表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第一章 彼の周りの不思議人物たち
7/117

7、オタク気取り登場!?

 何でだ、どうして俺だけが、あんな目に遭わなくちゃいけないんだ。酷いよ、世の中間違ってるよ。何で俺は、あんな奴に好かれないといけないんだ、どうして俺はアイツに付きまとわれなくちゃいけねぇんだよ。不公平にも、程があるってもんだろ!

 「そうだよ!!世界は平等でなくっちゃ!!」

 「ぐがっ!!」

 ん?今何か、ぶん殴ったような……。気のせいか。

 「な、何するんだよ、ちみ!」

 ちみぃ!?何だ、その古めかしい呼び方は!!

 「ちみ、人を殴っといて、謝らないのなんて、ありえないんじゃないかな?非常識じゃないかな?」

 非常識なの、アンタじゃない?何で夏なのに、完全防寒?そんなに寒い?病的な、何かかよ。

 「聞いてるのかい、ちみ」

 「あい、すいませんでしたぁ」

 「ちみ!そんなの謝ってるうちに入らないんだよ!もうっと、真心込めて、暖かく!」

 なんか、鬱陶しいのに絡まれたな……。俺は、早く帰らなくちゃ行けねぇんだよ。いつまた森野がくるか、分かったもんじゃないからな。

 「すみません!うちの子が殿方様にご迷惑をお掛けしたようで!!」

 ん?この声は母さんじゃないぞ?

 ……いや、それはさすがにないだろ。どんだけ足速いんだよって話だよな。ありえない、ありえない。

 「うちの新ちゃんが、本当に―――」

 「お前は俺の何だーー!!それに、慎の字違ーーう!!」

 背負い投げは見事に決まった。柔道やってないのに、よく出来たな、俺。馬鹿力って奴か?

 「ちみ、ちみ!!れでぃには、暴力振るっちゃいけないよ!!」

 なんか、レディの言い方がしゃくに障るんですけど!!ホームランなんですけど!!

 「いいえ、いいんですよ、こんなの日常茶飯事ですから」

 「いえ、良くないでしょう」

 「いいんです。私、そういうの、大好きなんで」

 出たよ、ドM発言。もう聞き飽きたって言うか、なんて言うか……。はあ。やっぱ、疲れたな、うん。

 「すごい!!ちみ、すごいよ!背負い投げが出来るなんて、ひっっじょーにすごい!」

 何だかよく分からないけど、感動してるみたいで。いきなり手を取って、喜び始めた。

 「ちょっと、そこの人!私のダーリンに触れないで!」

 「ダーリン?」

 「その人は、私の恋人よ!」

 「見ず知らずの人に、変な事を言うんじゃねぇ!」

 起き上がりかけていた森野の頭を、思いっきりはたく。見事にコンクリに激突しました。

 ……ちょっとやりすぎかな?さすがにコンクリは痛いよな……。

 「……何故、なぜなの?痛いのに、こんなにも快感だなんて!痛いのに、気持ちいい!!」

 「……お前、やっぱキモいよ」

 コンクリに頭ぶつけといて、無事だったなんて、ある意味すごい。

 ……てか、血!頭から血が流れてきてるよ!ちょっとした、ホラー映画みたいになっちゃってるよ!!

 「ああ、ダーリンを思いすぎて、頭がくらくらするわ」

 「血、流れてるからね。当然だな」

 「ああ、こんなにも愛しいダーリンがぶれて見えるわ」

 「血、流れてるからね」

 「あたしを祝福してくれるのね、ダーリン。貴方の為なら、私は地獄にだって逝きます」

 「もう、片足突っ込んでるぜ」

 「ああ、ダーリン。私、森野美咲は、あなたに会えて幸せでした」

 「遺言ですか、それは?遺言なのか?」

 「……ダーリン。私がいなくなっても、幸せにね」

 「お前がいなくなったら、即幸せだよ」

 ぱたりと倒れて、死んだ振り。よく見たら、頭の血、ケチャップでした。今日給食に出てた、ちっこいケチャップ。アレ、とって置いたんだな……これのために。

 「ちみ、どうするの?彼女、死んじゃったよ?」

 ……目の前に、馬鹿がいるの忘れてた。死んでないよ、この人。助けてくれるの、待ってるだけだよ。

 ああ、助けなくっていいってば。ほら、もう顔がにやけてんじゃん。ドッキリでした的なノリになりかけてんじゃん。

 「残念でしたぁ。これは、ドッキリだゾ、ダーリン!」

 「そのカンペ、どこからだしたぁ!!」

 いつの間にか持ってたカンペには、『ドッキリ、大成功!!』と書かれてたけど、俺、引っ掛かってないから。引っ掛かったの、そっちの馬鹿だから。俺、無関係だから。

 「ちみ!ボクを騙そうなんて、無駄な事だよ!全て知ってたもんね。気付いてたもんね」

 恥ずかしいの隠し切れずに、嘘ついたーー!!顔真っ赤だよ、本当に、顔から火が出そうだよ!!

 「……何でアンタが騙さてれてんのよ、ダーリンはどうしたの?」

 ここにいますよーーー。見えません?ケチャップで、目が見えませんか?

 「……どうしてなのかしら?目の前が真っ赤だわ」

 そりゃ、ケチャップまみれですから。

 ほんとに、通行人の人達ビビッてるからな、森野。いい加減に、その顔拭けよ。

 通行人A「何あの人、ヤバくない?マジ、ヤバくない?」

 通行人B「ありえなくない?ヤバイの前に、マジありえない」

 ほーら通行人AとBが変な会話してるだろ?気づけよ、その話の先に、お前はいるんだぞ。

 「何だか、熱い視線を感じるわ。モテ過ぎるのも、……罪よね」

 勘違ーーーーーーーーい!!違うよ!!違うよ森野!!それは確かに熱い視線かもしれないけど、意味が違うから!!紫外線と、赤外線並に違うから!!

 ……そういう俺は、紫外線と赤外線の違いがいまいち良く分かりません。なんか、すみません。ホント、すみません……。

 「ちみ、それは違うよ。あの熱い視線は、このボクに向けられたものだよ」

 それも違ーーーーーーーーう!!何、この二人?勘違い、大好き!?

 「違うわ!あんたみたいなドブネズミに、熱い視線なんて、くるわけないでしょ!」

 「ちみこそ、ドブネズミどころか、ハツカネズミじゃないか!」

 おーい、ネズミは全て汚いやつだと思うなよ。ドブネズミは確かに汚いかもしれないけど、ハツカネズミは結構綺麗なやつだぞぉ。ちょっとした違いだけど、全国の頑張ってるネズミさん達に失礼だぞぉ。ネズミだって頑張ってるんだぞ、今年の干支なんだぞ。

 「言ってくれるじゃない、馬鹿ネズミ」

 お前もな。

 「よくそんな事が言えるね、アホネズミ」

 お前もだってば。

 「女だからって、覚悟しないわよ」

 ……おい、森野。お前の目は、節穴か?そいつ、どっからどー見ても、男だよね?

 それに、その台詞、お前のじゃねぇぞ。男の台詞だぞぉ。根本から、間違ってるぞぉ。

 「その台詞、そのままラケットで打ち返してやるよ」

 打ち返して正解だよ。だけどさ、何でラケット?普通なら、バットとかじゃね?何で、少し影の薄い方にした!?

 「だったら、キャッチしてやるわよ」

 おーい、これ、野球の話じゃないかい?キャッチしちゃダメだよぉ。それに相手はラケットで打ってるぞぉ。打ち返せよ、馬鹿。……て、それじゃダメか。

 「だいたい、何、その格好?ここは北国じゃないのよ。ルールル言ってても、狐なんて、来ないわよ」

 「それぐらい知ってるよ!ちみ、それ以上ボクを馬鹿にしてごらん。痛い目に遭わせてやるからな」

 「やってみなさいよ!ていうか、どうか、やってください!コテンパンにしてください!」

 「ちみ、やっぱりここ、いかれてるね。天才的なボクには、君の頭の中が分からないよ」

 「当たり前でしょ!私を分かってくれるのは、ダーリンだけだもの!」

 「誰もちみのことなんて分かりたくないって思ってるよ。ほら、ボクの大切なフィギュアちゃん達もそう言ってるよ」

 馬鹿な会話が……オタクな会話に変わりそうだぞ?何だよフィギュアちゃん達って。どんだけ大切にしてんの。

 「フィギュアを持ち歩いてるなんて、寂しい男ね。私が持ち歩いているのは、ダーリンへの愛!それだけよ!」

 どっちもどっちだよ。どんだけマニアックなんだよ、どんだけストーカーしてんだよ。

 「そんなんじゃ、ちみの愛は届かないね!」

 「届くわ!ずっと前から、想ってるんですもの!」

 「ちみ、オタクの風上にも置けないね」

 「いいわよ、別に。オタクじゃないもの。じゃあ、あなた、好きなキャラの名前、全部言える?」

 「……え?……そ、それはさ。それだよ」

 言えないのかよ!お前が一番オタクの風上にも置けない存在だよ!!

 「私は言えるわよ!ダーリンよ!」

 それ、確かにキャラだね!だけど違うから!ダーリンなんてキャラいないよ!!俺、瀬川慎吾だから!瀬川ダーリンて、どんだけ変な名前だよ!キモいし、なんかウザいよ!

 「ちみがそれなら、ボクだっていえるぞ。猪上正樹(いのうえ まさき)!」

 ……え?誰、それ?初めて聞くんですけど……。

 あっ!!もしかして、自分の名前言っちゃった?自己紹介しちゃった?

 てか、それ、オタク関係なくね?

 「何!それならこれはどう!葛野木サチコ!」

 「……ふふ、ちみの言おうとしている事は、全て分かっているのだよ、森野美咲」

 あ、確かにキャラの名前だ!スゲェ!話の中に混ぜて言ってる!!

 「卑怯よ!オタク!坂井稔!」

 だからっ!オタク関係ねぇっての!!

 「オタクじゃない!マニアだ!小橋泰助!」

 どっちもどっち!!ていうか、似てるから!!

 「そんなの、どっちだっていいわ!斎賀良美!!」

 ……確かにどっちでもいいな。これに関しては、森野に賛成。

 さあ、これでキャラの名前、すべてでつくしんたんじゃないか?次の分の名前出せば、何とかなるかな?

 「……ちっ、仕方ない。これが最終兵器だ!下弦鴉!!」

 それ、ありぃぃ!!!!!!!!作者の名前だよね、それ。これ書いてる人の名前だよね、それ。

 それが最終兵器って……いいのかよ!!作者!!

 天の声 (私的には、OKです!)

 返事、キタァーーーーー(0Ц0)ーーーーーーーー!!

 「ふふ、そんなの、最終兵器でも、核兵器でもないわ。本物はね、こういう事を言うの!瀬川麻理(まり)!」

 「えぇぇえぇぇぇぇ!!」

 何で俺の母さんの名前、森野が知ってんの!?え!?えぇ!?

 「も一つオマケに、瀬川俊喜(としき)!」

 何で!?何で父さんの名前まで!?どうしてだ!!

 どこで知ったんだ、あのストーカー女。まだ、誰も知らないはずなのに……。どこで調べやがった、あんにゃろぉ……!!

 「……ボ、ボクが負けた。………そだ、うそだ!!シンジラレナァイ!!」

 何故に最後カタコト!?あの、どっかの監督のマネか!?

 「負けを認めて、去りなさい。コブタちゃん。……さあ、ダーリン!……あれ?」


 その場を逃げ出して、正解だと思いませんか!?あのままあそこにいたら、こっちの頭をどうかしてしまいますよね!?

 どうか、逃げてしまった事、許してください!今日は、本当に疲れたんです!朝からずっとツッコミっぱなしで、死ぬかと思ったんです!!

 それに、異常なまでの、ストーカー行為。……110番、したほうがいいですかね?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ