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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第四章 メインディッシュは体育大会
117/117

116、前半戦終了!?


メリークリスマァァァス!!

今年は非リア充を消しにかかっているようですね。地獄のような3連休、どう過ごしましょうか。

私はいつもどーりにぐだぐだしてます。寝てゲームして本読んで書いて寝ます。


サンタのおじ様が来なくなって、早数年。

季節感のまったくないこの小説がぐだぐだ続いて、早数年。

クリスマスなのに体育大会な本編へどうぞ!


 大ムカデとやらに、俺は参加しなくてもいいと言われたので、自分の席で大人しくしていた。いつの間にか戻ってきた小橋は、なんか熱が入っててウザいくらいだ。神郷は参加しているらしいが、遠目からじゃ同じような奴の集団で、どれが誰だか分かったものじゃない。まあ、なんとなくは分からなくもないけど。

 「いけぇぇぇぇ、青組! オームの如く突き進めぇぇぇぇぇぇ!」

 うぜぇ。ひたすらにうぜぇとしかいえねぇ……。

 あのウザさはどうにもならないとして。それでも、なんだかんだと結構上位にいるらしいと、風の噂で聞いた。まあ、俺以外の奴はそれなりに頑張ってるし、全体的なバランスも悪くなかったからだろう。ただ一つ言える事は、あの応援のおかげではないのは明らかだ。だって耳ふさいでるし、自分の生徒達が。

 狩燐とか斎賀もヒマではないらしく、今は俺一人。こんなにのんびりしてていいのか? なんて自分で思うくらいのんびりしている。てか、このままがいいな。つーか、このままでいいな。

 「ふぁーあ」

 程よい日差しが気持ちいい。こういう日は、体育大会じゃなくて、昼寝がしたい。

 『みなさん、位置についてください』

 これが終わってしまえば、学年全体でソーラン節を踊ってお昼休憩に入る。午後からは部活動対抗リレーやら、PTAによる玉転がしやら、少し変わった競技が入ってくるようになる。部活動はまあ陸上部が圧勝するのは目に見えているので、点数は加算されない。ただ、生徒が楽しめればいいという目的だけの競技らしいからな。

 『位置について、よーい、……ドン!』

 なんて、ボーッとしてたら、大ムカデが始まっていた。アナウンスの声をかき消すように、掛け声が一斉に上がった。

 『おぉっと、赤組どうした!?』

まず最初に進みだしたのは赤だったが、なぜか急に止まる。踏み出す足を誰かが間違えたらしく、そこからドミノ倒しにバランスを崩して倒れていく。その間に、黄色、緑、青の順で進みだす。スピード的には緑が一番速い。誰が見ても、足並みがきれいに揃っているからだろうな。

 『緑組早いです。青、黄も頑張ってください!』

 確かに、青と黄色がなかなかいい勝負をしている。両者少し躓きそうになりつつも、赤のように倒れる事はなかった。そんな赤も、普段の調子を取り戻したらしく、2組を追い抜かんと走ってくる。

 「これは緑の圧勝だな」

 んなこと言わなくても、もうゴールテープをきる寸前の緑を、まだ5Mくらい後ろにいる奴らが抜ける訳もない。


 パーン!


 緑がゴールすると、高い発砲音が響く。続いて、黄色、緑、赤の順でゴールした。なかなか見ごたえのあるレースだったんじゃないか? まあ、どうでもいいけど。

 『第二レースをはじめます。みなさん、準備はよろしいですか?』

 しかしまあ、テキパキと進行すること。というか、第二レースもあったのな。……ってそれもそうか。男女で分かれてるのか、これ。なんとなくしかみてなかったけど、最初に走っていたのは女子だけだった。てことは、次は男子だよな。んで、それで合計得点を~って感じだろう。

 『位置について、よーい……ドン!』

 さっきよりも太い声が校庭に響き渡った。今度はすべての組がほぼ同時に走り出し、横一直線に進んでいく。

 「いっけぇぇぇぇ、青、青組ぃぃぃぃぃ! ……ゲホッゴホッ」

 応援するのか邪魔するのか、どちらかにしやがれ、バカ担任。

 グラウンドの半分くらいを使って行われるこの競技。距離としてはそんなに長くはないが、かなり見ごたえはあるんだな。

 『みなさん、先を譲りません! 1位を目指して頑張ってください!』

 確かに、ちょっと緑が遅れてはいるものの、ほかはほぼ同着になりそうな勢いで進んでる。ちょっとだけ赤が有利か?

 「うおぉぉぉぉぉ! 負けんな青おぉぉぉうぅぉぉぉぉぉぉぉ!」

 何か出すんじゃないか。そろそろアイツの口から何か出てくるんじゃあるまいな。てか黙れ。

 そんなアホに気を取られている隙に、黄色が躓いたらしい。いや、足と足を繋いでる手ぬぐいが解けたのか。これは痛いな。……焦ってる奴を見て楽しむほど、俺は下衆じゃねぇぞ?

 青と赤の一騎打ち。ゴールはもう目の前だ。あとはもう運任せと言ってもいいだろう。


 パーン!


 第一レースと同じように、ゴールを告げる音が鳴り響く。待機していた順位のプレートを持った体育委員が走り寄ってきた。1位、青。2位、赤。あの接戦を、俺達の組は勝ち抜いたらしい。きちんと応援していたクラスメイト達が、ハイタッチやら小躍りをして喜んでいる。うん、俺も正直に嬉しい。

 「やったな、瀬川!」

 「やったね、勝ったよ! すごかったね!」

 「お、おう」

 蚊帳の外だといわんばかりに、傍観者面してたから、普段話さない奴らは話しかけてこないだろうと思ってた。けど、勝利の美酒に酔えば、誰だって関係ない。

 「俺はぁぁぁぁ! お前らうおぉぉぉぉぉ! 信じてたぜぇぇぇぇぇぇぇい!!!」

 ただ一人を除いて、だな。

 これで、午前の俺らの出番は完全に終わり。のはず。なかなかの成績らしいし、これは中間発表で1位になっていてもおかしくないんじゃないか? なんて思ったら、何気にこの大会を楽しんでいる自分に気付く。普段は関わりのない奴と盛り上がって、同じものに対して情熱を向ける。そして、一緒に喜び合える。喜びを分かち合える。それがこんなにも楽しいものなんだと、しみじみと感傷に浸っている自分がおかしくて、なんだか笑えた。

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