに渡りに船でもありますしな」

 ニヤリと笑うサイシュウ。

 王は怪訝な顔を見せる。

「と、言うと?」

「魔王軍残党が召喚した聖勇士(パラディン)を十人ほど拾っちまいましてね」

 サイシュウはさらりと言ったが、王は目を丸くした。

「じゅ、十人!?」

「彼ら、路頭に迷ってますからね。全員がやる気になってくれるとは思いませんが、ま、報酬次第で何人かはOKしてくれるんじゃないですか。な?」

 そう言って、サイシュウは吉良(きら)の――ストライクの乗っていない方の――肩を叩いた。


「え‥‥俺!?」

 驚く吉良(きら)

 サイシュウは「おおっと」と声をあげる。

「説明してなかったか。聖勇士(パラディン)てのは召喚された連中の事だ。現在の召喚術で引っぱり込んだ異界人には、例外なく異界流(ケイオス)と呼ばれる特殊パワーがあってな。ケイオス・ウォリアーを操縦する能力が絶対に、ある程度以上はあるんだよ。アレで戦うとなれば、当然、ありがたがられるぜ?」


 この説明は、ケイオス・ウォリアーで戦え‥‥という事も意味していた。


 もちろん吉良(きら)は腰が引ける。

「で、でも、俺は、操縦はできたけど、訓練なんて全然‥‥」

「それはこれからって事だ。それにお前はもう既に‥‥おっと、ついでにやっておくか」

 サイシュウは王の側にいる文官に声をかけた。

「へい、さーせん。こいつのレベルと職業(クラス)を調べてやってくれ」



 頼まれた文官が持ってきたのは半透明の結晶でできた板だ。

 促されるまま、吉良(きら)はその板に手を置く。

 すると隅に文字が出て来た。


<ニンジャ レベル25>


「え!? 忍者!?」

 手裏剣と「忍」の文字が刻まれたコインがチェンジさせた職業(クラス)は、驚くべき事にニンジャだったのだ!


 驚愕する吉良(きら)に、上機嫌で笑うサイシュウ。

「ははっ、上級クラスだぜ! 良かったな!」

 吉良(きら)はもう一度、まじまじと文字を確認する。

「れ、レベルって‥‥え? 1じゃない?」

 するとサイシュウは当然のように言った。


「そりゃお前さん、塔の中でメタルウィスプを倒したし、その後もケイオス・ウォリアー戦でも、俺とパーティ組んで実戦こなしてただろうが」

ここでようやく主人公が忍者の能力を自覚する。

なお異世界の冒険者クラスとしての「ニンジャ」なので、地球の忍者と違う点があっても「そういう物」だと思っていただきたい。


この世界のニンジャの打撃には確率発動の即死効果があり、敵の首を刎ねて一撃死させる。

主人公が塔内でメタルウィスプを倒したのは、この効果によるものだったのだ。

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