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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第一章 彼の周りの不思議人物たち
2/117

2、馬鹿は限りない!?

 皆さん、お久しぶりです。瀬川(せがわ)です。なんだか変な展開になりぷっつりと終わってしまった前回ですが、覚えているでしょうか?キモい森野と、謎のサチコさんの事です。あの事なんですが……

 「へぇ、そうなんだぁ。美咲(みさき)ってそんなに好きなんだぁ、瀬川君のことぉ」

 「うん!!そうなんだぁ。……で、サチコには好きな人いないの?」

 「えぇ、いないよぉ (照」

 「えぇ!!ず〜る〜い〜!ホントはいるんでしょう?教えてよぉ (ニヤリ」

 「えぇ〜……誰にも言わない?」

 「言わないよぉ!!で、誰??」

 「それはねぇ……」

 耳元で何やら囁く謎のサチコさん。そしてオーバーリアクションをとる森野。

 何故、どんな風に転べがばこんなにも急に仲良くなるのか、さっぱり分かりません!!女心って難しいです……。っていうか―――

 「何でお前ら俺の家に来てんの!?」

 そう、奴らは俺のベットで自分の家の如くくつろいでいた。

 「いいじゃない、幼馴染なんだし」

 「えっ、そうだったの?」

 「騙されてるよ、サチコさん。そいつの言う事100パー嘘だから」

 「なぁんだ、つまんないのぉ」

 あなたその妙に間延びする言い方が無性にムカつくんですけど……。

 つまんないってなんすか?何がどうつまんないんだよ。

 「サチコ、気にしなくていいよぉ、ダァリンのことぉ。ちょぉっと照れてるだけだからぁ」

 うつってる!!サチコさんの言葉遣いが、森野にうつってる!!

 「そうなのぉ、じゃあ美咲の言葉信じるよぉ」

 「ありがとぉ、サチコ」

 ベットの上で、嘘泣きしながら抱き合う二人。見ている方が、無性に腹立つ光景だった。

 っていうか、こいつらいつになったら帰んの?


                ―――数時間後―――


 うまい。ありえない。うまいけれど、ありえない。何で、うまいのにありえないっかって?それは―――

 「何でお前ら、人の家の飯食ってんだよ!!」

 「ええぇ!!」

 「ダメなの!?」

 口をパクパクしながら、言うもんだから口の中のものが見える。汚い。そう、汚い。口の中も、森野達も。

 「ダメに決まってんだろ!とっとと自分の家に帰りやがれ!」

 「めんどくさいから嫌です、隊長」

 と、森野。

 「左に同じでごぜぇます」

 と、サチコさん。

 「隊長って俺のことか?何で隊長なんだよ!てか、お前らなんだよ!」

 「私は森野切り込み隊長でごぜぇますだ。かの新○組の沖○みたいな?」

 「私は副隊長でごぜぇますだ。かの新○組の土○みたいな?」

 「じゃあ、俺はかの新○組の近○ってか」

 「おお、さすが隊長!物分りがようごぜぇますな」

 「さすがだぁ」

 「何なんだよ、そのしゃべり方!なんかムカつくんですけど!」

 「昔の人ってこんな感じのしゃべり方っぽいじゃないですかねぇ?」

 「ささ、隊長もご一緒にいかがで?」

 「もう、ウゼェよお前ら!このテーブルがちゃぶ台だったらひっくり返したいわ!!」

 「まあまあ慎ちゃん、そんなに怒らなくてもいいじゃないの。ご飯はみんなで食べた方が、美味しいじゃないの」

 「慎ちゃん!?それって国民的存在のクレヨン―――」

 「違うわボケ!!」

 バシッと森野の頭を叩くと、見事にテーブルに額をぶつけた。

 う〜ん……なんだかスッキリ。

 「アラ、母さんは暴力反対よ。大丈夫?森野さん」

 「はい、大丈夫ですわ、お義母様」

 「いつ俺の母さんが、お前の義母になった!!」

 「いつって、そんなの慎ちゃんが産まれた頃からに決まってるでしょ」

 「お前まで、俺を慎ちゃんって言うな!母さんも、森野の相手しなくていいから、あっち行ってて」

 母の背を押しながら、森野を睨んでいるとそいつは嬉しそうに頬を赤らめていた。

 母をキッチンに押し込んでからリビングに戻ってみると、森野とサチコはニヤニヤしていた。……殴っていいですか?

 「何笑ってんだよ」

 「何って……ねぇ、サチコさん」

 「ねぇ、美咲さん」

 何だお前ら、ゴミ捨て場によく溜まってるオバハンか?

 「んだよ、はっきり言えよ」

 「ですって、美咲さん」

 「どうしましょう」

 「……」

 「言っちゃえばいいんですよ、美咲さん」

 「そうかしら」

 「……」

 「ほぉら、早く」

 「でも……」

 「……」

 「勇気を振り絞って美咲さん!私、応援してるからぁ」

 「有難う、サチコさん」

 「……」

 「ホラ、王子様が御待ちかねよ」

 「うん、そうね。」

 「誰が王子様だ、ボケェ!ふざけた事、抜かしてんじゃねぇぞ」

 「アラごめんなさい」

 何か、初対面なのに、かなりムカつくんですけど、この人……。

 「あの……ダーリン―――」

 「誰が、ダーリンだよ!もう飽きたんだよ、そのネタ!いい加減他の事言えや!」

 「気持ちいい罵声を有難う、慎吾様。でも、私はそろそろ帰らなければなりません……」

 と、涙を拭う森野。その隣で肩を抱き、一緒になって涙を拭っているサチコ。……こいつら、うち合わせでもしたのか?

 「帰ればいいじゃん、そんなもん」

 「え?」

 双子のように同じ反応だ。……いや、この例えはいささか双子の方々に悪かったか?すみません、全国の双子様方。以後気をつけます。

 「帰りてぇんだろ?だったらとっとと帰れよ、迷惑だから」

 「引き止めて……くれないの?」

 涙声で森野が言う。その隣で、口をパクパクさせているサチコ。……魚みたいでウケるんですけど……。

 「引き止める理由なんて、俺にねぇだろ。お前は俺の何なんだよ」

 「……恋人に―――」

 「決まってねぇだろ!!」

 バシッと心地よい音が、俺の胸をスッキリさせてくれた。はたかれた森野は、頬を押さえながら俺に向かって言う。

 「酷い!親にもぶたれた事ないのに!!」

 「お前はガン○ムのア○ロ気取りか!」

 もう一度頭をはたくと、森野は派手なリアクションで床に崩れ落ちた。その倒れ方が、無性に苛立たしい。

 「二度もぶった!」

 「だから、何でアム○気取りなんだよ!!」

 「だって、ダーリンネタに飽きたんでしょ!!だったら新しい快感を求めて三千里しなきゃダメじゃない!!」

 「三千里もしてねぇだろ!何だよお前、何なんだよ」

 「マルコ・ポーロです」

 「全然違う人物になってんじゃねぇか!!」

 「えっ!?嘘!?ホント!?」

 「わざとだろ!絶対わざとだ!!」

 「そうよわざとよ!何か問題ありますか?」

 「お前の性格が問題じゃ、ボケェ!!」

 なんだか疲れてきた。て言うか、疲れた。早くこいつら追い出して、寝たい。

 「もう、気ぃすんだだろ?さっさと帰れ」

 「冷たいのね、貴方って人は……。いいのよ別に。新しい女が出来ただけなんでしょ。そして私は、もう要らないのよね。……ただ、一つ言っとくわ、女を甘く見ると恐いわよ!!」

 「は?」

 「そうやって、平気な面して何人の女をフッてきたんだか」

 「フッてねぇし、告られた事ねぇし」

 「嘘付いたって無駄よ!全部知ってたんだから。それでも私は……貴方を愛していたのよ。貴方を……心から愛してた」

 「勝手に妄想を膨らませるのは、止めましょうね」

 「貴方にとっては妄想だったかもしれない。だけどね……私にとっては、貴方が全てだったのよ!」

 「……」

 「さよなら……。私の愛しき人」

 サチコがどこから取り出し、どこで作ったのかわからないが、カンペを出した。それには筆で書きなぐったかのように、こう書かれていた。

 『愛しき人から旅立つ女……完!!』

 「なんだよ、それぇ!」

 サチコからカンペを奪い、ずたずたに破り捨てた。それをサチコは悔しそうに見ていた。

 「ああ!せっかくのムードが台無しじゃない!!」

 「どんなムードだよ!」

 「私と慎ちゃんの歩く道……みたいな?」

 「どんなだよ!」

 履いていたスリッパで、森野の頭をはたく。

 「そんなベタなモノで私を殴らないで!やるんだったら、素手でお願いします!」

 「そんなの俺の勝手だろ!」

 「私もベタなツッコミの仕方には、反対です!議長!」

 「誰が議長だ!」

 「私も反対です、議長!」

 声を変えて、サチコは再び言った。その鼻を摘み、俺は言う。

 「あのさぁ、これ以上俺を怒らせないでくんない?正直もう疲れたわけよ。一日中ツッコミができると思うなよ」

 「そうだったんですか、スンマッセェン」

 「お前はどっかの、新人か!」

 デコピンをして、突き飛ばす。鼻をさすりながら、サチコは苛立たしげに言った。

 「チッ。俺だってこんな役やりたかなかったんだよ。今日は塾もあるってのに……ペッ!」

 この人、またキャラが変わったんですけど!MからSへの大変身をとげたよ!しかも、人の家のフローリングに唾吐きやがった!

 「だったら、帰れよ」

 「あん?めんどくせぇからヤなんだよ。一晩泊めさせよや」

 「あん?ヤなんですけど。自分の家帰れ。サボり」

 「あん?こっからの帰り方は分かんねぇから泊めさせろって言ってんだろ、ドS」

 「お前、実は馬鹿だったんかい!!」

 「なになに?新しいネタ?」

 「お前は黙ってろ!てか、外で待ってろ!」

 「ヤ」

 「帰らねぇと、もう突っ込んでやらねぇ」

 その脅しは効いたようで、森野はそそくさと部屋を出て行った。後は、この馬鹿だけ。

 「森野と一緒にお前も帰れ」

 「だから道が―――」

 「聞こえねぇな?サブキャラは大人しくしてればいんだよ!」

 「……悪魔」

 そうして、長い一日は幕を閉じた。

 ……本当に、長かった気がする……。

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