12、仁義なき戦い!?
「ははは〜!」
「……どした瀬川。その奇妙な笑いは何だ」
「あはは〜!それはな、やっと飯が食えるからだよ!」
「朝飯は?」
「ははは〜!昨日の晩から、何も食ってない!」
「マジ!?」
「あはは〜!だってさ、ミッチェルさんの破壊的な料理、お前も知ってるだろ?」
「え!?もしかして……」
「そう、母さんがいないから、代わりにミッチェルさんが作っちゃったんだよ!」
「……それは、大変だったな」
「ははは〜!哀れみに満ちた言葉を有難う、小橋」
そうです!そうなんです!!本日、最も楽しみにしていた時間!!そう、給食の時間がやってきたのです!!なんて嬉しい事でしょう!!なんて幸福な事でしょう!!
もう、待ってらんなくて、2時間目あたりから俺の腹は、給食を呼んでました(笑)
そしてとうとう、この時間!人類が最も油断する時間!!給食の時間は来たのデェス!!
……あっ、ヤベッ!ミッチェルさんのしゃべり方がうつった!
「ところでさ、あそこにお前を待ってる奴がいるぞ」
「誰?」
「強烈毒舌馬鹿女」
「お〜。よく噛まずに言えたな」
「まあな」
「デ、誰?」
「だから、隣のクラスの」
「まさか、坂井君!?」
「……確かに隣だけど、違うから」
「じゃあ、……馬鹿?」
「そう、馬鹿」
名前を出す気にもなれないアイツは、確かに後ろの入り口にいた。いたというより、覗いてた。
すみまっせ〜ん!!誰か、変質者がいるって、先生に言ってくださぁい!!
「どうすんだ?」
「もち、ほっとく!」
「……やっぱ」
「この至福の時、あの馬鹿女に邪魔されてたまるかっての!!」
ぐっと拳を握り締めて、宣戦布告。ていうか、戦闘体勢?はたから見れば、一人勝手に盛り上がってる、浮いてる人だな。
そういえば、気付いたら森野がいない。でも、よく見たら、前の入り口に移動しただけだった。そして狙ってる。俺が、そこに並ぶのを。
「……小橋、俺は戦ってくるぞ」
「……無事を祈っててやるよ」
「……さらば、友よ!!」
……こんな題名の曲、なかったっけ?
それはさておき、森野をどう退治するか……。
一歩一歩、確実に前へ進む。隠れているつもりの森野は、思いっきり頭が出てた。
そして、給食を運ぶ列へ並ぶ。そして、お盆を掴む。と、同時に―――。
「あ!いっけね!!手がすべったぁ!!」
隠れていた戸から出てきた森野に、容赦ない一撃。飛んでいったお盆は、見事に森野の目に激突する。
よっしゃぁー!ストライク!!思わず拳を握り締めて、新しいお盆を手に取る。
次はご飯だ。どう対処しようか。……そうだっ!
「ねぇ、後ろに何かいるよ?」
「え?」
見事にお椀を持ったままの腕が、森野の顔面に直撃する。さほどの衝撃はなかっただろうけど、それで十分だ。
「ゴメン。気のせいだったみたい。さあ、早くよそってよ」
「え?あ?う、うん」
よし、第二関門突破!このままいけば、無事に給食を手に入れる事が出来るぞ!頑張れ、俺!負けるな、俺!!
さあ、次はおかずだ。でも、二種類あるから、さっきのような手は使えない。違う手を考えなくちゃな。……あ、そうだ。これなら、いけそうだぞ!
「ねぇ、そのお皿、少し汚れてない?」
「え?そうかな?」
「そうだよ、変えて欲しいな」
「いいよ、どうせあまるし」
よし、今だ!
「傷も付いてるから、他のに入れた方がいいよ」
もとあった場所に置きそうになった皿を取り、フリスビーのように投げる。それは、森野の腹に当たり、割れた。
「ほらね、言ったとおりだ」
「……そ、そうだね」
おし!後は味噌汁だけだ!!これならいけるぞ!!絶対、いける!!
「味噌汁、少なめでお願いできない?」
「……いいけど?」
「有難う」
汁の入ったお椀を受け取り、後ろに現れた森野の顔面に向かって押し付ける。
「ふ、油断するなよ、馬鹿が」
味噌汁の攻撃をくらい、森野はノックダウン。よっしゃ、勝利は我が手に!!
「あ〜あ、また手が滑っちゃったよ。もう一杯くれるかな?」
「う、うん」
給食の激しい(?)バトルを勝ち抜き、勝利と食べ物を手に入れた俺は、腹いっぱい給食を食べたとさ。




