2、馬鹿は限りない!?
皆さん、お久しぶりです。瀬川です。なんだか変な展開になりぷっつりと終わってしまった前回ですが、覚えているでしょうか?キモい森野と、謎のサチコさんの事です。あの事なんですが……
「へぇ、そうなんだぁ。美咲ってそんなに好きなんだぁ、瀬川君のことぉ」
「うん!!そうなんだぁ。……で、サチコには好きな人いないの?」
「えぇ、いないよぉ (照」
「えぇ!!ず〜る〜い〜!ホントはいるんでしょう?教えてよぉ (ニヤリ」
「えぇ〜……誰にも言わない?」
「言わないよぉ!!で、誰??」
「それはねぇ……」
耳元で何やら囁く謎のサチコさん。そしてオーバーリアクションをとる森野。
何故、どんな風に転べがばこんなにも急に仲良くなるのか、さっぱり分かりません!!女心って難しいです……。っていうか―――
「何でお前ら俺の家に来てんの!?」
そう、奴らは俺のベットで自分の家の如くくつろいでいた。
「いいじゃない、幼馴染なんだし」
「えっ、そうだったの?」
「騙されてるよ、サチコさん。そいつの言う事100パー嘘だから」
「なぁんだ、つまんないのぉ」
あなたその妙に間延びする言い方が無性にムカつくんですけど……。
つまんないってなんすか?何がどうつまんないんだよ。
「サチコ、気にしなくていいよぉ、ダァリンのことぉ。ちょぉっと照れてるだけだからぁ」
うつってる!!サチコさんの言葉遣いが、森野にうつってる!!
「そうなのぉ、じゃあ美咲の言葉信じるよぉ」
「ありがとぉ、サチコ」
ベットの上で、嘘泣きしながら抱き合う二人。見ている方が、無性に腹立つ光景だった。
っていうか、こいつらいつになったら帰んの?
―――数時間後―――
うまい。ありえない。うまいけれど、ありえない。何で、うまいのにありえないっかって?それは―――
「何でお前ら、人の家の飯食ってんだよ!!」
「ええぇ!!」
「ダメなの!?」
口をパクパクしながら、言うもんだから口の中のものが見える。汚い。そう、汚い。口の中も、森野達も。
「ダメに決まってんだろ!とっとと自分の家に帰りやがれ!」
「めんどくさいから嫌です、隊長」
と、森野。
「左に同じでごぜぇます」
と、サチコさん。
「隊長って俺のことか?何で隊長なんだよ!てか、お前らなんだよ!」
「私は森野切り込み隊長でごぜぇますだ。かの新○組の沖○みたいな?」
「私は副隊長でごぜぇますだ。かの新○組の土○みたいな?」
「じゃあ、俺はかの新○組の近○ってか」
「おお、さすが隊長!物分りがようごぜぇますな」
「さすがだぁ」
「何なんだよ、そのしゃべり方!なんかムカつくんですけど!」
「昔の人ってこんな感じのしゃべり方っぽいじゃないですかねぇ?」
「ささ、隊長もご一緒にいかがで?」
「もう、ウゼェよお前ら!このテーブルがちゃぶ台だったらひっくり返したいわ!!」
「まあまあ慎ちゃん、そんなに怒らなくてもいいじゃないの。ご飯はみんなで食べた方が、美味しいじゃないの」
「慎ちゃん!?それって国民的存在のクレヨン―――」
「違うわボケ!!」
バシッと森野の頭を叩くと、見事にテーブルに額をぶつけた。
う〜ん……なんだかスッキリ。
「アラ、母さんは暴力反対よ。大丈夫?森野さん」
「はい、大丈夫ですわ、お義母様」
「いつ俺の母さんが、お前の義母になった!!」
「いつって、そんなの慎ちゃんが産まれた頃からに決まってるでしょ」
「お前まで、俺を慎ちゃんって言うな!母さんも、森野の相手しなくていいから、あっち行ってて」
母の背を押しながら、森野を睨んでいるとそいつは嬉しそうに頬を赤らめていた。
母をキッチンに押し込んでからリビングに戻ってみると、森野とサチコはニヤニヤしていた。……殴っていいですか?
「何笑ってんだよ」
「何って……ねぇ、サチコさん」
「ねぇ、美咲さん」
何だお前ら、ゴミ捨て場によく溜まってるオバハンか?
「んだよ、はっきり言えよ」
「ですって、美咲さん」
「どうしましょう」
「……」
「言っちゃえばいいんですよ、美咲さん」
「そうかしら」
「……」
「ほぉら、早く」
「でも……」
「……」
「勇気を振り絞って美咲さん!私、応援してるからぁ」
「有難う、サチコさん」
「……」
「ホラ、王子様が御待ちかねよ」
「うん、そうね。」
「誰が王子様だ、ボケェ!ふざけた事、抜かしてんじゃねぇぞ」
「アラごめんなさい」
何か、初対面なのに、かなりムカつくんですけど、この人……。
「あの……ダーリン―――」
「誰が、ダーリンだよ!もう飽きたんだよ、そのネタ!いい加減他の事言えや!」
「気持ちいい罵声を有難う、慎吾様。でも、私はそろそろ帰らなければなりません……」
と、涙を拭う森野。その隣で肩を抱き、一緒になって涙を拭っているサチコ。……こいつら、うち合わせでもしたのか?
「帰ればいいじゃん、そんなもん」
「え?」
双子のように同じ反応だ。……いや、この例えはいささか双子の方々に悪かったか?すみません、全国の双子様方。以後気をつけます。
「帰りてぇんだろ?だったらとっとと帰れよ、迷惑だから」
「引き止めて……くれないの?」
涙声で森野が言う。その隣で、口をパクパクさせているサチコ。……魚みたいでウケるんですけど……。
「引き止める理由なんて、俺にねぇだろ。お前は俺の何なんだよ」
「……恋人に―――」
「決まってねぇだろ!!」
バシッと心地よい音が、俺の胸をスッキリさせてくれた。はたかれた森野は、頬を押さえながら俺に向かって言う。
「酷い!親にもぶたれた事ないのに!!」
「お前はガン○ムのア○ロ気取りか!」
もう一度頭をはたくと、森野は派手なリアクションで床に崩れ落ちた。その倒れ方が、無性に苛立たしい。
「二度もぶった!」
「だから、何でアム○気取りなんだよ!!」
「だって、ダーリンネタに飽きたんでしょ!!だったら新しい快感を求めて三千里しなきゃダメじゃない!!」
「三千里もしてねぇだろ!何だよお前、何なんだよ」
「マルコ・ポーロです」
「全然違う人物になってんじゃねぇか!!」
「えっ!?嘘!?ホント!?」
「わざとだろ!絶対わざとだ!!」
「そうよわざとよ!何か問題ありますか?」
「お前の性格が問題じゃ、ボケェ!!」
なんだか疲れてきた。て言うか、疲れた。早くこいつら追い出して、寝たい。
「もう、気ぃすんだだろ?さっさと帰れ」
「冷たいのね、貴方って人は……。いいのよ別に。新しい女が出来ただけなんでしょ。そして私は、もう要らないのよね。……ただ、一つ言っとくわ、女を甘く見ると恐いわよ!!」
「は?」
「そうやって、平気な面して何人の女をフッてきたんだか」
「フッてねぇし、告られた事ねぇし」
「嘘付いたって無駄よ!全部知ってたんだから。それでも私は……貴方を愛していたのよ。貴方を……心から愛してた」
「勝手に妄想を膨らませるのは、止めましょうね」
「貴方にとっては妄想だったかもしれない。だけどね……私にとっては、貴方が全てだったのよ!」
「……」
「さよなら……。私の愛しき人」
サチコがどこから取り出し、どこで作ったのかわからないが、カンペを出した。それには筆で書きなぐったかのように、こう書かれていた。
『愛しき人から旅立つ女……完!!』
「なんだよ、それぇ!」
サチコからカンペを奪い、ずたずたに破り捨てた。それをサチコは悔しそうに見ていた。
「ああ!せっかくのムードが台無しじゃない!!」
「どんなムードだよ!」
「私と慎ちゃんの歩く道……みたいな?」
「どんなだよ!」
履いていたスリッパで、森野の頭をはたく。
「そんなベタなモノで私を殴らないで!やるんだったら、素手でお願いします!」
「そんなの俺の勝手だろ!」
「私もベタなツッコミの仕方には、反対です!議長!」
「誰が議長だ!」
「私も反対です、議長!」
声を変えて、サチコは再び言った。その鼻を摘み、俺は言う。
「あのさぁ、これ以上俺を怒らせないでくんない?正直もう疲れたわけよ。一日中ツッコミができると思うなよ」
「そうだったんですか、スンマッセェン」
「お前はどっかの、新人か!」
デコピンをして、突き飛ばす。鼻をさすりながら、サチコは苛立たしげに言った。
「チッ。俺だってこんな役やりたかなかったんだよ。今日は塾もあるってのに……ペッ!」
この人、またキャラが変わったんですけど!MからSへの大変身をとげたよ!しかも、人の家のフローリングに唾吐きやがった!
「だったら、帰れよ」
「あん?めんどくせぇからヤなんだよ。一晩泊めさせよや」
「あん?ヤなんですけど。自分の家帰れ。サボり」
「あん?こっからの帰り方は分かんねぇから泊めさせろって言ってんだろ、ドS」
「お前、実は馬鹿だったんかい!!」
「なになに?新しいネタ?」
「お前は黙ってろ!てか、外で待ってろ!」
「ヤ」
「帰らねぇと、もう突っ込んでやらねぇ」
その脅しは効いたようで、森野はそそくさと部屋を出て行った。後は、この馬鹿だけ。
「森野と一緒にお前も帰れ」
「だから道が―――」
「聞こえねぇな?サブキャラは大人しくしてればいんだよ!」
「……悪魔」
そうして、長い一日は幕を閉じた。
……本当に、長かった気がする……。




