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バトンタッチ

「あとは頼んだぜ、山野。」


「まかせとけ!」


特別ルールに基づき、俺は山野とバトンタッチ。ベンチから彼の投球を見守る。



試合展開は山野が緊張のせいかカウントを悪くしている。返事の威勢は良かったが…。


先頭バッターの里中に対してツーボールノーストライク。


おいおい…大丈夫か…? と思った矢先、打球が高く上がる。




しかし飛距離は伸びず、センターが難なくキャッチして1アウト。


これで安心したのか7番史田、8番八木と多彩な変化球で2者連続三振を奪い、この回を終了。


さぁ5回裏、山縣に変わって大石とかいうピッチャーが登板。正直に言って彼がどのくらいの投手なのかは分からない。


ーーまぁ、そんなに山縣に比べれば遥かに打ちやすいだろうな…とベンチはわりかし楽観ムードだった。



が、そんな雰囲気はすぐに終わる。


浦部はレフトフライ、的山はファーストフライにあっさり打ち取られてしまい、ベンチが少し動揺出す。




あまりにも呆気なく2アウトになったので、俺もはたと考え込んでしまった。


あれほど山縣対策で昨日打ち込んだはずだろう…。なぜだ、なぜ打てない…。


グラウンドに目をやっても、彼の球はそこそこ速いくらいでコントロールも曖昧。

変化球も普通。なのに打てない…。疑問だ。



そんなことを考えているうちに、先ほどスーパープレーを魅せた小林は三振。

5分足らずで3アウトにされた。


5回以降、変わり目のピッチャーを叩くという作戦が上手く行かなかったためかうちの吉田監督はじっと黙りこんでいる。



そんな監督の代わりに俺はベンチに戻ってきた小林に声をかける。


「小林、あいつの球打てそうだったか?」


「打てそうも何も三振した俺に聞くなよな」

ぷいっとそっぽをむかれたがその後、彼は確かに呟いた。




ーー 反則だろ…あれ。


「反則!?」

思わず聞き返してしまった。


「投球間隔が異常に短けぇ。構えたと思ったらすぐにボールが来るからバッティングフォームも崩れちまうんだよ」


「完全に投手のペースか」


「まぁ、そゆこと。とにかくあれは反則だぜ」


「どうりでさっきの攻撃の時間がエラい短かったわけだ。いい情報が聞けたぜ、ありがとな」


「あいあい、どういたしまして。九州選抜さん。」と憎まれ口を叩きながら小林はいそいそと守備位置に戻っていった。



ふうっ、しかしベンチは静かだ。


普段はうるさい吉田部長もただ見守っているだけ。



ちょっと切り替えのために山野が朝上をセカンドゴロに打ち取ったところを見届け、俺はトイレへと向かった。







久々の更新です!


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